ワークエンゲージメントを高める方法とは?2つの要因を理解しよう

従業員の「やる気」と「労働生産性」の関係

日本人には「私たち日本人は海外の人に比べ、会社のために身を粉にして働いている」というセルフイメージがあるようですが、本当にそうなのでしょうか?

アメリカの人事コンサルティング会社KeneXa High Performance Institute(以下、ケネクサ)の「従業員エンゲージメント」についての調査によると、日本は「従業員エンゲージメント指数」が31%で、28カ国中最下位という結果でした。

参考URL『DIAMOND online』世界でダントツ最下位!日本企業の社員のやる気はなぜこんなに低いのか?

ケネクサは「組織の成功に貢献しようとするモチベーションの高さ、そして組織の目標を達成するための重要なタスク遂行のために自分で努力しようとする意思の大きさ」を「従業員エンゲージメント」と定義しています。つまり「従業員エンゲージメント」とは、「仕事に対するやる気」と言い換えることができます。

公益財団法人・日本生産性本部によると、日本の時間当たり労働生産性は47.9ドルで、OECD加盟36カ国中21位でした。


出典元『公益財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2020

多くの国で生産性が向上しているのに対し、日本は労働生産性が低下している結果となっています。少子高齢社会に伴う労働力人口の減少により、労働生産性の向上が叫ばれている中で、実際の労働生産性が低下している状態は危ない状態とも言えます。

OECD加盟諸国の就業者1人当たり実質労働生産性上昇率
出典元『公益財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2020

日本では従業員の「やる気」は低く、労働生産性も高くないことがデータから読み取れます。

米ギャラップの調査では、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが解ります。この割合は、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスです。

参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査

ベイン・アンド・カンパニーとプレジデント社が共同で調査した結果、「やる気あふれる社員」は「満足している社員」よりも生産力が2倍以上あることがわかりました。また「満足していない社員」と比べると、3倍も生産性が高いことがグラフからもわかります。

意欲の度合いによる社員の生産性
出典元『PRESIDENT Online』”3人に1人”の不満社員を奮起させるには

今回は、労働生産性を高めるための一つの概念である「ワークエンゲージメント」を高める方法について説明します。

ワークエンゲージメントを高める方法とは?

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して感じている充実感や就業意欲を総合的に表現した言葉であり、心の健康度を示す概念の一つです。

ワークエンゲージメントは、バーンアウト(燃え尽き症候群)研究で有名なオランダ・ユトレヒト大学のウィルマー・B・シャウフェリ(Wilmar B.Schaufeli)教授によって提唱された言葉です。シャウフェリ教授は「ワークエンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」と定義づけています。

ワークエンゲージメントを構成する3つの要素について

ワークエンゲージメントとは、従業員の心の健康度を示す概念です。活力と熱意と没頭の3要素によって構成されていると考えられています。

活力

活力(Vigor)とは、仕事に対して自ら積極的に取り組むことによって生まれる高水準のエネルギーのことを言います。

傷ついても立ち直る心の回復力、仕事に対する惜しみない努力、粘り強い取り組みなど、活力が高まることで、精神力や継続力が向上し、トラブルや失敗に対してストレスを感じにくくなります。

熱意

熱意(Dedication) とは、仕事内容や自身のスキル(知識、技術)、キャリア(経験、個人業績)に対するプライド(誇り)や強い思い入れ、やりがいのことを言います。仕事にしっかりと取り組み、また、仕事に対し意義・意味を見出し、誇りを持ち、挑戦しようという意欲を感じているなど、熱意が高まることで、仕事への興味心や探究心が向上します。

「Dedication」は「熱意」と訳されていますが、自分以外の人のため、自分を越えたもっと大きなものに意義を見出し使命感を持って従事するというニュアンスが含まれており、「献身」と訳されることもあります。

没頭

没頭(Absorption)とは、熱中して仕事に取り組むことを言います。仕事にのめり込んでいる時の幸福感、時間が早く経つ感覚、仕事から頭を切り離すのが難しい感覚など、没頭が高まることで、丁寧で質の高い仕事を行えるようになり、人為的ミスが減少します。

ミスが減るため、作業速度や作業効率が飛躍的に向上します。

ワークエンゲージメントを高める方法とは

ワークエンゲージメントを意識的に高めるためには、個人資源と仕事資源(組織資源)という2つの要因に対して適切なアプローチを行うことが必要です。

 個人資源

個人資源に対して行うアプローチは「心理的ストレスを軽減させる」「モチベーションをアップさせる」方法が考えられます。

心理的ストレスを軽減する、モチベーションを上げる、維持する、といったことに必要なことが「自己効力感」です。

自己効力感とは、与えられた課題に対して遂行する能力を自分が持ち合わせているかどうかの認知のことをいいます。「自分ならできる」「自分ならきっとやり遂げられる」と思える、自己に対する有能感や信頼を示すものです。

「自分ならできる」という感覚は、自身のスキルや仕事量を把握しているからこそできる判断です。自身のスキルや仕事量を把握している状態では、心理的なストレスを生じにくくなります。

「自分ならできる」と取り組んだ仕事をやり遂げることは、モチベーションの維持にも役立ちます。

 仕事資源(組織資源)

仕事資源に対して行うアプローチは「動機付けを行う」「ポジティブ・フィードバックを与える」「裁量権など一定の権限や責任を与える」方法が考えられます。

動機付けとは、目標に向け踏み出すきっかけを与える、目標達成まで継続的に挑戦し続けるためのモチベーションを高めることです。上司や先輩、指導者からの一方的なサポートだけではなく、従業員同士が互いにサポートし合える環境であることも大切です。

上司や先輩、指導者からのポジティブ・フィードバックは、ワークエンゲージメントを高めるために必要なことです。対象者から信頼や尊敬を得ている人物がフィードバックを行うほど効果が高いと言われています。

従業員のパフォーマンスを正しく評価し、裁量権など一定の権限や責任を与えることでも、ワークエンゲージメントの向上を期待できます。従業員の性格や考え方に合った成長機会を与えることも有効です。

自己効力感と適切なフィードバックが効果的

ワークエンゲージメントとは従業員の心の健康度を示す概念であり、活力と熱意と没頭の3要素によって構成されます。

日本人のワークエンゲージメントは非常に低い状態です。ワークエンゲージメントを高める施策はいろいろとありますが、自社において、各要素のうちどこに課題があるのかを明確にすることが、まずは一歩目となることでしょう。

施策それぞれの目的を明確にしながら、定期的に計測しながら改善していくことが大切です。

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