リーダーシップ・パイプラインとは?管理職人材の育成方法について

リーダーシップ・パイプラインとは?多くの企業で管理職育成が課題になっている

現在の人材市場は、労働人口の減少による売り手市場の影響で、採用の難度が上がり続けています。企業を運営していく上では、新規人材の獲得難易度が上昇しているからこそ、中長期的に自社の社員を育成していく教育システムの必要性が高まっています。

HRProによる2013年の調査では、企業が利用する人材育成サービスについて、管理職研修が「現在利用している」「今後より利用度が高まる」共に60%を超えているという結果が報告されました。

企業が利用している人材育成サービス
出典元『HRpro』「人事支援サービス【人材育成】に関するアンケート調査」結果報告

同調査では人材育成上の課題に関するアンケート調査も行なっており、全体の74%の企業が「管理職の能力向上」に課題を感じているという結果が出ています。

人材育成上の課題
出典元『HRpro』「人事支援サービス【人材育成】に関するアンケート調査」結果報告

管理職の育成や能力向上を図る上では「そもそも管理職にはどのようなスキルが求められるのか」について考える必要があります。ハーバード大学教授のロバート・カッツ氏によると、マネジメントに求められるビジネススキルは、以下の3つに分類できるとされています。

  • テクニカルスキル(専門的な知識や技術の総称)
  • ヒューマンスキル(対人関係能力)
  • コンセプチュアルスキル(物事の本質を見極める能力)

カッツ・モデル
出典元『日本の人事部』マネジメント・管理職に求められるスキル

ロバート・カッツ氏は、マネジメントに求められるスキルは3種類あるとした上で、会社の経営に近い立場になるほど「コンセプチュアルスキル」が重要になると提唱しています。組織に必要なリーダーを、質・量ともに継続的に育成する仕組みとして「リーダーシップ・パイプライン」という考え方があります。

今回の記事では、リーダーシップ・パイプラインの意味や目的、メリットや注意点などについてご紹介します。

リーダーシップ・パイプラインとは?意味や目的、メリットや注意点について

リーダーシップ・パイプラインの意味や定義とは?

リーダーシップ・パイプラインとは、組織のトップからボトムまで途切れることのないパイプラインを作り、組織全体でリーダーを育成しようという仕組みのことを意味します。

リーダーシップの理論的研究は、20世紀に大きな発展を遂げました。当時の研究では「リーダーとは先天的な資質である」という考え方が主流でしたが、現代では「リーダーシップは状況によって適切なスタイルが異なる能力」という考え方へと移行しています。

現代では「リーダーシップは適切な教育を行えば誰でも身に付けられる能力」と一般的に認められるようになったため、ビジネスの現場においてもシーンに合わせたリーダーシップが求められるようになりました。

リーダーシップ・パイプラインの目的や実践方法とは?

リーダーシップ・パイプラインの主な目的は、多様化・グローバル化が求められる現代のビジネスに対応するために、組織構造やリーダー人材を多様化させることです。

IT技術の成長やAIの台頭によって、新たなビジネスモデルが次々と生まれただけでなく、様々な考えを持つ人材の活用方法や新たな働き方の導入など、企業にも多様化の必要性が生まれました。リーダーシップ・パイプラインは、企業の多様性の実現方法のひとつとして注目されているのです。

リーダーシップ・パイプラインを実践するためには、社員の成長を個人や部署に任せるのではなく、組織全体でリーダーの育成に取り組むことが大切です。

社員が成長していく上で、係長、課長、部長、役員などの段階へのステップアップによって生じる転換点と課題を抽出し、課題を解決するための適切なアシスト方法を組織全体できちんと設計することで、リーダー育成システムとしてうまく機能するようになります。

リーダーシップ・パイプラインの6つの転換点
出典元『GLOBIS知見録』リーダーシップ・パイプライン: 組織を無能な上司で埋めないGE流リーダー育成

リーダーシップ・パイプラインのメリットとは?

リーダーシップ・パイプラインを活用する主なメリットとしては、企業運営上の課題である人材の維持と成長に役立つことが挙げられます。

リーダーシップ・パイプラインを活用して人材を育成し、自社内で中長期的に活躍してくれる人材を増やすことによって、企業全体の維持・成長につながります。

自社内での教育システムとしてリーダーシップ・パイプラインを社内で共有すれば、企業側からのアプローチによる社員の育成促進だけでなく、成長意欲の高い社員のモチベーションを刺激する効果が見込めます。成長意欲の高い社員に対して、社内でどのようなキャリアを歩めるのかを具体的に提示することで、先の見えない不安を払拭して離職率を下げるメリットも期待できます。

リーダーシップ・パイプラインの注意点とは?

リーダーシップ・パイプラインを活用する際には、社員の成長を組織で支援する仕組みの「設計・実施・維持」に大きな労力がかかるという点に注意が必要です。

多くの中小企業は「そもそも人手が足りていない」という問題に直面しているため、社員の成長を支援する余裕が無く、現場の実践の中で教育を施していくスタイルにならざるを得ないという実情があります。現場での教育に割ける時間すら無く「ちゃんとした教育を受けさせてもらえない」という理由による早期離職が起こり、結果的に自転車操業のような人材状況に陥っている企業も少なくありません。

リーダーシップ・パイプラインは、会社全体のバックアップがなければ成り立たない仕組みです。リーダーシップ・パイプラインの仕組みを作り機能させていくためには、後々のリーダー育成のための投資であることを理解して、時間や労力などのコスト投入を惜しまないことが大切です。

リーダーシップ・パイプラインで継続的に人材を育成しよう!

リーダーシップ・パイプラインとは、次世代のリーダーを効率的かつ安定的に生み出し続ける仕組みのことを意味します。

リーダーシップ・パイプラインを活用することで、少数の優秀なリーダーに依存せず、十分な数のリーダーを常に存在させながら継続的に育成できるようになります。また、リーダーを育成する各段階において、理想とするリーダー像を具体化することも大切です。自社に不足している能力やスキルなどを持つ人材を戦略的に育成することで、継続的なリーダー育成と組織成長が可能になります。

人手不足や管理職育成に悩む企業が多い中で、自社の人材状況を豊かにするだけでなく、離職率の改善にも役立つリーダーシップ・パイプラインの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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