まず抑えておきたい面接の概要
就職白書2019によると、新卒採用プロセスで最も実施率が高いのは「面接」で、99%の企業が面接を行なっていることが分かりました。次に「内々定・内定を出す」(98.1%)、「説明会・セミナー」(96.2%)が続きます。また「インターンシップ」(95.9%)も、特に従業員数300人未満の企業で大幅に増加しています。
面接には、個人面接と集団面接の2種類があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、採用課題に合わせた手法を取り入れる必要があります。個人面接は、応募者をより深く掘り下げて理解した場合や、最終面接などの重要な局面で用いられることが多い面接手法です。
企業の面接担当者にとって、ベテランか新米かに関わらず、個人面接がなぜ難しいのか。それは、2つの要因が考えられます。
1つは、個人面接には2つの目的があるためです。企業にとって採用面接は人材の見極めを行う場ですが、応募者が企業を見極める場も兼ねています。「ここぞ」というところでは、面接の目的を見極めから惹きつけに切り替えて、応募者の口説きも行わなければなりません。面接という限られた時間の中で、1人何役も来なさなければならないことが、面接を難しくしています。
もう1つは、面接の評価を一定の基準に則って客観的に行う必要があるためです。自社が求める人物像を理解し、採用要件を頭に入れたうえで面接を行い、面接実施後には応募者の評価を行わなければなりません。「話が弾んだ」「能力があると思った」などの主観ではなく、複数の面接官で共通認識を持って、応募者と対峙しなければならないため難しく感じるのです。
個人面接は、はじめての面接官でも「失敗」や「また今度」が許されない、一期一会のものです。優秀な応募者は一度失うと二度と戻りません。
今回は、個人面接の基礎を網羅して解説します。
個人面接とは?実施目的や流れを再確認しよう
個人面接とは、応募者1人に対して、面接官1人または複数人で行う面接手法です。
個人面接の最大のメリットは、応募者に多面的に質問を投げかけ、応募者の人物像をより深く理解できる点です。面接を複数回行う場合には、二次面接や最終面接などで個人面接を実施する企業が多いです。
個人面接を実施する目的について再確認しよう
適性検査や書類選考では知ることができない応募者の人間性を把握することが、個人面接の実施目的です。応募者の人物像を掘り下げて理解し、入社後の行動やパフォーマンスを予測するという役割もあります。
応募者の見極めと同時に応募者の惹きつけを行うことも、個人面接を実施する大きな目的の1つです。採用したい人材に自社を魅力的に思ってもらうため、面接中の適切なタイミングを見計らって自社の情報を提供したり、応募者の自己理解をサポートするなどの役割も求められます。
個人面接の全体的な流れについて
- 個人面接を実施する対象者の選定し、スケジュールを設定します。必要に応じて、電話やWeb会議など遠隔面接を打診することもあります。
- 面接官の選定と面接官の教育を行います。複数人で面接官を担当する場合には、評価基準のレクチャーやすり合わせを事前に行い、統一した評価が出せるようサポートします。
- 個人面接を実施します。個人面接後は面接官が応募者を評価し、社内に報告します。
- 人事担当者が合否を判定し、結果を応募者へ伝えます。不採用の場合も自社への評判を落とさないよう、伝え方などのコミュニケーションは十分に配慮しましょう。
- 合格者は必要に応じて次の選考ステップへ案内します。内定の場合は、内定辞退が起きないよう、内定者を丁寧にフォローしましょう。
個人面接を実施するメリットについて
個人面接を実施する企業側のメリットは、応募者の人物像を深く掘り下げられる、人材の見極めの場として適しているなど、応募者の自社理解を促進できるなどがあります。
個人面接を実施する求職者側のメリットは、発言できる時間が長い、自分のことをしっかりアピールでき、より深く知ってもらえるなどがあります。
個人面接を実施するデメリットについて
個人面接を実施する企業側のデメリットは、面接数が多いとかなり時間がかかってしまう、応募者とのスケジュール調整に手間取りがち、選考辞退のリスクが高まるなどがあります。
個人面接を実施する求職者側のデメリットは、発言が慎重になってしまう、緊張して話しづらくなる、不意をつかれた質問にも即時回答しなければならず、プレッシャーがあるなどがあります。
個人面接が圧迫面接にならないように
個人面接は応募者1人あたりに割ける時間が長く、人材の見極めや評価をするのに適した面接手法です。応募者はとても緊張していることが多く、本心や素の姿を見せてもらうためには面接官の手腕が問われるところです。
個人面接を成功させる秘訣は、応募者がリラックスして話せるように、面接官自身も緊張しないでリラックスして臨むことです。そのために面接官としての心得や採用要件・採用基準のおさらい、面接で優先的に質問するべきことの用意など、事前の準備が大事です。
応募者の緊張がほぐれないまま次々と質問を投げかけてしまうと、圧迫面接のような印象を与えてしまうかもしれません。面接官本人には圧迫面接のつもりがなくても、応募者がそう捉えてしまえば、SNSで拡散されて企業イメージが落ちるなど、取り返しのつかないダメージを被るリスクがあるのです。十分に注意して面接に臨みましょう。