心の知能指数(EQ)の構成要素とは?各能力を理解して活用しよう

心の知能指数(EQ)はビジネスの現場で重宝される要素

ビジネスにおいて人間関係の構築をするコミュニケーションスキルが非常に重要だと認識されています。

ビジネススキルを体系化した『カッツモデル(米国で1950年代に提唱されたマネジメント育成手法の一つ)』においても「どのマネジメント階層であっても、ヒューマンスキル(対人関係能力)が重要である」ことは謳われています。これに限らず、昔からさまざまなところでヒューマンスキルに関しては喧伝されています。

カッツモデル
出典元『日本の人事部』マネジメント・管理職に求められるスキル

Googleが考える「効果的なチーム」を実現するために最も必要なものは『心理的安全性(チームメンバーがリスクをとることに危険を感じず、お互いに自分の弱い部分もさらけ出すことができる)』であると結論づけたことでも注目すべきところです。

組織のリーダーとして成功するためにはEQの要素が必須であることが近年広く提唱されており、人材採用においてEQを測定する、人材育成や評価制度にEQを用いるなど、現在多くの企業で活用されています。

EQは育成可能な領域ではありますが、一口にEQと言っても細分化するとさまざまな要素があり、人材育成や採用に活用するためには、各構成要素の何が高いのか・低いのかを把握することが大切です。

今回は、EQの構成要素や人事業務への応用例について説明します。

心の知能指数(EQ)の構成要素と活用のメリットとは?

EQがビジネスにおいてどのように役立つのかには、大きく分けて2つの効果があると言われています。

1つ目は「人間関係を良好なものにする」ことです。人間関係が良好だとクライアントや交渉相手との関係をマネジメントし、交渉を自分たちに有利に進めたり、社内の人間関係を良くし、組織全体の業績をあげることができます。そういった人材は周りから助けてもらえることも多いでしょう。

2つ目は「IQ(技能や知識)をより効果的に発揮する」効果です。イライラしているときの作業効率は下がることがありますが、逆にモチベーションが高い時はいつも以上のパフォーマンスが出せるものです。EQの特徴を活かし、採用試験や社員研修にEQ検査を導入する企業も増加しています。特に、営業や窓口・店舗スタッフなど対人関係が発生する職種にとってEQは欠かせない能力です。

EQのもっとも重要な点とは「職種や役職関係なく全ての人間に必要とされる能力である」点です。現在のビジネスはどういった職種でも常に周囲とのコミュニケーションが不可欠だからです。

新入社員であれば、上司や顧客とのコミュニケーションを円滑にするためにEQを高めていくことが求められますし、管理職であれば、部下や自分の上司とのコミュニケーション能力も必要となります。経営者に至ってもいわずもがなでしょう。組織が大きくなるにつれ社員との距離も広がり、全ての社員が常に自分の意図を正確に理解してくれるわけではなくなることは、常に認識しておくことが必要です。

現代のビジネスシーンは人と人とのつながりで構成されており、他者とのコミュニケーションが全ての基本となっています。EQの高い人間が組織の中で高いパフォーマンスを上げることができることは当たり前で、現代においてEQという概念が生まれ注目されてきたことも自然な流れであると言えます。

心の知能指数(EQ)の構成要素とは?具体例を交えた内容について

心の知能指数(EQ)は一般的に4つの能力から構成されています。4つの能力とは、感情の「識別」「利用」「理解」「調整」です。

4つの能力は、対人関係において、①識別→②利用→③理解→④調整の順で使われます。EQを発揮するためには、すべてがそろっていることが重要です。ビジネスシーンにおける自分の言動の一つひとつの差がEQの高さの差で、かつ最終的にその差が大きなパフォーマンスの差へとつながるのです。

1.感情の識別

感情の識別は、自分の感情を認識したり他者の感情を識別する能力です。感情の識別がEQの始まりともいえます。

とある会社の営業であるA氏に顧客から突然のクレームが入ったとします。先方のもとへと駆けつけたA氏ですが、先方は大変激怒しており、さすがのA氏もパニックに陥いります。

「自分は今動揺している」と、自分の気持ちを理解できるのが『自分の感情を感じ取る能力』です。感情の識別は、こういった突然の感情の変化だけでなく、常日頃の自分の精神状態を正確に把握できることにも当てはまります。

2.感情の利用

感情の利用は、自分の感情をその状況で適切な状態、問題解決に役立つ状態へと誘導する能力です。「怒りの感情を鎮める」「相手に共感する」「前向きになる」など、自分自身の感情をいかにコントロールするかが重要です。

上記の例に戻りましょう。A氏は、当然のことながら動揺したままではクレーム対応はできません。そこで、自分の心を落ち着かせ冷静に相手の話に耳を傾けました。

状況に合わせて感情をコントロールできることが『最適な感情を創り出す能力』です。仕事へのモチベーションが低下している時に意識的に高めることができることも、感情の利用能力によるものです。

3.感情の理解

感情の理解は、自分や相手がなぜそのような感情なのか、その感情の変化について推察する能力です。

EQの4つの能力の中でも、最も経験が求められる能力とも言われます。相手の表情や言動、その場の状況などの情報を、総合的に利用できなければなりません。

上記の例では、本格的に顧客との話し合いが始まる場面です。A氏はまずは相手の話に耳を傾けてみたところ、先方が怒っている理由が、本来はとても些細なもので、A氏がひと言謝罪すれば済むであろうことがわかりました。いろいろ主張はありますが、いったんそれらを忘れてしっかりと謝罪したところ、無事に相手の承諾を得ることができ、今後の取り引きも継続できることとなりました。

相手とのコミュニケーションの中で相手の心理を把握することができるのが、『他者の感情を把握し、相手の言動の中での感情の位置づけを理解する能力』です。相手の言動から機嫌を察したり、落ち込んでいる同僚に気づき励ますことのできる人材はこの能力に長けていると言えます。

4.感情の調整

自分の感情を適切に調整する能力です。EQのプロセスでは最後の能力といえるもので、特に対人関係の中で顕著に用いられます。

A氏の例でいうと、無事にクレーム対応を終え、今回の件を振り返ってみると、先方の怒りの原因は、些細な理由からだったということを改めて認識しました。自分の意見はいろいろありますが、「自分があらかじめ注意を払って行動しておけばクレームにまで発展しなかったはず。次からはその部分に気をつけよう」と、今回の件から教訓を得ることができました。

一つの出来事からでも、クレームが入るなんてついてない、と思う人もいれば、A氏のように、自分への教訓と捉えることができる人もいます。後者のようなタイプが、『自己成長を促すために感情をコントロールする能力』に長けた人です。

ネガティブな状況以外にも、高い営業目標を達成し満足しがちな状況で「この目標が達成できたのなら、もっと上の目標を狙える」と、さらにモチベーションを上げることのできる営業パーソンなども感情の調整能力に優れていると言えます。

心の知能指数(EQ)を活用するメリットと内容をおさえよう

心の知能指数(EQ)を構成する要素には様々あり、EQが高い・低いだけでなく、具体的にどの要素が高いのか、低いのかを理解することが、人材採用や人材育成戦略に活用するために必要です。

心の知能指数(EQ)を活用すれば、社内の人間関係を良好にできるだけでなく、本来の業務遂行スキルを発揮できることにもつながり、労働生産性の向上にもつながるのです。

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