新卒採用において人物重視(人柄採用)する人事担当は9割
人物重視(人柄採用)と対照的な言葉が「スキル重視」「経験重視」です。つまり「人物重視」の求人には「スキルや経験よりも、あなたの人となりを見ますよ」というメッセージが込められています。社会人経験のない新卒採用においては、採用基準で「人柄を重視する」と答えた人事担当者は約93%と最も優先する項目です。
出典元『リクルートキャリア』就職白書2017-採用活動・就職活動編-
更に中途採用でも「誠実さ・素直さ」「熱意・積極性」が採用基準の上位に。
経験・スキルのある年齢になっても人柄は評価の重要ポイントなのです。「人物重視」とは具体的に何が評価されるのでしょうか?仕事が第一のタイプなのかそれともプライベートも充実させたいタイプか「コミュニケーション能力が高い」とか「リーダーシップがとれる」とかがそれに当たるのでしょうか。
本来の言葉の意味であれば、性格や価値観など「良い悪い」で考えられないものが評価されるべきですが、現実には言葉の意味が明確でなく「良い悪い」で考えられるものも含めて評価されることがあります。
性格や価値観など良い・悪いで考えられないもの
性格と価値観は同じ意味・同義語として、しばしば使われています。しかし学術的には、性格と価値観は微妙に違うように定義されています。
性格の定義は「モノについて感じたり、考えたり、行動する時のある一定の傾向や特徴」です。性格は、価値観や意見などの他の心理的要素と比べて、長期的に見ると変わりにくく、また生物学的な基盤もある可能性が示唆されています。
学術的なアプローチによると、ある程度一定である性格に比べて、価値観は育った環境において徐々に形成されて行くものである、と捉えられています。価値観の定義とは「人生の様々な場面での自分の行動や意思決定などに影響を与える、自分自身の中で優先順位のつけることができる抽象的な概念」と言えます。
ひとの性格や価値観はさまざま。仕事においても「結果だけで評価されたいタイプor 過程も評価されたいタイプ」などどちらが良い・悪いといえるものではありません。また、性格は変わりづらいものでありますが、価値観はライフイベントや成長、環境などによって変わりうるものでしょう。
コミュニケーションスキルなど良い・悪いで考えられるもの
コミュニケーションスキルは「ヒューマンスキル」とも言われます。分かりやすい例で言うと「パソコンスキル」などはないよりは合ったほうが良いと考えられ、同様に「コミュニケーションスキル」もないよりはあった方が良いと考えられています。
「ヒューマンスキル」とは具体的には「他者と良好な関係を築き、それを維持していくために必要な能力」のことです。ヒューマンスキルは、チームやクライアントなどの社外の人とストレスなく働くうえでとても重要なスキルで、社会人としてさまざまな場面で必要とされます。たとえば日常業務でのちょっとした声かけや、部下の教育、商談での信頼関係づくりなどはヒューマンスキルが活躍する主なシーンとなります。
ヒューマンスキルを細分化すると、具体的に7項目で構成されています。
- コミュニケーション力
- 交渉力
- 向上心
- プレゼンテーション力
- 動機付け(働きかけ力)
- ヒアリング力
- リーダーシップ
人物重視採用の考え方への注意点について
企業側が人物重視採用とうたっていても、②のヒューマンスキルのみを重視した採用などの可能性もありうることです。この場合は、社風や人間関係を重視した採用基準であるとは言いづらく、結果、社風に馴染めなかったり、人間関係が上手くいかないなどの悩みを抱える可能性があります。そのため、企業サイトや求人票などに「求める人物像」などが記載されている場合は、どちらが重視されているのか見極めることが大切です。
「人物重視採用」でも、性格や価値観を重視なのか個人のスキルを重視されるのかの見極めが必要。
一言で「人物重視採用」と言っても、性格や価値観が重視される採用と自分が持ち合わせているスキルが重視される採用に分けられます。
早期離職につながる社風や人間関係の悩みは、性格や価値観によって引き起こることが多いため、これらに悩まされたくないために「人物重視採用」を探すのであれば、求人票などから読み取って、どちらの採用かを見極める必要があります。