生産労働人口の減少と活躍していない社員の存在
優秀な人材の確保は多くの企業にとって重要な問題となっています。売り手市場化が進む中、新卒・中途人材問わず優秀な人材の採用は難しくなっており、現在政府の推進する働き方改革では、これまで労働力としての価値を見出されていなかった、外国人や女性、シニア世代を活用することでろ労働力不足を補っていくという指針が示されています。
厚生労働省の調査では、2013年以降は労働力人口は減少する見込みであり、人材の採用はこの先更に困難になっていくと予想されます。
社内失業者の割合については、内閣府の2011年の調査では8.5%にあたる465万人が該当し、リクルートの調査では、このままの推移だと2025年には415万人が雇用保蔵者として該当するとの予測データが出ています。
出典元『リクルートワークス研究所』2025年 働くを再発明する時代がやってくる
また2021年時点での日本人の平均年齢は47.2歳となっており、平均年齢は今後も上がり続けると推計されています。平均年齢は15歳未満などの人口も含まれるため、そのまま労働力人口の平均年齢と考えることができませんが、人口人数的にも経験的にも会社の中核を担っているはずのミドル層の活用は会社にとっても重要な課題といえます。
今回はミドル層のモチベーションを低下させる現象である「キャリアプラトー」について説明します。
キャリアプラトーとは?40歳代のミドル層に多い理由
キャリアプラトーとは、年齢が増すにつれキャリアに行き詰まりスキルアップの機会を失うことです。プラトーは停滞という意味で、そこに留まってしまうような気持ちになりモチベーションが低下する要因となります。
キャリアプラトーは40歳代のミドル層に多いと言われています。
キャリアプラトーの種類と内容について
キャリアプラトーは2つ種類があります。
仕事内容に対するキャリアプラトーです。新人や若い年代はわからないことも多く、日々あたらしい経験や知識を取得し、自分の成長を感じやすいものです。上司に叱られ失敗しながらも同時に成長を感じ、自分の能力が伸びていくのを感じられれば、モチベーションも上がり充実した気持ちで働くことができるでしょう。
しかし40代のミドル層になると成長を感じることも少なくなります。仕事もマンネリ化し、ある程度のことは出来るがそれ以上の目標は達成できそうにない、そして挑戦するモチベーションも持てなくなってくる状態が仕事内容のキャリアプラトーです。
次に昇進、昇格のキャリアプラトーです。組織では、課長、部長と役職が上がっていくのですが、ポストは数に限りがあって、すべての従業員が管理職に就けるわけではありません。自分の社内における位置づけや、今後どこまで昇進できるかなどがある程度分かってくることでキャリアプラトーを感じてしまうのです。
これ以上自分が昇進できない、キャリアの頭打ちだと感じることでモチベーションが低下し、新たな仕事に挑戦することや新しいスキル開発に励むことができなくなってしまう状態が昇進、昇格のキャリアプラトーです。
キャリアプラトーが発生する原因や理由について
キャリアプラトーが発生する理由は何なのでしょうか。
キャリアプラトーが多く発生するミドル層の40代という年代が、そもそもキャリアの危機を感じやすい時期となります。この年代は、管理職になる人と非管理職で留まる人と発生し、相互の就労意識やモチベーションの差が大きくなります。非管理職に留まり特段の専門性も深掘りできていない人は、社内で居心地の悪さを感じながらも年齢的に転職する勇気を持てず、定年まで省エネモードで居続けようと保守的になる人も多くなります。
40代という年代が、今後のキャリアにおいて仕事だけでなく家庭を守ることや市場価値という現状を考えることになるため、キャリアプラトーを感じやすくなるのです。
キャリアプラトーが企業に引き起こす問題点や課題について
キャリアプラトーが企業に与える影響として、まず仕事へのモチベーションが低下している点が挙げられます。仕事への意欲がないため、求められている以上の仕事を行うという考えは起きづらいでしょう。昇進や昇給の見込みもないことから、言われたことだけを行う受身的な働き方になってしまうかもしれません。そうなると労働生産性が落ち、仕事の効率は悪くなる一方でしょう。
仕事のスピードや変化についてこられず、新しいことを積極的に吸収しようとしない課題も挙げられます。仕事への情熱や充実感を失っているため、新しく学ぶことや挑戦することを諦めてしまう人が多くなります。企業として時代の変化に対応することができなくなったり、対応が遅くなるなどのマイナスな影響を及ぼしてしまいます。
キャリアプラトーが従業員に引き起こす問題点や課題について
キャリアプラトーが他の社員に与える課題は、ネガティブでモチベーションが低い状態が組織内に広がり、他の社員の気持ちにもマイナスな印象を与えてしまう点でしょう。真面目に頑張っている社員は、その社員に対してあまりいい感情を持たないでしょうし、組織のチームワークを阻害してしまうと考えられます。
キャリアプラトーを抱えている社員は、組織内でも他者とのコミュニケーションを取らず孤立してしまう人もいるため、組織の一体感はなくなり他の社員にも悪影響を及ぼしてしまいます。結果優秀な社員が転職してしまう可能性も高まってしまうでしょう。
キャリアプラトーの改善が中長期的な企業の成長に繋がる
キャリアプラトーとは、組織内での昇進・昇格の可能性に行き詰まり、モチベーション低下や能力開発の機会損失に陥る現象のことで、40代のミドル層に多く見られる現象です。キャリアプラトーに陥っているミドル層社員のモチベーションを改善することが、新人教育や労働生産性の向上、しいては中長期的な企業の成長を実現することが可能となります。
現在対策を講じていない企業では、重大な内容として対策を検討してみてはいかがでしょうか。