【業務改善助成金の記入例】申請書類の書き方とは?

日本が取り組まなければいけない課題とその助成金

今議論が進められている働き方改革の柱の一つに「労働生産性の向上」があげられます。長時間労働で過労死が出るなど、企業の労働条件を整備することが大きく求められています。そのためにも生産性を向上し、業務を効率よく行っていく設備投資や業務改善を行う必要があります。

「正規・非正規間の格差」も日本の抱える課題の一つです。フルタイム労働者の場合、非正規社員の平均賃金は正規社員の65%程度にとどまっており、大きな格差があり、かつ正規社員の賃金が年齢に応じて大きく上昇しているのに対し、非正規社員の賃金は年齢による賃金上昇がほとんどありません。このように正規・非正規間の格差を是正していくことも今後取り組まなければいけない大きな課題です。

賃金カーブ(時給ベース)
出典元『厚生労働省』「非正規雇用」の現状と課題

賃金を上げるためには、労働生産性を向上し、空いた時間で他の業務を行う等で業績を向上させる必要があります。特に中小企業などにおいては、労働生産性が向上するとわかっていても、設備投資の初期費用にかけられる予算が限られているなどの理由から、設備投資が行われないことも多々あります。

各企業で、労働生産性を向上させながら従業員の賃金も向上させることを目的とした「業務改善助成金」が誕生しました。業務改善を行うための機材導入かつ最低賃金の上昇によって受給できる助成金ですが、申請手続きを行わなければ受給することができません。今回は業務改善助成金の申請手続きについて説明していきます。

業務改善助成金の概要や受給要件について

業務改善助成金とは、生産性向上や最低賃金の引き上げを行った場合、受給できる制度です。

事業の効率化や働き方の見直し、生産性向上のための設備投資等、様々な取り組みを導入するためにかかった費用の一部を助成するものです。支給対象は、事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業・小規模事業者となります。

業務改善助成金の申請の流れ

申請は下記の流れで行います。計画や実施の報告などやり取りをいくつか行った後、結果助成金が支払われます。

業務改善助成金の手続き
出典元『厚生労働省』[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援

1.助成金交付申請書の提出

賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)と業務改善計画(設備投資などの実施計画)を記載した交付申請書を作成し、都道府県労働局に提出します。

2.助成金交付決定通知

都道府県労働局において、交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知を行います。

3.業務改善計画と賃金引上計画の実施

業務改善計画に基づき、設備投資等を行います。賃金引上計画に基づき、事業場内最低賃金の引上げを行います。

4.事業実績報告書の提出

業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を作成し、都道府県労働局に提出します。

5.助成金の額の確定通知

都道府県労働局において、事業実績報告書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金額を確定し、事業主に通知します。

6.助成金の支払い

助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書を提出します。

申請に必要な交付申請書と事業実施計画書の書き方

業務改善助成金の申請には、「交付申請書」や「事業実施計画書」を作成する必要があります。

交付申請書について

交付申請書には、事業所の住所や代表者名などの汎用的な情報と、申請金額や事業の目的及び内容などを記載する必要があります。

どんな設備投資をするのか、設備投資にかかる費用はいくらなのかの見積もりなどを申請前に計画立てておく必要があります。

業務改善助成金の交付申請書
出典元『厚生労働省』各種様式(Wordファイルがダウンロードされます)

申請金額については「国庫補助金所要額調書」の国庫補助所要額を記載します。国庫補助所要額については「国庫補助金所要額調書」の表に則って総事業費から順に計算していけば、費用が算出できます。

国庫補助金所要額調書
出典元『厚生労働省』各種様式(Wordファイルがダウンロードされます)

事業の目的及び内容については、賃金引上げ計画や業務、改善計画の概要を記入しましょう。

事業実施計画書について

事業実施計画は、申請企業の規模(資本金や労働者数など)の汎用的な情報、時間給などが1,000円未満である賃金引き上げの対象となる労働者、引き上げ金額、引き上げ後の新たな就業規則などを記載します。

事業実施計画書の中で、最も記入の難しいと思われる事業実施計画について掘り上げて説明します。

業務実施計画書
出典元『厚生労働省』各種様式(Wordファイルがダウンロードされます)

現状の作業方法(問題点)所要時間などには「具体的に現在どのような課題があるか(書類が電子化されていないために探す時間がかかる、1人あたり5分で1日あたり20人の書類を探しているなど)」を記載します。

設備投資など業務改善計画の内容には、電子記録システムを使うことで情報が一元管理できる、情報をすぐに確認できるなどの、施策内容と目的を記載します。

計画の実施による生産性向上・労働者の労働能率の増進・業務改善の効果としては、具体的にどんな効果が得られるのかを記載します。例えば「電子記録システム」を使うことで1人あたり30秒、従来に比べて1人あたり4分30秒の短縮、1日あたり90分の業務時間の短縮が見込まれるなどと記載します。

様々な施策で助成が受けられる心強い助成金

業務改善助成金は、申請して交付が認められても実態が伴わなければ実際の支払いが確定しない助成金です。申請の段階では計画を提出し、申請が認められた後に計画を実施し、実施結果を報告することが必要ですので、手続きの回数は多くなります。

しかし労働生産性向上に伴う設備投資であれば、様々な場面で助成金を受給できます。まずは自社の業務を見直し、具体的にどんな作業にどれだけ時間がかかっているのか、設備や機器投資によってどの程度時間を短縮できるのかを見積もり、自社の業務での課題を発見することが大切です。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ