プロティアンキャリアとは?組織内ではなく個人のキャリアが大切

多くの労働者がキャリアプランを持っていない現状

人生100年時代が到来するといわれている昨今、1人1人が今後のキャリア設計や自分の将来に向けて考える必要性が叫ばれています。人材サービス企業であるアデコのキャリアプランについての調査で、男性の5割がキャリアプランについて考えていないと回答しています。

現在、将来に向けたキャリアプランを描いていますか。
出典元『THE ADECCO GROUP』働く人のキャリアに関する意識調査

キャリアプランについて考える理由として男性は「スキルや資格、経験が将来通用するかわからない」という不安が元になっていることが多いのに対して、女性は「良いキャリアを実現したい」と前向きな理由でキャリアプランについて考えており、男女間で違いがあります。

ご自身のキャリアについて考える理由は何ですか。
出典元『THE ADECCO GROUP』働く人のキャリアに関する意識調査

男女ともに「現在の勤め先」でキャリアを築いていきたいと考えていることが多いため、自社従業員のキャリアプランを考えることは企業にとって重要な要因となるでしょう。

あなたはこれからのキャリアをどこで築いていきたいと思いますか。
出典元『THE ADECCO GROUP』働く人のキャリアに関する意識調査

VUCA時代と呼ばれる、テクノロジーなどの発達による劇的な変化が起こっている中で、また少子高齢化や人口減少社会が起き人生100年時代を見据えなければいけない現状。自身のキャリア設計や人生設計が必要になるとわかってはいるけれど、どのようにキャリアビジョンを持てばいいのかわからなくなっており、より難しくなっていえるでしょう。キャリアビジョンを持つ方法としては、個人のキャリアにあったキャリア理論などを参考にする方法が有効となります。

今回はキャリア理論の一つである「プロティアンキャリア」について説明します。

プロティアンキャリアとは?個人のキャリアを考えるために

プロティアンキャリアとは「環境の変化や個人の欲求に応じて自分自身も変化させる柔軟なキャリア」というキャリア理論です。プロティアンとはギリシャ神話に登場する自分の意思で姿を自由自在に変えることが出来る海の神プロテウスのことで「変幻自在」という意味を表しています。

キャリアは組織によってではなく個人によって形成されるものであり、移り変わる環境に対して、自らの欲求に応じて方向転換し、個人の心理的成功を目指すものというキャリア概念です。

プロティアンキャリアが提唱された背景や重要性について

プロティアンキャリアは1976年にアメリカの心理学者ダグラス・ホールが提唱しました。

ダグラス・ホールがこのようなキャリアを定義した背景には、1980年代の産業社会における構造改革が関係しています。それまでは会社と個人は帰属的な関係契約で結ばれていました。しかし構造改革が起き、個人と会社など組織の関係性が変化し、キャリアは組織によってではなく個人の意思や目的に応じて形成されるものであると考えられ始めました。組織内キャリアから自ら変幻するキャリア形成へ行うために、プロティアンキャリアが提唱されたのです。

アイデンティティとアダプタリティーについて

プロティアンキャリアの考えにアイデンティティとアダプタリティーという2つの大きな要素があります。

アイデンティティとは、価値観、趣味、能力、一生を通した自己概念のことで「自分が自分をどのように見ているか」という自己理解を表しています。アダプタリティーとは、変化への適応スキルなど適応能力のことです。

プロティアンキャリアでは組織ではなく個人、自己の意志や目的を主にキャリアを考えます。アイデンティティでは、自分が何をしたいか?この仕事は自分にとってどんな意味があるのか?とどんな経験も自己に還元することができる視点で考えます。アダプタリティーは様々な環境に適応できる力、ただ単に適応すればいいという意味ではなく、やってみたい、やってみたらどうなるのか?という前向きな適応能力を指します。プロティアンキャリアによって、組織内外問わず社会での自分の市場価値にあらわれます。

プロティアンキャリアと伝統的キャリアの違いについて

プロティアンキャリアと今までの伝統的なキャリアと考え方は何の違いがあるのでしょうか。

伝統的キャリアでは、組織での評価がポイントとなるため昇進される・昇給するという組織内で認められること、結果を出すことがキャリアであるとされていました。組織の中での地位や給与といった客観的で定量的な指標が到達すべき目標でありました。

プロティアンキャリアの軸は組織ではなく個人です。自分が何をやりたいのかという自己の目的がキャリアを形成するもので、他人によって評価されるものではなく自己評価するものとされています。個人の中で感じられる仕事の充実感を成功指標と捉え、「自分は何をしたいのか」「社会に対し何ができるのか」という自己への意味づけが重要となります。

キャリアは仕事の結果ではなく仕事経験のプロセスで形成されるという考えであるため、時代や自己欲求に応じて、変幻自在に変化し心理的成功を目指すものとしています。

組織だけでなく個人が何がしたいのかを気づかせることが大切

プロティアンキャリアとは、変化の激しい現代において、キャリアを組織依存ではなく、個人の欲求によって都度変化させていくキャリア理論です。

企業内で活かすには、組織から提供できるキャリアを伝えるだけでなく、従業員個人がどのようなことを大切にしたいのかを気づかせ、自社組織で働くことで何が提供できるのか、働き続ける意味があるのかを明文化して伝えることが大切です。

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