企業の人手不足と失業率の関係について
少子高齢化社会による労働力人口の不足は企業の人材確保が苦戦する要因のひとつと言われ問題とされています。
三井住友信託銀行が行った求人市場調査によると、2013年には完全失業率は3%を下回っているが、一方有効求人倍率は2018年時点で1.5倍以上となっています。このデータから、求人市場では売り手市場であることと同時に企業の人手不足が深刻化していることが分かります。
出典元『三井住友信託銀行』均衡失業率の高止まりと雇用ミスマッチの硬直化
完全失業率には、労働市場の需要と供給に関わらず、ある一定に生じると言われている「均衡失業率」と景気変動に起因して起こる「需要不足失業率」の2種類に分類することができます。ミスマッチ失業率は均衡失業率の一つであり、企業と求職者の条件のミスマッチにより起こり売る失業です。
今回の記事ではミスマッチ失業率について、具体的な内容や課題について説明します。
ミスマッチ失業率とは
よく耳にする完全失業率には、「均衡失業率」と「需要不足失業率」の2種類があります。ミスマッチ失業率は、労働市場の需要と供給の状態に関係なく起こりうる「均衡失業率」のひとつと言われています。
需要不足失業率とは、業績が良いから採用予定数を増加する、業績が悪いから採用予定数を減少するなど、景気状況に応じて求人数が変動することによって起こります。景気が悪くなって失業することで求職者が増加する、景気が良くなり就職しやすくなることで求職者が減少する傾向も影響します。
均衡失業率とは、求人自体は供給を満たしているにも関わらず、年齢やスキル、勤務地など条件面で求職者と企業の要望が折り合わず起こる失業のことを指します。ミスマッチ失業率とは、企業と求職者の希望する条件がミスマッチしていることで失業している状態を意味しています。
一般的な「需要不足失業率」に関しては、景気に左右されることが多く、景気が良くなれば失業率は改善されますが、景気が悪くなると失業率は悪化します。ミスマッチ失業率は景気に左右されることは無く、景気がいくら好転してもミスマッチ失業率は改善されにくい特徴があります。
厚生労働省が行った「学歴別就職後 3年以内離職率の推移」調査によると、大学卒の3年以内の失業率は、ここ20年以上30%台を横ばいで推移しており、全く改善されていないことが分かります。
リクナビNEXTが行った転職経験者100人へ退職理由についての調査内容によると、「退職理由本音ランキング」の中には、上司や経営者に対する不満や同僚・先輩との人間関係、社風が合わないといった、人に関係する原因が多く挙げられていることが分かります。
参考URL『リクナビNEXT』転職理由と退職理由の本音ランキングBest10
実際に働く人や雰囲気については入社してみて初めて分かる、見えることも多く、この部分にミスマッチを感じ退職している人が多く存在します。しかしミスマッチを未然に防ぐ解決策も未だ明確にされていないというところにミスマッチ失業率改善の難しさが伺い見れます。
ミスマッチ失業率を低下させるためには何も方法がないのか?というとそういう訳ではありません。リクナビNEXTが行った調査結果においても、給与や待遇、労働条件に関する不満よりも、人間関係が退職理由の大半を締めており、人間関係がミスマッチ失業率を左右する鍵であることは分かっています。
中でも先輩や上司といった、自分より地位の高い人との人間関係に不満を持っている方が多い傾向にあるため、企業としては職場の人間関係はもちろん、上司部下の関係、経営者と従業員の関係などを良好に保つための努力や施策に力を入れることが、ミスマッチ失業率を防止するためには、最も有効な手段であるということが言えます。
ミスマッチ失業率改善策が人材獲得にプラスに働く
ミスマッチ失業率とは、求人の受給に関わらず、企業と求職者のミスマッチにより起こる失業のことであり、景気に左右されないという特徴があります。ただでさえ労働力人口減少により人材確保のハードルが上がっている中、ミスマッチ失業率を下げること、防止することも重要になってくることが考えられます。
ミスマッチによる離職の多くは、人間関係に起因していることが多いため、自社の離職率を下げるため、ミスマッチ離職率を低下させるためには、職場の人間関係のあり方について見直し再検討し、改善に取り組むことがもっとも有効な手段だと言えます。