企業が抱える現代の組織課題とは
経営人材の育成は、人事の重要課題として上位に挙がるテーマのひとつです。
経済産業省の調査によると、将来の経営人材の確保・育成について「順調」と答えた企業は7.2%しかなく「どちらかというと順調」を含めても37.6%となっており、過半数の企業が経営人材を確保・育成できていない現状が明らかとなっています。
リクルートマネジメントソリューションズの調査によると「人事・組織戦略上の課題」として「自分の後任を担える人材・次世代リーダーが育っていない」「採用した人材のパフォーマンスが上がらない」「パフォーマンスの上がらない人材を代謝できない」など、パフォーマンスやマネジメントに関する課題が上位に挙げられています。
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』成長期の企業の経営者・事業責任者は何に悩むのか?
内閣府の調査でも、管理職がマネジメント行動を執れていないと思う割合は、管理職・一般職員ともに「部下のキャリア形成や人材育成に対する支援」が1位として挙げられており、人材育成には多くの課題が残っているのが現状です。
出典元『内閣官房内閣人事局』管理職のマネジメント能力に関するアンケート調査 結果概要(最終報告)
今回はリーダーシップ研修などの人材育成に用いられている「アクションラーニング」について説明します。
アクションラーニングの実施方法とは?コーチが大切
アクションラーニングとは、現実の課題を基にした学習方法で社員の教育に用いられる手法です。グループディスカッションのようにチームで協働して仮説を立案し、推進・検証をし、内省により問題の全体像や本質を探り、解決策を見出します。
グループで行うので、自分では気づかない視点や個人の内省が鍵となり新しい視点を得ることができる点もアクションラーニングの特徴です。
アクションラーニングの目的と内容について
アクションラーニングは、受講者が所属する会社や部門が実際に抱えている問題をテーマにします。現場での現実的な課題について検討することで、議論した仮設を現場に戻って実践し、また現場を離れた場で検証を行い、新たな解決策を生み出すというサイクルを自ら回すことで参加者の自発学習性を生み出し、組織的成果も高められます。
現実的な問題を議論することでよりリアルに現場の対応を学べ、受講者のモチベーションも刺激を受けやすいことも目的として挙げられます。
アクションラーニングのやり方や進め方について
アクションラーニングはどのように進めていくのでしょうか。具体的にはステージに沿って進んでいきます。
1.問題の理解と問題の再定義
どんなテーマで話し合うのか課題を設定します。
アクションラーニングでは実務内で抱えている問題を取り扱います。当事者として課題を認識できるので、ワーク自体の質も高まります。
2.目標の設定
課題が決まったらゴールを設定します。どこまで目指すのか、課題がどうなることが達成なのかを議論します。
3.実行、質問する
議論ではアクションラーニングコーチが、メンバーに様々な質問をし、課題に関して深堀していきます。多様な角度からの質問にメンバーは回答と振り返りを繰り返しながら、問題の全体像を把握・理解し、整理しながら本質に迫っていくことができます。
質問されることで課題の状況が整理され、問題を根本的に洗い出し、解決するための行動について考えていきます。
4.内省、リフレクション
質問と同様に重要なのが内省(リフレクション)をして振り返ることです。質問を受け考え、今までの状況を振り返ることで課題の本質がはっきり見えてきます。アクションラーニングは「質問を行うこと」と「振り返ることを繰り返すこと」が肝になります。
アクションラーニングの大事なポイントは、アクションラーニングコーチの存在です。コーチが質問を繰り返しながら、課題についてチームメンバーが考えていることを明らかにし、メンバー間で共有される本質的な問題を明確にしていきます。
振り返りを繰り返すことでメンバーの考えの癖や強みが見えてきます。アクションラーニングコーチのスキルは、まさに今の時代に求められるリーダーのスキルといえます。チームメンバーの考えを聞き、学びと成長を促し、チームの力を引き出すリーダー像が期待されているのです。
課題解決力を育成することも可能でリーダーシップ研修にも有用
アクションラーニングとは現実世界の課題を題材にして、グループディスカッションなどによって個人や組織が学習を行うプロセスのことです。アクションラーニングは、業務で必要な課題解決力を育成することも可能であり、リーダーシップ研修などにも用いられています。
現場課題解決にも繋がるアクションラーニング、是非自社で取り入れられてみてはいかがでしょうか。