ジョブ・クラフティングとは?従業員が主体的に働くために必要なこと

モチベーションと生産性は密接に関係している

日本には「熱意のある社員」がどれくらいいるか、ご存知でしょうか。

米ギャラップの調査では、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが解ります。この割合は、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスです。このような結果は、日本で働く者として残念に思われる方が多いのではないでしょうか。

参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査

ベイン・アンド・カンパニーとプレジデント社が共同で調査した結果、「やる気あふれる社員」は「満足している社員」よりも生産力が2倍以上あることがわかりました。また「満足していない社員」と比べると、3倍も生産性が高いことがグラフからもわかります。

意欲の度合いによる社員の生産性
出典元『PRESIDENT Online』”3人に1人”の不満社員を奮起させるには

これらのことから、モチベーションと生産性は密接に関係していることがわかります。

公益財団法人・日本生産性本部によると、2017年の日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟36カ国中20位ということでした。

労働者1人あたりの労働生産性 時間あたりの労働生産性
出典元『公共財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2017 年版

日本の労働生産性は、米国の2/3程度の水準であり、改善の余地があることがわかります。

今回は、従業員のモチベーションを向上させる手法である「ジョブ・クラフティング」について説明します。

ジョブ・クラフティングとは?モチベーションとの関係は

ジョブ・クラフティングとは、従業員一人ひとりが仕事の捉え方や業務上の行動を主体的なものへと修正することで、退屈な作業ややらされ感のある業務を自らやりがいのあるものへ変容させる手法のことをいいます。

ジョブ・クラフティングは米イェール大学経営大学院のエイミー・レズネスキー教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン名誉教授が、2001年に提唱したといわれている理論です。ジョブ・クラフティングのクラフト(craft)は、英語で「工芸」を意味します。

従業員が与えられた仕事に対して自分自身の意思で仕事を再定義し、自分の強みや新しい視点を取り込むことで、生き生きとしたやりがいのあるもの、面白いと思えるものに変えていくことを目指しています。

なぜジョブ・クラフティングが注目されているのか?

多くのビジネスパーソンは「仕事」と聞いてどのようなものと答えるのでしょうか。

  • あくまでも報酬を得るための一手段
  • 自分のキャリアアップや自己成長のためのもの
  • 今の仕事の「社会貢献度」や「意義」が、自身の働く目的そのもの

これまでの日本の企業では、組織から与えられた仕事を単純にこなせば、成果に繋がってきました。しかしこの数年で、サービスの在り方やユーザーの求める価値は大きく変化し、これまでの働き方では変化に対応することが難しくなってきました。サービスも働き方も多様化する中では、与えられた仕事をただこなして報酬を得るための最低限のパフォーマンスでは対応できないのが現状です。

ジョブ・クラフティングは従業員が自主的に仕事への取り組み方や向き合い方を変えることで、仕事へのやりがいや生産性を高めることを目指しています。従業員一人ひとりが主体性を持ち、自身の仕事に自分なりの「意義」を付け加えることによりモチベーションを高め、最大限のパフォーマンスを発揮することができるようになります。働く動機が仕事の「社会貢献度」や「意義」と同一であれば、仕事そのものや仕事で得られることが自身の充実感や幸福感につながります。

年功序列や終身雇用が崩れ、転職が珍しくない時代になりました。しかし、不満を抱え「やりがいのある仕事」を探し求めるよりも、今ある仕事を「やりがいのある仕事へ変える」ことを目指す方が、より健全に充実感を得られるのではないでしょうか。

ジョブ・クラフティングを活用する企業へのメリットとは?

ジョブ・クラフティングは個人が行うことですが、企業の取り組みによって促していくことは可能です。ジョブ・クラフティングを活用すると、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。

1.離職率の低下

仕事を「あくまでも報酬を得るための一手段」や、「自分のキャリアアップや自己成長のためのもの」と考える従業員は、他に良い条件の仕事や自分が成長できそうな仕事があれば転職することも十分に考えられます。

ジョブ・クラフティングを活用して自主的に今の仕事にやりがいを見つけ出せる従業員は、自社の「社会貢献度」や「意義」に充実感や満足感を感じることができるため、離職率が下がる傾向にあります。

2.モチベーションの向上

ジョブ・クラフティングを活用して仕事の「社会貢献度」や「意義」が働く動機になる人たちにとって働く目的は、仕事内容そのものになります。働くことで充実感を得られるため、常にモチベーションが高い状態にいることができます。

モチベーションの高い従業員が増えれば、企業の風土にもなります。

3.生産性の向上

仕事に対してモチベーションが高い従業員は、良質なパフォーマンスを発揮しやすいため、結果的に生産性があがります。

少しぐらい難しい仕事であっても挑戦し成し遂げようと努力するので、さらに生産性は向上します。

4.社内コミュニケーションの改善

ジョブ・クラフティングを活用し、生き生きと仕事をしている従業員の周囲には、ギクシャクとした緊張ムードの従業員は少ないはずです。主体的に働く人が増えると、普段は関わりのない部署と連携して仕事を進めてみたり、同僚や顧客とこれまで以上に積極的にコミュニケーションを取るなどし、交流に活気があふれ、人間関係が好転していくからです。

社内コミュニケーションが良質であれば、生産性アップや業務の質の向上も期待できるようになります。

5.従業員満足度の向上

ジョブ・クラフティングを活用することで、従業員一人ひとりがタスクや仕事全体について、どのように捉えるか、どんな意義があるのかを考えるようになります。タスクの量や内容、方法の変更を考えるようになります。

仕事のフィット感が上がるため、従業員は仕事の有意味感や満足感、自己効力感を感じやすくなります。結果、従業員満足度は高くなります。

ジョブ・クラフティングを活用する従業員へのメリットについて

ジョブ・クラフティングを活用すると、従業員にはどんなメリットがあるのでしょうか。

1.仕事に対し、積極性が増す

ジョブ・クラフティングを活用している従業員は、仕事にやりがいを感じモチベーションが向上するため、仕事に対し積極性を持って取り組むようになります。高いモチベーションを維持している従業員は、少しぐらい困難に感じる仕事でも挑戦しやり遂げようとします。

仕事に対してモチベーションが高い従業員は、良質なパフォーマンスを発揮しやすくなります。

2.ストレスの軽減

ジョブ・クラフティングを活用していくと、従業員は自身のタスクや仕事全体について、その量や内容、方法の変更を考えるようになります。そのため、仕事の量や内容に納得して取り組めるため、不満は出にくくなります。

主体的に働く従業員は、普段は関わりのない部署と連携して仕事を進めたり、同僚や顧客とこれまで以上に積極的にコミュニケーションを取るなどし、人間関係を改善していきます。仕事をしていくうえの人間関係が改善することは、ストレスの軽減に大きく貢献するでしょう。

3.幸福感の増加

ジョブ・クラフティングを活用している従業員は、自社の「社会貢献度」や「意義」が働く目的そのものになります。働くことで「社会に貢献している」と感じることができるため、充実感や満足感を感じ、幸福感の増加につながります。

仕事での好影響は、さらに日常生活に対しても同様の好影響を与えるため、従業員が日常でも幸福感を感じるなどの好循環も起きると考えられます。

ジョブ・クラフティングの実施方法とは?

ジョブ・クラフティングは個人が行うことですが、企業の取り組みによって促していくことは可能です。ジョブ・クラフティングはどのように実施するのでしょうか。

ジョブ・クラフティングを行うには、以下に挙げる3つの「修正・見直し」が必要不可欠です。

1.仕事の捉え方を見直し、修正する

自身が担当する業務について意義を見直し、修正します。業務内容の社会的貢献度や目的、意義を、より高いレベルでの視点から総合的に捉え直します。

自身が喜びを感じにくい仕事でも、高い視点で俯瞰的に捉えることで「やりがい」を見つけることができるようになるでしょう。

2.仕事の内容や方法を見直し、修正する

自身が担当する業務について内容や方法を見直し、修正します。自分が抱えているタスクを全て洗い出し「業務内容は自分でなくてはできないことなのか」「他に短時間でその業務を終わらせることができるメンバーはいないのか」「他の方法なら短時間で終わらせられないのか」といったことを考えなおします。

職場の慣習や前例にとらわれず、主体的かつ柔軟に自分の工夫やアイデアを実践してみることが必要です。少し視点を変えれば「今までのやり方」をもっと効率的に変えられることができるでしょう。

3.人間関係の質や量を見直し、修正する

仕事でかかわる人たちがいつも同じである場合、どうしても視野が狭くなりがちです。他の部署や同業他社の人と交流してみるなど、人脈が広がれば、新しい意見や刺激を受けられ、仕事やアイデアの幅を広げることでしょう。

人は、周囲の人たちと意味のある関係を結ぼうとします。顧客や上司、同僚などとの関わり方を積極的に変えて幅も広げていくことで、仕事の手応えをより強く実感でき、業務の進行もスムーズになるでしょう。

ジョブ・クラフティングで仕事の意義を考え直す

ジョブ・クラフティングとは、従業員一人ひとりが仕事の捉え方や業務上の行動を主体的なものへと修正することで、退屈な作業や「やらされ感」のある業務を、自らやりがいのあるものへ変容させる手法のことをいいます。モチベーションと生産性は密接に関係しているおり、モチベーションの向上が自社の労働生産性・業績の向上につながります。

働き方改革により、時間あたりの労働生産性の向上が求められている中、従業員のモチベーションが著しく低いと言われる日本企業において、ジョブ・クラフティングは非常に効果的な手法として考えられます。

ジョブ・クラフティングは個人が行うことですが、企業の取り組みによって従業員に促していくことは可能です。ぜひ、活用してみてはいかがでしょうか。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます

    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ