2025年の崖とは?古いシステムが労働生産性の低下につながる

2025年には何が起こると考えられているのか?

大きなインパクトを残してきた重大な社会問題で、ものとして「年号」がついた問題を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?

たとえば下2桁で西暦の管理をしているコンピュータが2000年を1900年と認識することで問題が発生すると考えられた「2000年問題」。派遣労働者の無期雇用契約への転換が義務付けられることによる雇用止めの発生が危惧された「2018年問題」。そして直近の問題として、団塊ジュニア世代が50代に差し掛かり人件費が高騰化するなど様々な問題が予測されている「2020年問題」が、「年号+問題」の代表的なものとして挙げられます。

今回、注目するのは「2025年」です。2025年は、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり、医療や社会福祉費などが高騰することも懸念されているのですが、問題はそれだけではありません。2025年はビジネスのインフラを支えるITシステムの転換期としてもターニングポイントであると見られていて、経済産業省により、転換の失敗による経済損失は最悪の場合「年に12兆円」にまで達するという報告がなされています。

今回は、人事だけでなく経営にも大きな影響を与える2025年の壁について説明します。

2025年の崖とはどのような問題なのか

2025年の崖を理解する前に、昨今のIT技術を踏まえたビジョンや、国内企業では一般にどのようなITシステムと関わっているのかを知る必要があります。「2025年の崖」という言葉が使用された経済産業省による「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」の概要を確認してみましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、老朽化・複雑化が進む既存システムから脱却し、ビッグデータやAI(人工知能)、クラウドなどに代表される新たなIT技術へ移行することを意味します。大量のデータを迅速に扱えるようになったデジタル環境で、新たなビジネスモデルを作ることが市場をより活性化させることになるだろうと見込まれていますが、2025年は転換期として極めて重要な年になるといいます。その危機が、DXレポートでは「2025年の崖」という言葉で表現されています。

「2025年の崖」の主たる原因の1つである「既存のITシステムの現状」はどうなっているのでしょうか?重要になる言葉が「レガシーシステム」です。

レガシーシステムは「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略の足かせ・高コスト構造の原因となっているシステム」と定義されています。

老朽システムを抱えている
出典元『経済産業省』DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

現状としてITシステムを導入している企業にどれだけのレガシーシステムが存在しているかを示すものです。自覚されているものだけでも約67%にのぼっており、自覚すらされていない潜在的なレガシーシステムもあることを想定すればかなりの率になります。

「2025年の崖」とはレガシーシステムから脱却し新たなITシステムへ移行する必要性を、危機感とともに訴えている言葉だと言えます。

2025年の崖により生じる企業への問題とは?

2025年までにDXに対応できず「2025年の崖」が生じてしまったら、企業にどんな問題が起こるのでしょうか?

2025年に予想される事態として、国内IT人材の圧倒的な不足が挙げられます。少子化の影響もあるのですが、レガシーシステムを構築している古い言語を使える技術者がほとんど定年を迎えてしまうことも影響しています。不足する技術者は40万人規模になると予想されており、何も対策をしなければ、ブラックボックス化した自社システムをメンテナンスできる人材がいないという問題が発生します。

次の図は「2025年の崖」を経営・人材・技術の観点から時系列に沿って関係性をまとめたものです。来るべき問題を放置しておくと、企業は既存システムの保全・改修に大きなコストを割かねばならないだけでなく、扱う情報の量と速度がより重要となるこれからの市場において「デジタル弱者」となって生き残りが厳しくなると見られます。

2025年の崖
出典元『経済産業省』DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

2025年の崖を乗り越えるための対策

「2025年の崖」はIT技術者の圧倒的不足や基幹業務システムのサポート終了などの影響も大きいですが、やはり根本的な問題はレガシーシステムから抜け出せずにいることだと言えるでしょう。そのためにすべきことは、システムの老朽化・肥大化・複雑化によって引き起こされた「ブラックボックス化」への対策です。

レガシーシステム問題の本質
出典元『経済産業省』DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

新たなシステムを導入したとしても、ブラックボックス化の原因がわかっていなければ同じことを繰り返すことになります。日本ではITシステムをベンダー企業に委託するケースが多いため、社内に自社で使用しているシステムの全貌を理解している人材がいないということも少なくありません。

2025年が来る前に、自社システムの全体像を正確に把握している技術者を確保することが重要となります。あるいは、システムを構築・運用する上で、ユーザー企業とベンダー企業の協力・信頼関係を作ることも重要です。

2025年の崖はITリテラシーの低さへの警鐘でもある

2025年の崖とは経済産業省の「DXレポート」で使用された言葉で、企業が運用しているITシステムの移行において、2025年がターニングポイントとなることに警鐘を鳴らしたものです。

この問題には、レガシーシステムと呼ばれる老朽化したシステムによる技術的負債、サポートの終了、IT技術者の圧倒的不足などが原因として挙げられます。レガシーシステムが足かせとなり新規システムへの移行が遅れた場合、市場競争力が低下し労働生産性が大きく低下することが懸念されています。

基幹業務システムの見直しが早急に求められており、新しいシステム運用の教育・運用コストなども確保する必要があります。今後ITシステムのリテラシーは、技術者のみならず経営層や人事にも不可欠なものとなるでしょう。

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