ニコルソンのトランジション理論とは?良いサイクルを回し続けるために

VUCAワールドとトランジションの関連性

トランジションとは「転機」「転換点」「移行期」などを意味する言葉です。発達心理学をベースにしたキャリアカウンセリング理論では、人々が人生で遭遇する出来事や直面する課題には、ある年齢段階に応じて共通するものであり、そういった課題を乗り越えていくことで、人は次の段階(ステージ)に移行していくと考えられています。

現在は「VUCAワールド」と呼ばれる、将来の予測が非常に困難な時代になっています。市場のグローバル化やテクノロジーの発達により、ブルーオーシャンだったはずがあっという間にレッドオーシャン化する。或いはRPA/ロボットの登場により、定型業務はオートメーション化されていく。そういった時代にある今、会社の動きが社員のキャリア形成にも大きな影響を与えるようになっています。

EconsultancyとSitecoreの共同調査によると、世界各国1,200人以上のマーケティング担当者を対象としたところ、60%の企業や団体が「市場環境の変化に適合するためのビジネス変革を余儀なくされるほどの大きなプレッシャーを受けている」と回答しています。さらに「そのプレッシャーが3年以内に事業存続を脅かすのではないか」と3分の1の回答者が危惧しているという結果も出ました。

参考URL『ITmedia マーケティング』「ビジネスモデルを変革しないと3年以内に廃業」 3分の1の企業が危惧――Sitecore調査

VUCAワールド下における企業が取らざるを得ない、事業戦略の変更=企業にとっての過渡期が、従業員のキャリアにおいても過渡期となり得るという考えの下、ニコルソンのトランジション理論を取り上げます。

ニコルソンが提唱したトランジションの内容とは?

ナイジェル・ニコルソン(Nigel Nicolson)は、キャリア・トランジション・サイクルのモデルを整備した学者で、ロンドンビジネススクールの組織行動担当教授などを歴任した人物です。代表的な著書として、『Managerial Job Change: Men & Women: Men and Women in Transition(管理職のジョブ・チェンジ──トランジション期の男性・女性(1988)』があります。

キャリア・トランジション・サイクルとは?

ニコルソンの有名な「キャリア・トランジション・サイクル」は、1990年に展開されたモデルで、トランジションを以下の4段階の循環モデルとして捉えました。転機は、準備→遭遇→適応→安定化の順番でサイクルが回っていると考えました。例を挙げて見てみましょう。

  1. 準備:新しい世界に入る準備段階
    例:人事異動で新たな部署に配属。
  2. 遭遇:その部署で様々な状況や課題に直面する(遭遇する)
  3. 適応:少しずつ環境や人間関係、仕事にも慣れていく。
  4. 安定化:最終的に慣れて落ち着いていく。

このモデルの全体的な特徴として、次の3つの特徴があるとしました。

  1. 再帰性:このサイクルを一巡すると、また次の新たな「準備段階」に戻り、同じようにサイクルを繰り返していく。
  2. 相互依存性:「準備」「遭遇」「適応」「安定化」の各段階は相互に影響を与え合うもの。例えば「準備」段階でどれだけ準備を行ったかにより、次の「遭遇」段階をどう乗り越えられるかが、大きく影響する、というもの。
  3. 不連続性:それぞれの段階には、明確な性質的な差異がある、というもの。

特に注目したいのが、2つ目の相互依存性です。各段階での本人の思考のあり方と行動が、次の段階をどのように迎えるかに大きく影響するということです。

サイクルが上手く回るときは「過度な期待を持たず、現実的な期待を持って準備を行う」「新しい世界について適切に意味づけを行う」「状況に合わせて自己変革・成長できるよう、対人ネットワークなどを形成する」「目標に対して工夫しながら、仕事を上手く回せるようになっていく、安定化していく。」が良い循環となります。

サイクルがうまく回らないときには「過度な期待を持っている、現実的な期待を持っていない」「新しい世界にこんなはずじゃなかったと感じてしまう」「人間関係がうまくいかず対人ネットワークが形成できない」「目標に対してのモチベーションが低下する」などの悪循環が生じます。

良い循環になっていない場合には、どのサイクルの時点で問題があるのかを確認し改善していくことが大切です。一度良いサイクルを循環できれば、その後も良い効果が期待できます。

定着率向上に活用できるトランジション理論

ニコルソンは、トランジションを4段階の循環モデルとして捉え、各段階でどのようなことを行うかが、次の段階で起きることに影響すると考えました。この理論は就職・転職だけでなく、人事異動や新規プロジェクトの立ち上げ、或いは既存プロジェクトの終了など、社内での変化に直面した社員の転機(トランジション)を考える際にも活用できます。

自社従業員のトランジションを会社としてどうサポートするかが、中長期的な定着率向上に繋がってくるのではないでしょうか。

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