人材確保の方法は採用だけではない
企業が成長を続けていくためには、優秀な人材を確保することが必要不可欠です。人材の確保というと採用をイメージする人も多いかもしれませんが、採用した人材や元々社内にいる人材を育成することも、大事な人材確保の取り組みです。
本記事では、自社が理想とする人材を育成するにはどうすればよいか、具体例をまじえながら解説します。
人材育成の基本的な流れ
一般的な人材を優秀な人材へと育てることは、優秀な人材の採用とともに進められるべき重要な課題です。育成戦略が成功していれば、優秀な人材が孤立せずに済み、自己成長の機会を求めて優秀な人材が自然と集まってくるようになります。
ここでは、4つの項目について説明します。
1.優秀な人材の要件を明確化する
1つ目は優秀な人材の要件を明確化することです。目指すべき方向を明確にしなければ、どんな行動も遠回りになってしまいます。
会社の状況と目指す方向性を元に「このような会社に成長するため、こうした人材が必要だ」という育成の理由と目標を明確にしましょう。
2.獲得すべきスキルの要件と程度を明確化する
2つ目は獲得すべきスキルの要件と程度を明確化することです。どのような人材が必要かを定義できたら、どのスキルがどの程度求められるのかを明確にしましょう。必要なスキルの種類とレベルが具体的になるほど、育成計画を綿密に立てやすくなります。
3.教育研修プログラムの内容やスケジュールを明確化する
3つ目は教育研修プログラムの内容やスケジュールを明確化することです。教育研修の内容やスケジュール、目的や目標などを明確にすることで、社員の成長を早めることができます。
どのようなプログラムを実施するかは、後述の「人材育成の具体的な手法」も参考にしてください。
4.プログラムを運営し、効果を測定する
4つ目はプログラムを運営し、効果測定をすることです。人材育成は1回研修をして終わりではなく、継続してPDCAを回していくことが重要です。
効果測定は、定量と定性の両面で行います。定量とは研修後のテストの結果など数値で表されるもの、定性とは社員の仕事に対する積極性やモチベーションなど数値に表せないものです。出てきた結果をもとに、今回のプログラムの問題点や改善点などを整理していきましょう。
人材育成の具体的な手法
ここでは、具体的な人材育成の手法を9つ紹介します。
OJT(On the Job Training)
OJTとは、実際に業務をやりながら知識やスキルを身につけていく育成手法です。机上の知識だけではなく経験も同時に身につけられるため、即戦力が期待できます。
一方で、教育担当の社員のレベルによって育成の質に差が出やすいという特徴もあります。教育担当者のやり方だけに任せるのではなく、企業側と教育担当者でどのような教育をいつまでに行うのかなど、教育内容を事前にしっかり擦り合わせておく必要があるでしょう。
教育担当者は通常業務に加えて育成業務も追加されるため、負荷が増えてしまう可能性を考慮しなくてはなりません。
OFF-JT(Off the Job Training)
OFF-JTとは座学やグループワークをとおして知識を学ぶ、いわゆる集合研修のことです。全員が一斉に同じ講師から同じ内容を学ぶため、研修の質のバラつきを抑えることができ、新入社員の早期戦力化や教育研修の効率化につながります。
ただし、OFF-JTで知識を学んだだけでは実務ですぐに活躍するのは難しいでしょう。OFF-JTとOJTはどちらか一方のみ実施するのではなく、両方を組み合わせることで相乗効果が発揮されます。
eラーニング
e-ラーニングとは、オンラインで動画や資料を閲覧して知識を習得する育成手法です。育成対象者が好きな時間や場所で学ぶことができる点や、教育担当者を設ける必要がない点がメリットです。
一方で、一人ひとりが個別に学習をするためモチベーションの維持が難しく、知識の定着レベルにも差が出やすいのはデメリットといえるでしょう。企業としては、育成担当者がモチベーションを維持できるような対策を検討する必要があります。
自己啓発
企業側が準備したものではなく、勤務時間外に社員が自発的におこなう学習を自己啓発といいます。書籍や勉強会などを利用し、知識やスキルを身に付けるのが一般的です。学習にかかる費用は個人が負担する場合もあれば、企業から補助が出るケースもあります。
厚生労働省が行った「令和3年度 能力開発基本調査」によると、労働者の自己啓発に対する支援を行っている事業所は81.4%と、多くの企業が何かしらの自己啓発支援を行っている状況です。支援の内容は「受講料などの金銭的援助」「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」が多くなっています。
目標管理制度
目標管理制度とは経営学者のピーター・ドラッガーが提唱した手法で、MBO(Management By Objectives)とも呼ばれます。社員個人が目標を立て、それがどれくらい達成されたかを評価します。
目標を社員自身に立てさせるため、その目標達成のために自分で工夫や努力をして仕事に取り組む効果が期待できます。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行うミーティングのことです。業務の進捗確認だけではなく、部下の悩みや中長期的な目標の共有、それを達成するためのアクションプランなどを話し合います。
1on1ミーティングでは上司が一方的に部下に話をするのではなく、上司が部下の話に真摯に耳を傾けることが大切です。密なコミュニケーションをとることで、信頼関係の構築が期待できます。信頼できる上司のもとで仕事ができる環境により、部下のモチベーション向上にもつながるでしょう。
メンター制度
メンター制度とは、若手社員に対して先輩社員が1対1でサポートを行う制度です。若手社員を「メンティー」、先輩社員を「メンター」と呼びます。
通常はメンティーと別の部署の先輩社員がメンターを務めます。メンター制度では業務的な指導を行うのではなく、メンタル的なサポートや将来のキャリアに関するアドバイスなどをメインに行う点が特徴です。同じ部署の先輩や直属の上司にはどうしても言いづらいことを言える相手ができることで、メンティーの早期離職の防止やモチベーション向上が期待できるでしょう。
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、計画的に社員の配置転換を行うことです。単なる部署異動とは異なり、人材育成の目的をもっている点が特徴です。
社員にいろいろな経験を積んでもらうことで多角的に企業内の仕事を捉えられるようになり、社員のスキルアップや知識の充実などが期待できます。また、ジョブローテーションを上手く取り入れることで同じ業務に飽きた社員のモチベーションが下がってしまったり、離職してしまったりする可能性を防ぎます。
優秀な人材の育成には「ミツカリ」が役に立つ!
ここまで、優秀な人材を育成する方法を紹介してきました。人材育成の手法は数多くありますが、育成の効果を最大化するためには「対象者に合った研修内容の選定」「育成する側が育成される側の資質を把握して効果的なアプローチをする」「社員のキャリアビジョンを把握する」などが重要になります。
しかし、これらを人事担当者がすべて判断するのは容易なことではありません。そうしたときに役立つのが、適性検査サービスの「ミツカリ」です。
ミツカリは、適性検査によって人や組織の特徴、相性を可視化するサービスです。社員一人一人がどのような志向性を持っているのか、どのようにアプローチすれば育成が上手くいくのかなどもわかるようになります。
ミツカリでできること
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72問の質問に答えるだけで、一人ひとりの性格や価値観を分析できます。所要時間は10分程度。業務の合間に受検でき、社員の負担になりません。
相手に適した具体的なコミュニケーション方法がわかる
相手に好まれる・嫌われる接し方が可視化されます。相手に適した具体的なコミュニケーション方法が提案されるため、相手の特徴や強みを理解した上で仕事を任せることができたり、本音を引き出せる1on1面談が実現できます。
配置配属や上司・メンター選定の精度向上に使える
上司や部署との相性を考慮した配置配属の選定を行うことで、人間関係の悩みを抱えにくくなり、社員のモチベーション向上に寄与します。
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入社後に変化しづらい性格・価値観をハイパフォーマー分析に用いることで、教育研修だけでは実現できない人事施策を立案できます。
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優秀な人材の育成が企業の成長につながる
人手不足が深刻な現代日本において、優秀な人材を確保して自社の成長を維持するために、優秀な人材の育成に取り組むことは、各企業の人事部の最重要課題といえるでしょう。
人材育成に取り組もうと考えた際に、いきなり研修内容を検討してしまうことがありますが、それでは期待する効果を発揮することができません。本記事でも解説したとおり、まずは自社にとっての優秀な人材を定義し、その人材に近づくためにどのようなアプローチが必要かを考えることが大切です。