OJTシートの書き方や記入例とは?作ったシートの活用方法について

OJTが機能すれば新入社員の独り立ちが早くなる!

OJTとは、企業が従業員の能力開発のために行う教育研修の手法の一つです。OJTは、英語の「On the Job Training」の略称で、実務を通して学ぶ訓練のことを意味します。

厚生労働省の調査によると、正社員に対する教育訓練で「OJTを重視する」「OJTを重視するに近い」と回答した企業は70%を超えおり、従業員の育成に対する企業の意欲の高さが伺えます。

重視する教育訓練(正社員)
出典元『厚生労働省』平成29年度能力開発基本調査

リクルートワークスが東証一部上場企業に対して行った調査によると、人材が独り立ちするためには、OJTが上手く機能している企業では4.2年、OJTを実施してはいるが上手く機能していない企業では4.6年かかるという結果が出ています。

OJTと独り立ちするまでに必要な期間
出典元『リクルートワークス研究所』人材流動性とOn the Job Trainingに関する探索的研究

OJTをいかに効果的に実施するかによって、新入社員が戦力として自立するまでの期間に大きな差が表れます。

今回の記事では、OJTのプロセスを可視化するOJTシートの書き方や記入例をご紹介します。

OJTシートとは?シートの書き方や記入例について

OJTシートとは、トレーナーとトレーニーがOJTの目標や進捗状況を共有し、客観的に振り返えるためのツールです。

OJTシートの詳しい概要については「OJTシートとは?使用目的やメリット、活用する際の注意点とは?」の記事で分かりやすく紹介していますので、あわせてご覧ください。

OJTシートが必要な理由とは?

OJTシートを活用する理由としては、OJTを進める上で現状の課題が可視化され、効果的・効率的な教育研修が行いやすくなるというメリットが挙げられます。

企業がOJTを行う目的は「付加価値の高い人材を育成したい」「効率的に育成し早く一人前になってほしい」などですが、OJTを行う現場の部署では「人材の育成方針が統一されていない」「通常業務の忙しさで育成の優先順位が下がってしまう」などの問題を抱えていることが多くあります。

OJTシートを活用すれば、人事部と現場、トレーナーとトレーニーの間で意思統一や現状把握がしやすくなるため、OJTを実施する上でOJTシートを活用するメリットは非常に大きいと言えます。

OJTシートの書き方と記入例とは?

OJTシートは大きく分けて2種類あり、OJTを行う側であるトレーナー用の「育成計画シート」と、OJTを受ける側であるトレーニーとトレーナーを繋ぐ「コミュニケーションシート」があります。

OJTを実施する際には、育成の方針や計画を社内で統一することが最優先となるため、今回は育成計画シートの書き方に焦点を当てます。

自社が求める人物像を定める

OJTの育成計画シートを作成する際には、自社が求める人材像を定めて可視化する必要があります。どんな人材を育成したいかが明確でなければ、具体的なOJTの内容を決められないため、OJTの育成計画シートを作成することができません。

自社が求める人物像を可視化するためには、業務に必要な能力を細分化して、何ができる必要があるかを整理します。

人物像の見える化プロセス
出典元『三菱総合研究所』見える化による効果的な人材育成~科学的なOJTの実施~

OJTの育成計画シートを作成するためには、求める人物像から逆算して「この仕事ができる人材を育てるためには、どんな知識や技術を教える必要があるか」を考えます。必要な知識や技術を具体的に細分化することで、OJTの内容や目的についての認識が現場とズレる危険を軽減できます。

長期的なスケジュールを明確にする

OJTの育成計画シートを作成する際には、大目標を達成するまでの期間を設定した上で、小目標一つにどれくらいの時間をかけるかという長期的なスケジュールを明確にする必要があります。

OJTを実施する上で、小さな目標一つひとつにかける期間を行き当たりばったりで決めていては、OJTがいつ終わるのか分からなくなります。期間を定めることで、長期的なスケジュールが組みやすくなるだけでなく、目標がより明確になりトレーナーとトレーニーのモチベーション向上が期待できるというメリットがあります。

振り返りの評価・反省を行う

OJTシートを運用していく上で、振り返りの評価を行うことは非常に重要です。

振り返りの評価を行う際には、トレーナーとトレーニーだけでなく同じ部署の先輩社員やトレーニーの同期などにも協力してもらい、360度評価を行う形が理想的です。当人だけでの振り返りでは、どうしても主観的な評価になってしまうためです。

OJTシートでの評価の書き方としては「できた・できなかった」の2択ではなく、5段階程度に分けて「他者に指導できるレベル」「一人で実施可能」「稀に人のサポートを必要とする」「半分くらい人のサポートを必要とする」「常に人のサポートを必要とする」というような、習得レベルが判断できる項目設定が望ましいと言えるでしょう。

OJTシートの書き方を考える際には、ナビゲート社インソース社などのサイトで評価項目の記入例が入った無料サンプルが公開されているため、導入を検討する参考にしてみてもよいでしょう。

OJTシートの書き方や記入例を知ってOJTに活用しよう!

OJTシートとは、トレーナーとトレーニーがOJTの目標や進捗状況を共有し、客観的に振り返えるためのツールです。OJTシートを活用すれば、現状の課題が可視化されて、効果的・効率的なOJTが実施できます。

OJTシートの書き方や記入例は、OJTの目的や現場の部署によって様々ですが、求める人物像や長期的なスケジュールの明確化、振り返りの評価が重要であることは共通しています。

目標の明確化や振り返りの評価を行い、OJTの効果や効率を高めるために、OJTシートを使わない手はないと言えるでしょう。

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