中途採用面接における質問集で、人材を多面的に見極める
中途採用では、入社後早期に活躍を期待でき、さらに長期的に自社に貢献してくれる人材を、スピード感を持って見極めなければなりません。即戦力としての活躍を期待するあまり、ついスキルや経験に目が行きがちで、人柄を深く把握できないまま内定を出すケースは少なくありません。面接官と話が弾んだ応募者が合格しやすい、という傾向もあるようです。
中途採用面接で最も慎重に見極めるべきは「組織に合う人材かどうか」です。せっかく採用した人材が、入社後に早期離職してしまっては、企業と応募者の双方にとってデメリットしかありません。中途採用で質問集を用意する場合は、人材を多面的に把握して自社とのマッチ度を図れることを意識するべきでしょう。
労働市場は人材の多様化が進む
労働人口減少に伴い、働き方改革が推進される日本では、労働市場における人材の多様化が進んでいます。従来は、週5日・毎日8時間以上、会社に出社して働ける均質的な労働力を求めきた企業も、育児・介護や病気の治療などと仕事を両立する女性や高齢者、また海外からの働き手など、多様な人材の受け入れ始めています。
中途採用では、多様な労働者への理解を深め、ワークライフバランスに配慮するのと同時に、自社でモチベーション高く働けるマッチ度の高い人材を見極めることが非常に重要なのです。
中途採用の採用選考における評価項目とは
中途採用面接における質問集を作成する前に、自社の評価項目と評価基準を明確にする必要があります。面接で優先して見極める項目を選び、質問集作成に着手するためです。
中途採用では、第二新卒と呼ばれる若手をターゲティングする場合もありますが、ビジネスの現場でリーダーや管理職を期待して採用する場合もあります。
リーダー層の中途採用においては、下記の項目について見極めることが一般的です。
- リーダーシップ
- マネジメント力
- ストレス耐性
- 労働生産性
- 希望する働き方
- キャリアビジョン
第二新卒など若手の中途採用や、自社の評価項目がまだ曖昧な場合には、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」を参考にするのもよい方法でしょう。
中途採用面接で見極めるべき評価項目について
採用選考における評価項目は、2種類に大別されます。
1つ目はスキルや能力で、動機付けや教育・研修などによって向上を図れるため、可変性が高い項目です。もう1つは性格や価値観などのいわゆる人物特性で、生涯を通じて変わりにくいといわれています。
中途採用面接でも、優先して見極めるべきは後者になります。自社とのマッチ度が高い人物特性を持つ人材ほど、入社後早期に活躍しやすく、離職せず長期的に会社に貢献してくれるからです。
中途採用面接での質問集と具体例、意図と内容
中途採用面接で、応募者を見抜くための質問を紹介します。中途採用面接で注視すべき5つの評価項目を例に挙げて、評価項目ごとに具体的な質問例とその意図を紹介します。
1.課題解決力
「これまでのキャリアで最大の困難は?」
「困難を打破するため、どう対処しましたか?」
「困難に打ち勝って業績を上げた経験についてお聞かせください」
「課題やミッションを自ら設定して取り組んだ経験はありますか?」
どのようなことを課題ととらえ、課題解決のためにどういう行動をとる人物なのかを把握します。
課題やミッションに対してどのような成果を出したか、結果に対しての自己評価などもヒアリングすることで、入社後の行動予測に役立ちます。
2.ストレスコントロール力
「トラブルが発生したとき、自責と他責どちらに感情が傾きますか?」
「トラブル対応時、最も大切にしていることは?」
「トラブルが長期化した際、プライベートで気をつけたことは?」
「重要なミッションを任された経験についてお聞かせください」
高いストレスがかかった際の心理状態、思考や行動の癖を深掘りして、ストレスをいかにコントロールする人物かを把握します。
どんなことを特にストレスだと感じるのか、人物特性を把握します。
3.マネジメント力
「元気がないメンバーがいるとき、どのように接しますか?」
「部下のやる気を引き出すポイントは?」
「組織全体での目標達成に向けて、取り組んだ経験についてお聞かせください」
「予実管理を行う際、気をつけていることは?」
会社の資産であるヒト・モノ・カネをどのように管理する人物かを把握します。
コンプライアンスに対する意識や理解度を測るとともに、組織のリソースをいかに活用し、どのような成果に繋げる人物かを見極めます。
4.労働生産性
「ご自身の生産性を向上させるために取り組んだ経験についてお聞かせください」
「組織全体の労働生産性を向上させた実績はありますか?」
「生産性向上の弊害を感じたことはありますか?」
「一見、生産性の低いことでも、価値があると感じることはありますか?」
労働生産性の向上は、いまやどの企業にとっても喫緊の課題です。生産性向上に関する取り組み姿勢や見解を尋ねることで、本人が希望する働き方や業務遂行パターンを具体的に把握できます。
部下や組織をどのようにマネジメントする人物かを予測するのにも役立ちます。
5.キャリアビジョン
「今後のキャリアビジョンを教えてください」
「キャリアビジョンを実現するために、弊社でどんなことに取り組みたいですか?」
「キャリアビジョンを実現するにあたり、希望する働き方は?」
「そのキャリアビジョンは、何年後に実現したいですか?」
今後、仕事を通じて社会で何を実現したいか、自分自身がどうなりたいかの本音を引き出すことで、自社とのマッチ度を長期的に測ることができます。
入社後、モチベーション高く活躍してもらうためにも、欠かせない質問です。
中途採用面接では、ビジネス経験から価値観を深堀する
中途採用では業務経験に沿って、ビジネスシーンにおける具体的な行動や考えについて質問して、自社の採用するポジションで求める人物像に合致するかどうかを見極めます。
スキルや経験の有無ではなく、あくまで考え方や物事の捉え方、価値観を深堀することが重要です。ビジネス経験が少ない若年層の場合でも、応募者が発言したことの根拠となる経験や行動原理があるかどうかを、多角的に見極められるよう、質問集を用意しておくことがポイントです。