時間外労働等改善助成金の職場意識改善コースとは?有給消化率を向上

有給取得しやすい職場づくりのための助成金がある

「時間外労働等改善助成金」は、時間外労働に対する施策を取った中小企業に向けて助成金を出す制度で平成30年4月に新設されました。現在関連法案の改正などが進められている「働き方改革」ですが、残業規制による「長時間労働」の是正も改革の目的の大きな一つとして含まれています。

日本の有給休暇消化率は世界でも最低水準です。韓国も日本と同様に有給消化率が低く、2014年と2015年は韓国が最下位で日本がワースト2位、2009年から2017年までの2014年と2015年を除く7年間は日本が最下位となっています。

日本の有給消化日数・有給消化率の推移
出典元『Expedia』有休消化率2年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2017

有給消化率が悪い理由として、同じく有給消化率の悪い韓国も同様に、有給取得に罪悪感を感じる人の割合が多いことが挙げられています。理由を掘り下げると1位「緊急時のためにとっておく」2位「人手不足」3位「職場の同僚が休んでいない」など、2位と3位は職場環境に依存する理由であることが分かります。

有給取得に罪悪感を感じる人の割合
出典元『Expedia』有休消化率2年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2017

一求職者が転職活動で重視することTOP3として、1位に「より多くの有給が取得可能」と挙げられています。日本の有給消化率が低いことを考えると、付与される有給休暇日数よりも、気軽に有給休暇を取得できるかの消化率が重要視されていると考えられます。

転職活動で重視することTOP3
出典元『Expedia』有休消化率2年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2017

時間外労働等改善助成金の職場意識改善コースは、有給休暇の取得促進や休日出勤などを含む時間外労働の短縮を行うことを目的とした助成金です。既存社員への満足度向上はもちろんのこと、採用などの社外へのアピールポイントとしてもメリットがあります。

時間外労働等改善助成金の職場意識改善コースとは?

職場意識改善コースは長時間労働に配慮し、または年次有給休暇を取得しやすいものとするよう規定を変える等、社員の生活と健康に配慮し、多様な働き方に対応していくことを目的としています。

内容としては、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等を図る事業所に、実施に使用した費用の一部を助成するというものです。

助成金の受給要件について

時間外労働等改善助成金に共通する受給要件は、下記に記した事業所である必要があります。

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 中小企業事業主であること

中小企業事業主
出典元『厚生労働省』時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

職場意識改善コースのみの受給要件は、次のいずれかに該当する事業所です。

  1. 前年の有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって月間平均所定外労働時間数が10時間以上である事業主
  2. 労働基準法の特例として法定労働時間が週44時間とされていて、所定労働時間が週40時間を超え週44時間以下の事業場を有する事業主

2.の対象についてもう少し説明致します。
法定労働時間は、労働基準法で定められている労働時間の限度です。原則として1週で40時間、1日に8時間となります。しかし特例措置対象事業場と呼ばれる常時10人未満の労働者を使用する下記の業界であれば法定労働時間が週44時間とされるのです。

  1. 商業(卸売業、小売業、理美容業など)
  2. 映画・演劇業
  3. 保健衛生業(病院、診療所など)
  4. 接客娯楽業(旅館、飲食店など)

成果目標と受給金額

どんな目標を達成すると受給できるのでしょうか。

職場意識改善コースには成果目標が設定されており、その目標を達成するために取り組んだ費用が助成される仕組みです。成果目標は下記のとおりです。

受給要件(1)に該当する事業所

  • 年次有給休暇の取得促進
    労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を4日以上増加させる
  • 所定外労働の削減
    労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる

受給要件(2)に該当する事業所

  • 所定労働時間の短縮
    事業主が事業実施計画において指定した全ての事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とする

受給金額は取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給されます。どちらか低い方となりますが、上限額もしくはかかった費用の3/4~1/2が助成されます。

「年次有給休暇の取得促進」及び「所定外労働の削減」を成果目標とした場合
出典元『厚生労働省』時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

「所定労働時間の短縮」を成果目標とした場合
出典元『厚生労働省』時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

どんな取り組みが認められるのか

以下の10個の取り組みのうち、1つ以上を実施する必要があります。自社が取り組みやすい内容を選択して、取り組んでみましょう。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)
  5. 人材確保に向けた取組
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  9. テレワーク用通信機器の導入・更新
  10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
    (小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

引用元『厚生労働省』時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

例えば外部コンサルに有給所得率を上げるために相談したコンサル費用や、所定労働時間短縮のためにシステムを導入した費用などが含まれます。

申請期間

実施期間は、平成31年2月1日(金)までとなっており、「年次有給休暇の取得促進」「所定外労働の削減」を成果目標とする場合、事業実施期間中の3ヶ月間を評価期間として設定していただき、成果目標の達成状況を評価します。

平成31年度の締切は、記事を公開しました平成30年12月21日時点では、まだ公表されておりません。

有給取得率の向上は労働環境の他社との差別化に繋げられる

職場意識改善コースは時間外労働だけでなく、有給消化率などの改善にも使える助成金です。日本は有給消化率が最低水準であるからこそ、自社で有給休暇を取りやすくするための意識改善を行い、有給消化率を向上させることは、日本企業の中で自社の魅力をアピールでき、他社に差別化することができるでしょう。

長期の有給休暇取得を促した場合には、ワークライフバランスが取れていることなども外部にアピールできる材料となるはずです。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ