学歴フィルターとは?現状や目的、活用するメリット・デメリットについて

採用における学歴フィルターとは

採用における学歴フィルターとは、採用条件の1つとして最終学歴を設定する採用手法です。

多数の候補者の中から効率的にスクリーニングできるというメリットがありますが、最近では母集団形成に苦戦する企業が増えていることもあり、絶対評価ではなく「努力してきた歴史をみるための一つの基準」として、相対的に利用するケースが増えています。

採用における学歴フィルターの背景にある人材獲得の格差

売り手市場と言われる一方で、人材獲得における企業格差は広がっています。

1つは企業規模です。「ワークス大卒求人倍率調査(2020卒)」によれば、大卒の求人倍率は、300人未満企業(中小企業)では8.62倍であり、5,000人以上では0.42倍と、大きな格差が存在します。

従業員規模別求人倍率の推移
出典元『リクルートワークス研究所』第36回 ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」によると、大企業のほうが従業員の不足感を強く感じています。これまで長い間、当たり前のように用いられてきた「学歴フィルター」の是非を検討する時期が訪れているのではないでしょうか。

従業員の過不足感規模別
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)

今回は、学歴フィルターの現状とメリット・デメリットを把握しておくべきでしょう。

採用における学歴フィルターの現状

アイデム「2018年卒 新卒採用に関する企業調査」によると、学生の属性や特徴に対してフィルターを設けている企業は46.5%と半数近くに上ります。43.8%の企業が学部・専攻に対して、37.6%の企業が学歴・学校名に対して、フィルターをかけていることが判明しています。

フィルターの有無
出典元『株式会社アイデム 人と仕事研究所』2018年卒 新卒採用に関する企業調査


出典元『株式会社アイデム 人と仕事研究所』2018年卒 新卒採用に関する企業調査

大卒以上を要求する求人の特徴とは?

採用において学歴フィルターを設ける企業には、ある特徴が伺えます。業務の特性上、高い地頭力が求められる業種ほど、学歴を重視する傾向が強いと推察されるのです。

dodaが実施した中途採用の実態調査によると、学歴が最も求められている業種は総合商社でした。次に、金融/保険の中でも特に銀行、教育は、新卒・中途いずれも学歴を重視する傾向が強く、高い論理的思考能力や問題解決力が求められるコンサルティング/リサーチが続きます。

大卒以上を求める求人割合
出典元『doda』学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−

大卒以上を求める求人は全体の44%、六大学クラス以上は7%、旧帝大・早慶クラスは6%とのことです。

大卒以上を求める求人割合
出典元『doda』学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−

求職者が学歴フィルターを感じたことはあるか

日本労働組合総連合会(連合)が実施した「就職差別に関する調査2019」によると、就職活動中に学歴フィルターを感じたことがある人は40.2%にも上りました。

学歴フィルターを感じたことがあるか
出典元『日本労働組合総連合会』就職差別に関する調査2019

本調査にコメントを寄せた竹信三恵子氏(和光大学名誉教授・ジャーナリスト)は、自社の「学歴フィルター」が仕事の遂行力に見合ったものなのかを検証する必要性を指摘しています。

採用で学歴フィルターを設けるメリット

採用で学歴フィルターを設けるメリットとして、よく挙げられるのは下記です。

  • 基礎学力の予測に役立つ
  • 努力できる人材であるかを判断できる
  • 応募が多すぎる場合、書類選考の効率UPを図れる
  • 高学歴の人ほど優秀だったという体験をもつ人事担当者や役員の合格を取り付けやすい
  • 新卒ほど判断材料が少なく、誰でも分かりやすい学歴は判断しやすい

しかしビジネス環境は大きく変化し、画一的な業務遂行能力よりも創造性やチャレンジ精神を求める企業が増えるなど、学歴フィルターを取り巻く社会的背景は変わりつつあります。学歴情報は「努力の歴史」をみる一基準として、あるいは本人の発言の客観的裏付けとなる判断材料として活用することが望ましいのではないでしょうか。

採用で学歴フィルターを設けるデメリット

学歴が高い候補者の中には、勉強はできるが協調性がない、自ら課題設定をする力が低いなど、自社の採用要件に満たない人も含まれています。学歴以外の項目も、色眼鏡をかけずに評価する必要があるのです。

自社が設定している学歴フィルターによって弾かれてしまった候補者の中にも、学歴以外の項目においては自社が欲しい人材にぴったりな人が含まれることもあるでしょう。学歴フィルターのせいで、自社で活躍できるポテンシャルを秘めた人材まで排除してしまうというリスクがあるのです。

採用における学歴フィルターは、従来よりも控えめに活用を

採用における学歴フィルターは、人事担当者の採用に係るマンパワー不足を解消するために、定量情報で候補者をフィルタリングする目的で使われてきました。しかしビジネス環境は大きく変化しています。学歴フィルターが有効に働かない場面も増えていることを留意しておくべきでしょう。

マニュアルワークや終身雇用が中心だった過去の採用に比べ、現代では業務内容が多様化し、またAIをはじめとするテクノロジーの活用が進み、企業が求めるべき人材要件は変わりつつあります。

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