オンボーディングとは?新人研修手法が注目されている背景について

欧米でも注目の新人研修手法、オンボーディング

近年問題視されている早期離職の防止や新入社員の入社後のスムーズな活躍を助けるためにも新人研修というのはとても大切です。

どんなに優秀な人材でも、入社したその日にすぐに最大限のパフォーマンスを発揮することは難しいと言えます。いかに早くその組織の仕組みを理解し、価値観や方針などを汲み取り、最大限のパフォーマンスを発揮させるかが新人研修を実施する上での最大のポイントと言えます。

産労総合研究所が行った調査結果によると、企業が従業員一人あたりにかける教育予算は年々増加傾向にあり、2018年度予算額としては、47,138円となっています。

教育研修費用総額と従業員1人当たりの額
出典元『産労総合研究所』2018年度 教育研修費用の実態調査

日本国内における新人研修においては、やはり「新入社員研修」の実施率が、91.4%と最も高く、重要視されていることはもちろん多くの企業で実施されていることが分かります。

2018年度に実施する階層別教育
出典元『産労総合研究所』2018年度 教育研修費用の実態調査

多くの企業は研修の内製化に取り組み、自社内での研修を実施する傾向にあります。一方欧米では新たな新人研修の手法「オンボーディング」が近年主流となって来ています。

今回は、新たな研修手法「オンボーディング」について説明します。

オンボーディングの導入が新人研修の概念を変える

「オンボーディング」はもともとは「on-board」という語源から派生した言葉で、「船や飛行機に乗っている」という意味です。本来は、船や飛行機に新しく乗って来た乗組員に対して、いち早く業務に取り書かれるよう慣れてもらうためのサポートをすることを意味しています。

人事や経営における「オンボーディング」の意味としては、新たに採用した人材に対して、職場に配置した際いち早く組織の一員として定着してパフォーマンスを発揮してもらうために行う一連のプロセスそれ自体を指します。

日本で従来行われて来た、いわゆる新人研修と違う点は、オンボーディング実施の目的は早期戦力化だけが目的ではなく、早期離職を防ぎ定着して働いてもらうための継続的なサポートも兼ね備えているところにあります。短期的なオリエンテーションで終わりにするのではなく継続してサポートすることで、中途で採用したキャリア人材にも企業文化を伝え慣れ親しんでもらい、長期的に活躍してもらえるようオンボーディングを取り入れるという企業も近年増えて来ています。

オンボーディングの対象となる社員とは、日本で言うところの一括採用した新卒社員だけには限りません。日本では新卒社員に対して入社後に新入社員研修として、集団オリエンテーションなどを実施するのが一般的ですが、オンボーディングに関して言えば、その対象は全ての新入社員に該当します。キャリア採用した、若手も中堅も幹部候補も全てに対して行われる新人研修こそがオンボーディングです。

オンボーディング実施のメリット・デメリットとは

オンボーディングを実施するメリットとしては、第一には早期離職の防止や早期戦力化、また定着率アップに繋がることが挙げられます。その他にも、組織への愛着や忠誠心といったつながりを高めることや、社員同士の結束力向上、業績向上などが期待できます。

オンボーディングの場合は、一部の人間が新人研修を担うのではなく、組織全体で受け入れる体制を構築し、研修を行うため多くの人間を巻き込み人材育成をすることになります。結果、社員同士の意思疎通や仲間意識などメンタルに与える影響も大きく、お互いの存在を把握しながら自然と組織に馴染むことができるのが魅力です。

デメリットとしては、オンボーディングを行う上でのプロセスの構築や社内共有として、多くの人間にその理解を説明する時間や労力が発生することが挙げられます。オンボーディングを実行をした後のフォローやプロセスの見直しなども必要となります。

一度導入したらそれで終わりではなく、しっかりと見直しと修正を加えながら、自社に合う方法を模索していくことが重要となります。

会社全体で取り組むことがオンボーディングには大切

オンボーディングは早期戦力化はもちろん、社員の結束力向上や組織力向上による労働生産性の向上、早期離職の防止といった様々な良い影響を企業にもたらしてくれる新たな人材育成手法と言えます。

オンボーディングは、新卒採用だけでなく全ての新入社員に対して行う必要があるため、労力もかかりますし、現場社員への協力や理解も必要となります。しかし、多くの人を巻き込んでの新人研修となる効果というのは、今以上に大きいものが期待できると考えられます。

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