ナラティブアプローチのやり方とは?相手の話から本質を見出す

キャリアビジョンを持っている労働者は少数派

人生100年時代が到来するといわれている昨今、1人1人が今後のキャリア設計や自分の将来に向けて考える必要性が叫ばれています。総合人事・人財サービスを展開するアデコ株式会社の調査によると、キャリアビジョンを持っているのは27.2%と多くの労働者がキャリアビジョンを持っておらず、今後について描いているビジョンや計画がない状態であることがわかりました。

キャリアビジョンをもっているか
出典元『THE ADECCO GROUP』有職者の半数が「人生100年時代」に対してポジティブに捉えるも自身のキャリア構築については、約8割が不安

キャリア構築についての不安を抱える労働者は76.9%もおり、今後の不安が仕事のモチベーションに影響を与えるだけでなく、労働生産性や離職などにも影響を与えています。

キャリア構築についての不安
出典元『THE ADECCO GROUP』有職者の半数が「人生100年時代」に対してポジティブに捉えるも自身のキャリア構築については、約8割が不安

HR proに掲載された、日本マンパワー提供の40歳代を対象とした調査においても、キャリアビジョンがない人はモチベーションの維持や仕事の満足度に差が見られることがわかっています。

キャリアビジョンがある層と無い層で仕事の満足度
出典元『HR Pro』40歳代社員意識調査(提供:日本マンパワー)

キャリアビジョンを持ってもらうことは多くの影響を与えるため、若手社員だけでなく中堅社員にも必要なことなのです。今回はキャリアカウンセリングなどにも用いられている「ナラティブアプローチ」のやり方について説明します。

ナラティブアプローチのやり方とは?

ナラティブアプローチとは、相談者の語る物語を通して解決法を図る方法です。ナラティブとは日本語で語りや物語を意味しています。人々の語りや物語に着目し、語りを通して相談者とカウンセラーで新たなストーリーを生成し、現在生じている問題から決別を図るアプローチ法です。

ナラティブアプローチは1980年代後半ごろに提唱されはじめ、心理学の研究において、人々が経験から見出す「意味」の重要性が提起されました。ナラティブアプローチは、問題の背景にある、気づかないうちに囚われている思考の枠を相対化し、自身の口で語ることで思い込みや課題を解消することを目指しています。

ナラティブアプローチの目的について

ナラティブアプローチの目的は、相談者や患者自身が自己の経験を口に出すことで、自己の状況を客観的に理解することができる点にあります。相談者や患者自身が、自身の体験や経験が意味することに気付いていくことで、患者の状態が改善していくのです。

自身が語るストーリーという形で、その人の問題や課題を吐き出してもらいます。語り手と聞き手が語りを通して相互に影響しあい、自身の考え方や課題を見つめ、改善へと変化していきます。

ナラティブアプローチを企業で活用する方法について

ナラティブアプローチは、企業ではどのような業務に活用できるのでしょうか。

ナラティブアプローチはマネジメントとして組織活性化に使用することが可能でしょう。上司と部下のマネジメントだけでなく、組織の一体感の醸成に活用できます。ナラティブアプローチは、問題の背景にある気づかないうちに囚われている思考の枠を相対化し、様々な視点でストーリーを語ることで、課題に向き合い、結果組織の葛藤や思い込みを解消することができると期待されています。

ナラティブマーケティングもアメリカでは主流となってきています。ナラティブマーケティングとは、ユーザー自身の興味や物語と発信者側の情報を双方向にコミュニケーションを図り、理解を促進する手法です。主人公をユーザー自身において商品をPRするため、自身のストーリーと商品を重ねることで商品購買に繋げやすいメリットがあります。

ナラティブアプローチを実践する方法について

ナラティブアプローチの実践手法は下記の流れで行います。

1.物語を語ってもらう

聞き手はその人が語ることを傾聴します。重要なのは否定したり、アドバイスをしたりしないことです。まずは悩んでいる人の話をじっくりと聞くことに集中しましょう。

2.問題を外在化する

悩んでいる人から悩みの原因となっている問題を引き離し、問題を客観視できるようにすることです。問題が内在化している、要は問題を自分の一部だと考え、自分と切り離せずにいる場合は、問題=自分と考えてしまい「自分はダメな人間だ」と自分自身を否定してしまう傾向にあります。問題に対して名前をつけてもらうなど、自分と切り離すことで客観的に問題に対峙することができるのです。

3.反省的な質問をする

抱える問題は、どんな出来事、経験が関与しているかを質問し、一緒に考えます。

4.例外的な結果をみつける

何度も語るうちに、ストーリーと異なる部分が出てくることがあります。例外的な部分を発見したら、反省的質問を行うなどして、例外的な結果を補強し気づきを与えます。

5.新しいストーリーを作る

発見された例外的なストーリーをもとに、新しい意味づけを行い、現在の物語に変わる新たなストーリーを共につくります。

ナラティブアプローチはマネジメントにも応用できる

ナラティブアプローチとは、物語や語りによるアプローチのことで、相手の語る物語を通してその人らしい解決方法を見つける方法で、カウンセリングなどに用いられている方法です。

ナラティブアプローチは、マネジメントによる部下への教育にも活用することができるため、社員の自主性を引き出すためのサポートとしても用いることができるでしょう。

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