面接の質問で、コミュニケーション能力は見極められる
コミュニケーション能力とは、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルと3つに大別されるビジネススキルのうち、ヒューマンスキルの根幹をなすスキルで、「人間関係をストレスなく構築・維持する能力」を指しています。
出典元『日本の人事部』マネジメント・管理職に求められるスキル
面接官と応募者が直接対話できる採用面接は、応募者のコミュニケーション能力を見極めるのに最適な場です。あらゆる仕事に共通して求められるコミュニケーション能力は、多くの企業が選考における重要指標と位置付けており、面接で行う質問を事前に用意しています。
コミュニケーション能力の評価は、面接官でバラツキが多い
リクルートキャリアの就職白書2019によると、面接は99%の企業が実施する採用手法です。従業員規模が多くなるほど、実施率も上がります。
面接の実施回数は1回に限りません。doda「採用担当者のホンネ-中途採用の実態調査」によると、面接実施の回数は2回が最も多く、面接回数は2回と回答した企業の割合は67%でした。次いで3回(25%)、1回(6%)、4回以上(2%)が続きます。 大企業ほど回数が多い傾向で、さまざまな役職者が面接を段階的に実施しているようです。
出典元『doda』「面接は平均何回?」採用担当者のホンネ−中途採用の実態調査
経団連の調査によると、企業が新卒採用を行う際に重視する要素として「コミュニケーション能力」が10年以上の間1位に挙げられています。
出典元『日本経済団体連合会』2017年度 新卒採用に関するアンケート調査結果
コミュニケーション能力は重要な採用要件ですが、コミュニケーション能力とは何かの定義が曖昧だったり、面接官の主観や感覚で応募者を評価してしまうことにより、面接官によって採用基準にバラつきが出やすく、見極めも難しい項目です。
今回は、コミュニケーション能力とは何かという定義や、面接でコミュニケーション能力を見極めるための質問について説明します。
面接で見極めるべき「コミュニケーション能力」の定義
コミュニケーション能力とは、ヒューマンスキルの根幹をなすスキルで「人間関係をストレスなく構築・維持する能力」を指しています。
うまく話せるというだけではなく、聞き方、笑顔、相槌、身振り手振りなどをうまく使って、何気ない会話で場を和ませる能力や、議論を本質に導く能力、自己を客観視する力や共感力など、幅広い能力を指しています。
面接の質問でコミュニケーション能力を見極める方法
面接の質問でコミュニケーション能力を見極める方法として、よく用いられる質問の方法は「オープンクエスチョン」です。
一問一答形式の質問では見極めにくい表現力やプレゼン能力、表情やアイコンタクトなど、基本的なコミュニケーション能力を見極めることができます。また逆質問をすることで、とっさの対応力、整理して説明する力なども見極めることができるでしょう。
面接でコミュニケーション能力を見極める具体的な質問例
「自己紹介をしてください。」
「志望動機を教えてください。」
面接の冒頭でオープンクエスチョンを投げかけることで、短時間で自分のことを整理して話すことができるかどうかを見極められます。
「好きなこと、やる気がでることは何ですか?」
「どんなことが得意ですか?」
応募者の志向を探ると同時に、自己を客観的に理解する能力やプレゼン能力を見極めることができます。
「職場のコミュニケーションをよくするために、何が大事でしょうか?」
「顧客とコミュニケーションをよくするために、必要なのはどんなことでしょうか?」
応募者のコミュニケーションに関する考え方や価値観、人間性まで含めて、応募者のコミュニケーション特性を見極めることができます。
面接でコミュニケーション能力を見極めるメリットについて
面接の質問でコミュニケーション能力を見極めることができれば、採用のミスマッチを防止できるほか、組織におけるコミュニケーションロスを低減できチームの生産性が上がります。
コミュニケーションロスが少なければ、働く個人としても働きがいを感じやすくなり、業務に対するモチベーションが上がるため定着率向上にも役立ちます。
コミュニケーション能力は入社後の教育に時間がかかる
コミュニケーション能力について、もう1つ注視すべきことがあります。それは「入社後の教育に時間がかかる」ことです。研修やOJTで能力向上を図ることが難しい場合も少なくないため、面接の段階で見極めておくことは極めて重要です。
面接でコミュニケーション能力を見極めるためには、質問の意図や内容、質問の仕方を明確にした上で、複数の面接官同士で共有しておくことが大切です。オープンクエスチョンを投げかけたあとに「行動面接」を実施することも有用でしょう。過去の行動について深堀できるため、応募者の実像に近しい回答を得られやすく、評価のばらつき低減にも役立ちます。
面接では適切な質問をして応募者のコミュニケーション能力を見極めて、自社の採用要件に合った優秀な人材の獲得につなげましょう。