ステレオタイプの脅威とは?労働生産性を低下させるステレオタイプ

世界的に高くない、日本の労働生産性

働き方改革で解決したい課題の一つに「労働生産性の向上と効率化」があります。少子高齢化などでの労働力不足への対応が急がれる昨今、労働人口の拡大はもちろんのこと、一人あたりの労働生産性向上が注目されています。

労働生産性の最近の国際比較を見てみると(2017年版)、以下のような特徴があります。

  • 日本の時間あたりの労働生産性は46.0ドル(4,694円)
  • OECD加盟35カ国中20位
  • 主要先進国である7カ国の中で見れば最下位(米国の3分の2の水準)

労働者1人あたりの労働生産性 時間あたりの労働生産性
出典元『公共財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2017 年版

※他先進国との労働生産性の比較に関してはさまざまな視点があるので、一概に「日本の労働生産性は低い」とは言えないことは留意ください。

長い間、低迷している労働生産性に関してはさまざまな場所で問題になっていますが、社員の生産性が低い原因のひとつとして「ステレオタイプ脅威」の影響が考えられています。

ステレオタイプの脅威とは?ネガティブな影響範囲

ステレオタイプとは、社会に広く浸透している固定的な概念やイメージ、という意味です。元々は社会学や政治学で主に用いられていた言葉でしたが、今ではビジネスシーンやプライベートの場などでの会話で使用されています。「型通りのイメージ」や「紋切り型の考え」のことを、イコール「ステレオタイプ」と表現することもあります。

世の中には偏見とも言える、さまざまなマイナスのステレオタイプがあります。マイナスの評価をされた対象は、無意識のうちにそれが心の重荷になり、本来持っている実力が発揮できない事態に陥ることもあります。心の重荷になってしまうステレオタイプな考えを「ステレオタイプの脅威」といいます。

自分としてどれほど頑張って精いっぱい努力しても「彼は××だから」といったステレオタイプ的な考えを持たれるだけで、いざという時自分の力を発揮できないことは少なくありません。

ステレオタイプの脅威の具体例について

ステレオタイプの脅威で有名なものに、スティールとアロンソンの実験があります。

実験で彼らは、黒人と白人の学生を集めて試験を実施しました。「これは科学研究の資料にするための試験です」という説明をした場合には、黒人の学生と白人の学生の成績に大きな違いは見られませんでした。しかし「知性の高さを測る試験だ」という説明をした時は、黒人学生の点数は白人学生に比べて明らかに低くなったのです。「白人の方が賢いのではないか」というステレオタイプを黒人の学生自身が感じている証拠です。

ステレオタイプの脅威の研究は「高齢者は記憶力が良くない」「多くの女性は数学が苦手」など種々雑多なステレオタイプで実施されており、多くの研究でその効果が確認されています。

原因の一つとして考えられているのは、不安や恐怖といったネガティブな感情の生起によってワーキングメモリが阻害される、というものです。否定的なステレオタイプをユーモアに変えることができる人は、成績の低下が少ないという研究もあります。

不安や恐怖などの感情が生まれるのは、ネガティブな社会的アイデンティティを持つことで、自己評価が下がることを予期するからだと考えられています。集団への所属意識が高い方が、ステレオタイプの脅威による効果は大きいと予想できます。ネガティブな社会的アイデンティティを持っている場合、所属集団における自分の地位を向上させようとしたり、集団から離脱しようとする傾向が見えますが、すべての人がこのような積極的な行動を起こすとは限りません。

性別や人種など変えようがないカテゴリーにおける脅威も存在しています。その脅威から離れる方法は、ステレオタイプの存在する領域が自己評価とは無関係なものであると考え、自分の得意な領域で自己を評価することです。

ステレオタイプの脅威が企業に与えるデメリットについて

ステレオタイプな考えを持っていると実力が発揮できない理由ですが、ある実験から「ステレオタイプ脅威はワーキングメモリを消耗させるのではないか」ということが分かっています。

ワーキングメモリというのは、自分の記憶を自由に引き出したり、記憶を短期の間保持するために必要なものです。 ステレオタイプの脅威にさらされた人間は、「ステレオタイプ通りになってしまう気がする…」、「ステレオタイプ通りの結果を出してしまい、自分でステレオタイプが正しいと証明してしまうのではないか」などというマイナスの考えが心に重くのしかかってしまいます。結果、ワーキングメモリが消耗してしまうと言われています。記憶力の悪化や頭の回転がにぶる、集中力の欠如などの現象が発生します。

他にも、他人の行動に敏感に反応してしまい、他人のちょっとした行動が、自分を馬鹿にしているなどと思い込んでしまい、不安を感じてしまいます。このような状態では、多くの人が注意力は散漫になってしまい、実力を発揮することは困難になります。

ステレオタイプの脅威への対策方法について

ステレオタイプの脅威への対策方法としては、さまざまな実験から「効果がありそう」と判定されているものがいくつかあります。

自分にとって重要なものは何か考え、なぜ重要なのかを書き出す

重要だと感じるものは何でも構いません。 実際、この訓練を受けた中学生のクラスでは、黒人学生と白人学生間の成績差が40%も縮まったという報告もあります。

周りの環境などに依存せず、自分にとって何が重要なのかを棚卸することには大きな意義があるのです。

人間関係に関する悩みは、人種や性別などで変わらないことを意識する

ステレオタイプの脅威から分かることは、人は思っている以上に暗示や思い込みに弱いということです。思い込みこそが想像通りの結果を生み出し、結果として「ああ、やっぱりそうなるのか」と思わせてしまうのです。

周りから雑音が入ってきても自分は負けないという信念を持つことが重要です。今まで努力してきた成果を存分に発揮できるよう、自分で自分を信じることが重要です。

ステレオタイプの脅威に負けないために

ステレオタイプの脅威とは「学歴が低い人は仕事ができない」「女性は管理職に向いていない」といったネガティブなステレオタイプが、無意識のうちに心の重荷になってパフォーマンスが低下してしまう現象です。

ステレオタイプの脅威に陥ってしまうと、本来高い能力を持っている人であっても実力を発揮できず、生産性が低下してしまうという危険性があります。ステレオタイプの脅威による生産性の低下やモチベーションの低下を防ぐため、間違ったステレオタイプが組織内に蔓延しないように、社内の教育研修に取り組みましょう。

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