社内コミュニケーションには「組織風土・社風」が大きく影響する
社内コミュニケーションを隔てる壁として、組織全体(地域)と縦(部署や職種)、横(役職や年代)の3つの壁があり、これらの壁を越えたコミュニケーションが求められます。
出典元『HRpro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
一方で社内コミュニケーションを阻害する原因の1位として「組織風土・社風」が挙げられており、原因を解消しなければ社内コミュニケーションの活性化は難しいでしょう。
出典元『HRpro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
今回は、社内コミュニケーションだけでなく、組織改善を実施する際にも用いられるバウンダリレス組織について説明します。
バウンダリレス組織とは?社内コミュニケーション活性化に!
バウンダリレス組織とは、企業組織の内外において、部門・役職・立場・所在地などによる、あらゆる“境界”がないことです。1990年の初頭、GE(ゼネラル・エレクトリック)の会長兼CEO(当時) ジャック・ウェルチ(John F. Welch, Jr.)が、大企業ゆえの官僚制を打破するため、自社のあるべき姿・企業文化のビジョンとして提唱しましたした。
以前は分業・分社化などにより「与えられた業務のみを効率よく進める」ことが労働生産性の向上につながると考えられていました。現在はモノが溢れ、決まった業務を行うのはRPAはロボットなどに置き換わってきています。会社の業績を高めるためには、モノに付加価値を生むイノベーション的な活動の重要性が高まっており、社内コミュニケーションを活性化し、普段関わることの少ない従業員同士が交流することで、イノベーションを起こそうという動きも活発になっています。
バウンダリ組織が注目されている背景について
従来の日本企業においては、人材は囲い込みのできる「固定資産」であり、人件費も固定費的性格が強いものでした。しかしながら、低迷する国内景気や激化する国際競争といった環境の中で、日本企業は人材を「流動資産」ととらえるようになり、本当に必要なコア人材の獲得に注力しつつあります。
このような状況下においては、企業に対して優れた貢献を提供できる人材は、自己の意思に基づいて労働市場を自由に移動するようになると考えられはじめられたからです。
バウンダリレス組織にする目的について
バウンダリレス組織に変更する目的としては、ともに働く者同士が部門や役職の境界を超えて協力することが挙げられます。
自分の専門分野以外の意見ややり方を知ることができ、個人の仕事の幅を広げたり、スキルアップに繋がるでしょう。他者と交流し新しい分野に挑戦するなど、社内のコミュニケーション活性化が必要不可欠です。
バウンダリレス組織にすることで得られるメリットについて
バウンダリ組織にすることで、組織内のコミュニケーションが活性化され、生産性が向上することが挙げられます。
McKinsey & Companyが実施したワークスタイルに関する調査で興味深いものがあります。 「従業員同士が連携し合うことで、組織の生産性は20~25%向上し、その効果は年間1.3兆ドル(日本円にして140兆円超)に相当する可能性がある」という内容です。
参考URL『McKinsey & Company』The social economy: Unlocking value and productivity through social technologies
バウンダリレスで社内コミュニケーションがうまく取れている会社は働きやすいだけでなく、社内で情報共有が行われるスピードが速い、即ちさまざまなレベルの意思決定が迅速で業績アップにも直結するなどのメリットが挙げられます。
組織を大きく成長させるバウンダリレス組織
バウンダリレス組織とは、立地や部署・役職などを越えて、従業員同士が協力し合うことを目指した組織です。そのためには、組織風土や従業員自身の考え方から変える必要があり、中長期的な視点で改善することが必要ですが、バウンダリレス組織にすることができれば、組織成長に劇的な変化を与えられるでしょう。