人を成長させるのは研修では無く経験である
部下をまとめ導く管理職は、組織においては無くてはならない存在であり、その成長が会社の成長に直結するとも言えるでしょう。
HR総研のアンケート調査によると、管理職研修を実施している企業は全体では約7割であり、1001名を超える大企業に関して言えば、およそ8割の企業が実施していることが分かります。
出典元『HR Pro』HR総研:人材育成「管理職研修」に関する調査報告
具体的な研修の実施内容としては、「マネジメント」や「リーダーシップ」が多く、管理職が抱える課題には部下育成力やコーチング力と行った抽象的なスキルが多いことが伺えます。
出典元『HR Pro』HR総研:人材育成「管理職研修」に関する調査報告
米国で最も注目される、リーダーシップ育成機関である、ロミンガー社が経営幹部であるリーダーシップを上手く発揮できる人へ行った調査によると、役立った情報として研修は1割であり、およそ7割が経験だという結果がでています。
出典元『ITmedia ビジネスONLINE』「そんなの意味があるのですか?」と言いたげな新入社員たちへ (1/2)
今回は、経験から得られる学習方法である経験学習について紹介します。
経験を学びつなげるための学習方法「経験学習」とは
経験学習とは、人が学習する上で、経験を有効活用し深く学ぶという考え方で、人材育成においては必要不可欠な考え方と言えます。
人材育成の方法には、研修やトレーニングを始め色々な方法がありますが、本当の意味で能力を高めるための方法の多くは、現場での経験によるものだと言われています。経験学習とは、そうした経験に基づく学びのプロセスを理論化して実行することだと言えます。
経験学習モデルは、組織行動学者であるデービッド・コルブにより提唱されました。人が経験を通じて学ぶためのプロセスとして「経験」「省察」「概念化」「実践」という4つを挙げ学び取るということをモデル化しています。4つのプロセスを意識し取り組むことで、ただ単純に経験を重ねるだけでは得られない学習効果が得られるようになります。
出典元『ものづくり.com』人的資源マネジメント:経験学習プロセス(その2)
各プロセスについて簡単に説明すると、「経験」はその名の通り、まずは具体的な経験を積むことです。「省察」はその経験を振り返り、成功や失敗の背景について理由を考えること。そして「概念化」し将来の自分や他人にも伝えることができる教訓として残します。最後に「実践」として、本当に効果のある方法なのか、実践しながら検証し次に生かします。これらを一連の学習サイクルとして、経験学習を行うことで、経験を経験のままに終わらせず、次に繋げる方法として学習し習得することができるのです。
経験学習の最大のメリットは、一度このサイクルを理解し身に着けることができれば、学習の幅が広がることにあります。研修やトレーニングのみならず、日々全ての業務内容から学び成長することが可能になります。これは管理職のみならず、全ての社員に対し言えることです。
経験学習モデルの有効活用が経験学習による成長の鍵
経験学習とは、日々の業務や人間関係など全ての経験を通して学ぶ事であり、デービッド・コルブが提唱した、経験学習モデルは、その学びを最大限に活かすための方法です。
新しい知識をインプットする研修や座学も大切ですが、日々の経験全てを学習につなげる姿勢や考え方は、変化の大きい時代だからこそこれからますます重要になって来るでしょう。