面接は「主観評価」から脱却すれば成功する
ベテラン人事や現場のマネージャーの鶴の一声で、面接の評価が変わってしまう。その結果、採用した人がいまいちパッとせず、面接の質が問われてしまった…
複数の面接官で面接を行う場合や、新米面接官が上司への報告がうまくできない場合、「面接を評価する段階で採用のミスマッチを引き起こす」という問題が起きがちなので要注意です。
多くの場合、面接の評価が個々の面接官の「主観」に委ねられていることに起因しています。採用のミスマッチを防ぐためには、評価項目と評価基準を可視化し、「客観的」に面接を評価できる仕組みを構築することが必要なのです。
客観的な面接評価を妨げる「注意すべき主観」とは
最初に、面接官自身の主観で面接を評価しないように注意すべきポイントを紹介します。
採用面接評価の研究成果をまとめた『採用面接評価の科学 何が評価されているのか』によると、外向的で情緒が落ち着いている人物は面接初期から高い評価を得がちであることや、面接官自身が自社をどう見ているかによって組織適合性への評価が変わることが検証されています。
出典元『採用面接評価の科学 何が評価されているのか(白桃書房発行 今城志保氏著)』
参考記事『lifehaker』「採用面接で高評価を得る仕組み」が科学的に解明される
また、過去に採用・育成したメンバーとの共通点を見出して応募者の将来の活躍を予測するなど経験値に基づいた評価や、相手の目立った特徴に引きづられて他の特徴についての評価が歪められるハロー効果も注意すべきポイントです。
《面接評価で注意すべきポイントまとめ》
- 対面時の「第一印象」が面接の評価を左右しないよう意識する。
- 最終的に面接を評価するとき、「経験値」だけを頼りにしない。
- 1つの目立った特徴に引きずられて他の特徴を評価する「ハロー効果」に注意する。
- 「面接官自身が会社、組織をどう想っているか」を自覚する。
- 誰が面接しても、同じ評価になるような仕組みを作る。
面接の評価を客観的に行うために役立つ手法4つ
組織内で面接評価の均質化するためには、面接の評価を客観的に行うための仕組みを構築する必要があります。ここでは、面接評価を客観的に行う仕組みづくりに役立つ、4つの手法を順を追ってご紹介します。
Step1. 評価項目の可視化
「外向的か内向的か」「冷静か情熱的か」「楽観的か慎重か」「論理重視か想い重視か」など、パーソナリティに関する評価項目を可視化することから始めましょう。
評価項目を一覧化できたら、「会社として重視する」「募集職種で必ず求められる」など項目の優先度を明確化し、面接評価シートに落とし込んで運用するとより効果的です。
Step2. 評価基準の共有、マニュアル化
評価項目が決まったら評価基準を定めます。
「よい 普通 よくない」の3段階や「当てはまる やや当てはまる どちらともいえない やや当てはまらない 当てはまらない」の5段階の評価基準が一般的です。
評点ごとの基準を明確にしてマニュアル化し組織で共有しましょう。面接を評価するとき面接官同士の議論に客観性が保たれて、採用ミスマッチ防止を図ることができます。
「論理的」評価基準の例
論理的5点:発言に根拠があり、根拠も客観的に正しく、一貫性がある
論理的4点:発言に根拠があり、客観的に正しいが、一貫性がない
論理的3点:発言に根拠があり、客観的に正しくないが、一貫性がある
論理的2点:発言に根拠がなく、客観的に正しくないが、一貫性がある
論理的1点:発言に根拠がなく、客観的に正しくなく、一貫性もない
Step3. 構造化面接法を用いる
「構造化面接法」とは、評価項目と評価基準、質問項目をあらかじめ決めておき、手順通りに採用面接を実施していく手法です。事業拡大に伴って複数の面接官でマンパワーに頼らない採用活動を行いたいときなどに最適です。面接官による面接内容のバラつきを抑えられるため、面接を客観的に評価しやすくなります。
参考:『HR review』Googleも採用!ミスマッチを防ぐ「構造化面接法」を実践するための3つの重要ポイント
Step4. 面接官のトレーニング
複数人体制で面接を行ったり新人面接官の場合はロールプレイングを実施し、面接評価に対するフィードバックを行うとよいでしょう。面接の評価では、辛口・甘口などの個人差がどうしても出て来てしまうものです。面接評価について互いにフィードバックを行うトレーニングの実施で、評価基準の目線をすり合わせていくことができます。
面接を評価する基準を社内で擦り合せることが肝心!
採用ミスマッチの問題が顕在化していなくても、複数の面接官で「なんとなく」採用合否を決めている場合は要注意です。まずは面接の評価項目と基準を作成しましょう。
経営方針と現場の声を集約してマニュアルを作成することはもちろん、その周知徹底や確実な運用までが人事の腕の見せどころ。面接評価の目線を社内ですり合わせられてこそ、自社で活躍できる”逸材 “を採用することができるのです。