実行力とは?活用する企業にとってのメリットやデメリットとは

これからの時代に求められる「実行力」

経済産業省は「人生100年時代の社会人基礎力」を題して、3つの能力と12の能力要素を定義づけました。3つの能力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」。実際に、これらの採用市場での需要は高まっています。

マイナビによる「(新卒の)選考時に重視する力」の調査結果です。項目は前述の経済産業省によって掲げられた「人生100年時代の社会人基礎力」で挙げられた12の能力要素ですが、「主体性」「実行力」で特に高い数字が出ていることは注目に値します。両者は「前に踏み出す力」を構成する要素として位置付けられており、若手人材にはこの力が強く求められている傾向があることがわかります。

選考時に重視する力
出典元『マイナビ』2020年卒マイナビ企業新卒採用予定調査

日経新聞と日経HRは「企業の人事担当者からみた大学のイメージ調査」をみてみましょう。このランキングで査定項目となったのは、「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」の4つです。ランキングの第1位となった九州大学は、その4つのなかでも特に「行動力」で高いスコアを出しています。大学が基幹教育として「アクティブラーナー」の育成を目指していることにもよります。アクティブラーナーとは文字通り「能動的に学ぶ人」です。学び続ける意志を持ち、未知の問題や課題に対して挑戦する精神を持った人であり、「指示待ち族」の対極とも言えるこうした人材の社会的な需要は、ビジネスシーンの多様化とともに増大しています。

参考URL『日経HR』企業の人事担当者から見た大学イメージ調査 『就職力ランキング 総合1位は北海道大学』上位を国公立が占める

今回は「実行力」についてその意味・定義を説明し、従業員がこのスキルを身につけているか否かでどんなメリット・デメリットがあるかを考察します。

実行力とは?どのようなスキルなのか

実行力とは、ある目的を実現するための計画的な行動を起こせる力のことです。単純に「なにかをする」だけではなく、実行力では目的に対して現状とどんな差があり、その差を埋めるために必要な要素を見つけ、段階的にどのように解決していくかを論理立てて考える能力も求められます。

「実行力」と「行動力」の違いとは?

「実行力」と似た概念として「行動力」があります。違いは「行動力の概念の一部として実行力がある」と考えれば理解しやすくなります。行動力も実行力も、ともになんらかのアクションを起こす力に変わりありません。

両者の違いは、目的に対する行動に「計画性」が伴うか否かです。行動力とは計画の有無にかかわらず行動を起こすことであり、実行力とは目標に対する計画を設定し、その計画を実行するスキルのことです。つまり「計画」という条件設定がなされた状態での行動力が「実行力」であるとも考えられます。実行力とは、行動力のなかでも思考力を特に要する能力です。

従業員の実行力が高いことによる企業のメリットについて

実行力が高い人材は、発想を形にする力が長けています。「こういうふうになりたい」という抽象的な理想像でもそれがどういうものか、どうすればその理想像に近づけるかを具体的に落とし込む考察力があり、常に具体性のある言動をとります。

具体性のある発言・行動が組織内に浸透すると、問題意識が明確になり、無駄な会議を減らすことにもつながります。思考や行動の無駄を減らし、合理的な行動に集中できるようになるため、組織全体の生産性の向上が期待できます。

従業員の実行力が低いことによる企業のデメリットについて

従業員の実行力が低いと、新規事業の立ち上げなど前例のないプロジェクトを成功させるのが難しくなります。そもそも行動量が少ない組織であれば、新しいことをはじめるとなると参考にすべきモデルケースが少なく、どのようなリスクヘッジをとるべきかを具体的に検討するのが困難になります。

実行力が低い従業員は、プロジェクトを成功させるにあたって、問題点を具体的に洗い出し、段階的にどう解決していくかの行動計画を立てることができません。こうした従業員が組織内に多くなると、プロジェクトを進めようには次になにをするべきかが一向に見えず、不毛な会議や作業が増えてしまう傾向があります。

実行力が高い若手人材は伸びしろが大きい

実行力とは、目標を設定して行動する能力のことです。似た概念で「行動力」がありますが、目的に対して起こす行動に計画性があるかどうかが、両者の違いとなっています。

実行力は、一般的に社会人基礎力というものにも挙げられます。経済産業省が定める「前に踏み出す力」の構成要素でもあり、業務上で生じるさまざまな問題解決をするための原動力となる能力です。汎用性が高いスキルですので、実行力が高い若手人材の伸びしろは大きく、採用段階での見極めも重要です。後天的に伸ばすことも可能ですので、入社後の教育研修などで育成することも大切です。

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