女性が転職を考えるきっかけとは?気になる職場の人間関係トラブル

もはや転職はリスクではない

終身雇用制度が崩壊し、年功序列制度が一般的でなくなったことにより、今は転職に対する価値観も変わってきました。就職する際に「転職が前提」という考え方が世の中に定着してきているため、転職がリスクと考えられていた時代よりは、最初からマイナスイメージを持つということは少なくなってきているようです。

厚生労働省の調査では、60歳までで転職しなかった(離職回数が0回)である男性は約半数、女性においては3割以下となっています。女性は、結婚や出産などを期に離職することも多いですが、離職回数1回(現在無業)よりも現在有業もしくは離職回数2回以上(現在無業)の割合が多くいるため、転職活動を経験している女性が多くいることが読み取れます。

離職回数割合
出典元『厚生労働省』職業生涯を通じたキャリア形成

しっかりとした理由があれば転職回数が多くても採用に至るケースも当然あります。リクナビNEXTの調査によると、4回以上の転職経験者を63%の企業が「採用したことがある」と回答しています。

これまでに採用した人で一番多かった転職回数は
出典元『リクナビNEXT』職回数が多いと不利?年代別の転職回数と採用実態

しかし転職活動をしたことがない人にとっては、どのようなことをきっかけとして転職活動を始めたら良いのかわからないのも事実です。

実際のデータから、女性が転職に踏み切った理由について説明します。

男女別、勤続年数別で見る離職理由

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が2016年5月に公表した「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状」から、男女別、勤続年数別の離職理由を見ることができます。

初職を辞めた理由
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状

「初めて勤務した会社」を離職した人に対し、その離職の理由を複数回答で挙げてもらい、調査しています。

初職が正社員だった人の離職の理由は、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係がよくなかった」「仕事が自分に合わない」が多く挙げられています。入職から1年未満の特に早期にやめた場合と、1~3年未満でやめた場合は、3年以上の勤続の後にやめた場合に比べて、この3つの理由を挙げる比率が高くなっています。

3年以上の勤続後の離職の場合、人間関係や仕事が合わないという理由を挙げる人の割合は少なくなり、「結婚、子育てのため」や「会社に将来性がない」が多くなっています。特に女性では、結婚、子育てという理由増えています。

継続期間の分類に関わらず、最も多い理由が「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」というものでした。この内容は自分の力では条件を変えることが難しく、他の要素と相まって転職理由となることが多いからと予測されます。

一定期間を過ぎてからの離職には、それぞれのキャリアの選択と絡んだ理由が多くなっていますが、女性に限って見ると「人間関係がよくなかった」という理由が3位に入り、女性の離職理由として上位に挙げられていることがわかります。

その他の理由としてあげられるものには「ノルマや責任が重すぎた」「会社に将来性がない」「健康上の理由」「賃金の条件がよくなかった」などがあります。仕事や職場への不満や、自分自身の状況と折り合いがつかずに転職に至るケースが多い実態がうかがえます。

会社選びから見る転職理由

同じ6章で、正社員経験がある人に対して、初めて正社員として勤務した会社を選択する時に重視した事項について調査しています。

初めての勤務先で重視したこと
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状

初職就職先に定着している人では、3分の2の人が「仕事の内容・職種」を挙げ、最も多くの人が支持する条件であることがわかります。次いで「会社の規模・知名度」「勤務地」となっています。

早期離職者でも最も多くの人が挙げるのは、「仕事の内容・職種」であり、「勤務地」も多く、この点は共通しています。しかし3番目は「自分の技能・能力が活かせる」であり、「会社の規模・知名度」を挙げる人は、初職継続者の半数程度にとどまります。

このほか、労働時間・休日、会社の将来性、福利厚生、社会的意義の項目についても、初職継続者に比べて早期離職者は重視する人が少ないことがわかります。

女性では、知名度よりは労働時間・休日を重視する人が多くなってはいるものの、早期離職者では、男女ともおおむねの傾向はかわりません。

これらのことは、離職理由の「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「仕事が自分に合わない」「ノルマや責任が重すぎた」といった項目に関係してくるものと考えられます。

どんな人との相性が良いのか、自己分析してみよう

男性と女性が転職を考えるきっかけとして、「結婚、子育て」以外では概ね同様の理由が挙げられています。

特に女性は、人間関係をきっかけとし転職を考えることが多くあることもわかりました。しかし、転職先の人間関係を事前に調べることは、とても難しいことです。

転職活動を行う際には、前職において「どんな人と働きやすいか」「どんな人と働きにくいか」の特徴をリストアップして自己分析を行い、面接などの場において「どのような人が多く在職しているのか」「配属予定先の部署の人と会うことは可能かどうか」などから、見極めていく必要があります。

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