面接で見抜くべき「人材の良し悪し」は「自社に合うかどうか」
面接ではつい「成果を上げられる人物かどうか」をジャッジしようとしていませんか。例えば「即戦力として活躍するかどうか」や、ポテンシャル採用であっても「中長期的に活躍できるどうか」など、応募者の能力やスキルが気になってしまうものです。
しかし、本当に注意して見抜くべきポイントは、「自社に合う人材かどうか」です。どんなに経験豊かで能力の高い人材でも、その人にとってのびのびと発言や行動ができる、その人にフィットした環境でなければ、なかなか思うように成果を上げられるものではありません。
つまり、「自社に合う人物かどうか」という観点で人材の良し悪しを見抜き判断することは、面接ではとても重要なポイントとなるのです。
【良い人材の定義】
- 自社の企業文化や組織風土にマッチする人材。
- 入社後に活躍する可能性が高い。
- 組織や職場環境に適応し、個性を発揮して自発的に成果を追求できる。
こういった人材であれば会社をすぐに辞めることなく、組織内でのコミュニケーションも円滑に取りながら自己成長できるはずです。
【悪い人材の定義】
- 自社の企業文化や組織風土にマッチしていない人材。
- 入社後に自分の強みを活かして成果を追求できない。
- 成果を出せない理由を職場環境のせいする。
このような人材が入社した場合、職場の文句を言う、すぐに辞めて職場の雰囲気を悪くするといった悪循環が産まれかねません。
「自社に合わない人材」ほど、すぐ辞める
リブセンスが運営する転職口コミサイト「転職会議」の調査データによると、年収にかかわらず離職理由第一位は「人間関係」であることがわかります。
出典元『転職会議Report』年収別離職理由から判明!平均年収でおわるヒトと、そうじゃないヒトとの違い
リクナビNEXTの「転職理由と退職理由の本音ランキング」では、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」が1位、「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」が3位、「社長がワンマンだった」が6位、「社風が合わなかった」が7位で、上位の半数近くが相性に関する問題を占めています。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
つまり、同僚たちとの折り合いが合わず、また社風的にも解決の糸口が見つからないと判断した結果、離職しているのです。
面接で人材の良し悪しを判断する際には、企業や組織を構成員である現在の社員との人間関係がうまくいくか、社風が合うかどうかを見抜く必要があります。
面接で「自社に合う人材」を見抜けない、たった一つの理由
いまいる人とうまくやっていけるかを判断すればいいだけなら簡単なように思えます。しかしなぜ、面接官同士で意見が食い違ったり、入社後に「合わない人材だった」と発覚してしまったりと、面接で自社に合う人材を見抜くことが難しいのでしょうか。
それは、面接で評価する際、主観で判断しているからです。
人材を見抜くためには、人材の特徴を明確にする必要があります。特に「自社に適した人材」とはどういう人材かを具体的に定義することで、「自社に合う」人材をすぐに見抜けるようになるのです。
面接で「自社に合う人材」をすぐに見抜ける、たった3つの手法
1. 企業理念や価値観について意見を求める
企業が目指す理想と個人の想いが共鳴しているかどうかを見抜きます。
向かうべき方向性が同じであれば、たとえ困難に際した場合でも一致団結して乗り越えられる、自社にとって良い人材であるに違いありません。
2. どんな風に仕事を進めたいタイプか聞く
行動特性、社内外とのコミュニケーション力を探ります。
仕事の進め方やコミュニケーションの取り方を具体的にヒアリングすることは、今いる人とうまく協働してやっていけるかどうかを見極める上でとても役立つ情報です。
3. 組織の課題や問題点を正直に話してみる
競合他社や応募者の現職と自社を比べて、差異や劣っていることを提示し、意見を求めます。隠していても入社後しばらくすれば明らかになることですから、面接の時点で説明してしまってストレス体感度合いや、価値観を見抜く方が懸命です。
面接で「良い人材」を見抜くためには、面接官自身が自社を理解することが必要
面接で自社にとって良い人材か、悪い人材かを見抜くためには、自社に合うかどうを判断するに尽きるのですが、そのためにはまず面接官自身が自社を改めてよく理解することが大切です。
自社について、自分自身がどう感じているか、経営者や社員がどう思っているか、競合他社と比べてどうか、理念や企業文化を自分自身が評価してみましょう。
その上で、自社に合う人材を明確に定義し、客観的に評価することで、面接で人材の良し悪しを瞬時に見抜くことができるようになるのではないでしょうか。