ワークライフバランス推進の現状について
ワークライフバランスとは、若者の経済的な自立や誰もが意欲と能力を発揮できる社会を目指して2007年に政府が策定した、仕事と生活の調和を意味する言葉です。
内閣府は平成30年度の企業調査で「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進」「ダイバーシティ(多様な人材の活躍)の推進」「女性活躍の推進」のいずれかを経営方針等に掲げているか(方針あり/方針なし)と、ワークライフバランスやダイバーシティ推進のための専任組織や推進担当者等を設けているか(推進組織あり/推進組織なし)によって、企業を4つに分類する調査を行いました。内閣府の調査の結果、全体の約半数の企業が「いずれも方針なし-推進組織なし」となっており、ワークライフバランスの推進はあまり進んでいない現状がわかります。
今回の記事ではワークライフコンフリクトの原因や対策方法について説明します。
ワークライフコンフリクトが起きる原因や対策方法とは?
ワークライフコンフリクトとは、子育てや介護・長時間労働等の原因により、仕事と家庭のバランスが取れず、アンバランスな状態となっていることを指します。
ワークライフバランスとは、仕事と家庭とのバランスが保てていて仕事も家庭生活も相互作用していることで充実している状態のことをいいます。ワークライフバランスはワークライフコンフリクトと正反対の対義語となっています。
ワークライフコンフリクトを解消すべき理由について
株式会社マイナビの調査から、20年卒の新卒学生が「行きたくない会社」として挙げた中で「休日・休暇がとれない(少ない)会社」「転勤の多い会社」「残業が多い会社」が01年卒と比べて大きく増加しています。
出典元『マイナビ』「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」を発表
ワークライフコンフリクトが発生している会社では、長時間労働が常態化していることが挙げられます。長時間労働が多ければ、「休日・休暇がとれない(少ない)会社」「残業が多い会社」として、魅力的な会社として見ることは出来ないことでしょう。
ワークライフコンフリクトが企業に与える悪影響について
株式会社UZUZによる転職活動中の第二新卒者への調査から、最も重要な退職理由や再就職する会社に求めるものとしてワークライフバランスが挙げられています。今は仕事とプライベートの両立が仕事を選ぶ大きな理由となっています。
出典元『UZUZ』【2018年度版】第二新卒・既卒・フリーターの20代若手人材向け就職活動実態調査
ワークライフコンフリクトが起きてしまうと、就職先の会社として魅力的ではないと認識される可能性が高くなります。現在の従業員の早期離職やモチベーション低下の原因になってしまうでしょう。
ワークライフコンフリクトを解消するための施策例について
ワークライフコンフリクトを解消するために企業はどんなことができるのでしょうか。
働き方に関する施策例について
多様な働き方を推進するために、フレックス制度の導入やテレワーク、リモートワークなどの新しい働き方も積極的に取り組んでいます。
ライフステージに合わせて柔軟な働き方を可能にすることは、仕事を続けながら育児や介護等と両立していくことを可能にするだけではありません。仕事以外の経験を通じ、創造性が養われたり、資格を取得したりするなど、能力向上や仕事の生産性や成果に繋げる好循環をつくり、これがワークライフバランスが目指す「自らの意欲や能力でさまざまな働き方、生き方に挑戦できる」ことに繋がるのです。
制度に関する施策例について
人事評価制度も現在のもと変える必要があります。
長時間労働をして結果を出すことがプラス評価となっている制度は、ワークライフバランスが大切といくら社員に伝えても「理想と現実は違う」と反発の声があがり不満を招く要因となるでしょう。有給休暇取得率や労働時間の管理、生産率アップなどワークライフバランスも会社の目指している指標の1つであるということを指し示す評価制度を作る必要があるでしょう。
労働時間や生産性に関する施策例について
ワークライフバランスが提唱する豊かな時間の実現を確保するためには、業務の見直しや整備が欠かせません。
業務のマニュアル化や個数管理、IT化、自動化することで作業を簡略化させるなど、社員の業務管理や労働時間の管理は大切になっています。
多様な働き方や評価制度でワークライフコンフリクトを解消しよう
ワークライフコンフリクトとはワークライフバランスの対義語であり、仕事とプライベートのバランスが崩れてしまっている状態を意味する言葉です。
若い人材を中心にワークライフバランスへの関心が高まっていることから、今後の採用活動における応募者数の確保や新入社員の早期離職対策のために、働き方の多様化や評価制度の改革などに取り組みましょう。