アルバイト採用における日本の現状について
帝国データバンクの調査によると、正社員不足に悩む企業は50.3%と過半数を超えています。アルバイトなどの非正社員においても、3割近くの企業が人手不足に悩んでいます。
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)
パーソルキャリアの調査でも、アルバイトの有効求人数は近年右肩上がりとなっており、有効求人倍率も1.8倍程度と売り手市場になっています。
出典元『パーソル キャリア』労働市場データ(2019年3月号)
非正規社員の割合も増加傾向にあり、男女計で37.8%、女性だけで見ると56.0%と増加し続けています。
出典元『総務省統計局』労働力調査(基本集計)平成30年(2018年)平均(速報)結果の要約
多くの企業が人手不足で悩む中、アルバイト採用を活用するためにはどのような属性や悩みを抱えているのかを理解することが大切となります。
非正規社員を選んでいる理由として、男女共に「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多い理由となっていて、アルバイト職等の非正規社員を自らあえて選択している人が増加しています。
出典元『厚生労働省』労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)平均(速報)
どんどん採用難となってきている状況ですが、今回はアルバイト採用のコツについて説明します。
人材確保のために実施した施策について
株式会社マイナビが行ったアルバイト採用活動に関する調査によると人材確保のために実施した施策は、「給与の増額」「シフトの緩和」「シニア層の積極採用」等が上位にランクインしています。
給与の増額は、厚生労働省の労働力調査から「非正規社員に就いた主な理由」を聞いた質問で「家計の補助・学費等を得たいから」と答えた層が22.5%存在していることから、収入目的で働いている人にとっては効果的な策となるでしょう。
出典元『厚生労働省』労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)平均(速報)
「シフトの緩和」も実施した施策の上位に挙がっています。上記の「非正規社員に就いた主な理由」の1番多い回答が「自分の都合の良い時間に働きたいから」となっています。働く目的を自分の予定とのバランスを重要視している人が多いため、シフトも柔軟に対応することで、応募者が増える可能性は上がるでしょう。
「シニア層の積極採用」も人員確保の策として取り入れた企業が多くなっています。マクドナルドやローソンなどでは積極的に活用し売上貢献に繋がっています。
面接時に気をつけること
応募者に対し、面接時に気をつけて伝えたことは「仕事内容や勤務条件を詳細に伝える」ことが挙げられます。正社員採用の場合と同様に、働く際のイメージが具体的にわくように伝えることが大切です。
給与目的で働く人材も多いですが、自社の業務に対してどのようなモチベーションを感じてもらえるのかを確認する点も大切です。接客が好きな人、単純作業が好きな人など様々いるため、正社員採用での面接と同様に、なぜ働きたいと思ったのかやどのようなことに魅力を感じるのかについて確認しておく必要があります。
教育研修費用も無視できないコストとなります。教育を担当する現場社員とコミュニケーションがうまくいきそうか、早期離職せずに教育研修費のコスト回収が可能かどうかも見極めのポイントとなります。
定着率アップのために実施する施策について
定着率を挙げるためには、働きやすい環境を整える施策が有効です。
「自分の都合の良い時間に働けるから」に対応するためには、融通の利くシフト制度の運用が欠かせません。3時間程度の短時間でも働ける、土日でも働ける、平日の日中のみ16時まで働けるなど、労働者の希望に沿ったシフト運用ができることが大切です。短時間で働きたいアルバイトのみであると、業務に支障をきたす可能性があるため、土日に働きたい人材の採用、長時間働きたい人材の採用など、アルバイト採用でもどのような人材を採用したいのかを明確にすることが大切です。
「家計の補助・学費等を得たいから」については、昇給制度の導入が挙げられます。正社員の人事評価制度と同様に、客観的かつ根拠のある昇給制度が必要です。どのような業務が1人で出来るようになったら昇格などの現実的な目標を共有することで、モチベーションアップにもつながります。
アルバイト採用の場合は、正社員と比べて勤務時間・人事評価制度が異なる企業が多いです。人材を活用する上では、正社員を対象にした制度と同様に、アルバイトならではの制度設計が大切です。
アルバイト採用でも採用戦略を立て、評価制度、働きやすさに着目することが大切
アルバイト採用は求人倍率も採用コストも年々右肩あがりになっており、従来のやり方では効果的に採用できなくなっている現状は明らかです。正社員採用と同様に、採用戦略を立てる、見直しや改善を行うなどの取り組みを行うことで、アルバイト採用を成功させやすくなることも可能です。
企業が取り組む内容が求職者の実態とかけ離れていないかを十分にチェックすることが大切になってくるでしょう。