採用工数の大幅削減とは、新卒・中途ともに急務
「就職白書2019」および「中途採用実態調査」によれば、過半数以上の企業において、新卒・中途ともに採用数が計画を下回っています。
人口減少や人材の多様化を背景として、人材獲得の難易度が上がり続けているいまこそ、採用工数を大幅に削減して、人事が本来注力すべき採用プロセスに十分なパワーを割くことが必要なのです。
過半数以上の企業が人手不足に陥っている
2019年10月に帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、正社員が不足していると回答した企業は過半数を超えています。
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)
今後も採用難が、企業規模を問わず続く見込みです。採用工数を大幅に削減して、採用におけるマンパワーを優先すべき採用プロセスに割くために、3つの方法を念頭に置き検討を始めてみてはいかがでしょうか。
採用工数を大幅に削減する3つの方法とは
採用工数を大幅に削減する3つの方法とは、外部の採用代行会社や採用コンサルに採用業務の一部を委託するアウトソーシングや、オンラインでの試験やweb面接など採用プロセスのオンライン化、AIを活用した採用合否の意思決定サポートなどHR Techの活用があります。
1.アウトソーシング
1つ目は、外部の採用代行会社や採用コンサルティング会社に、採用業務の一部を委託する方法です。
採用プロセス1:企業情報や募集情報の公開
就職・転職サイトやSNSへの求人広告出稿、自社サイトでの募集情報掲載において、反響を検証しながら表現を最適化する、採用マーケティングのPDCAをまわす採用工数を削減できます。
採用プロセス2:説明会の実施
新卒採用の合同企業説明会や、中途採用の転職フェアへの出展において、母集団形成を目的とする場合は、人材を見抜く専門スキルの高さよりも多数の来場者に応対する手際の良さが求められます。イベントに慣れた採用代行会社に依頼する方が効果的です。
採用プロセス3:試験・書類選考
能力検査や性格検査などの適性検査による各種試験では、実施するツールと合否判定基準が明確であれば、必ずしも人事担当者が対応する必要はありません。書類のやり取りや管理などの事務作業も、業務フローが確立していれば、専任の担当者を一時的に配置するなどの対応ができます。
中途採用では、人材紹介会社を活用することで、募集情報の公開から書類選考まで一貫してアウトソースすることが可能です。
2.オンライン化
2つ目は、試験や面接など採用活動の一部をオンラインで実施して、採用工数を削減する方法です。
採用プロセス1:資料送付・問合せ
説明会前後に応募者からのリクエストに対応して書類送付や問合せ対応する場合に、電話や郵送での対応を辞め、オンラインやメールでのやり取りに切り替えることで、採用工数の削減を図れます。
採用プロセス2:試験・適性検査
SPI、一般常識、時事問題、専門的な小論文など、筆記試験をオンラインで実施し、合否判定もオンラインで通知することで、煩雑なやり取りから解放されるでしょう。
自社とのマッチ度を測るミツカリなどのオンラインテストを活用すれば、選考の質向上を図ることもでき、採用工数の削減には極めて効果的です。
採用プロセス3:書類選考
エントリーシート、成績証明書、履歴書、職務経歴書、志望動機などの書類選考において、紙の書類を郵送で受け取ることをやめて、オンラインで提出して貰えばデータで一元管理でき、採用工数のほか経費の削減も期待できるでしょう。
採用プロセス4:面接
Web面接を導入することで、採用工数の削減はもちろん、面接場所を確保する手間やコストの削減、遠隔の応募者でも面接しやすいことから母集団形成にも役立ちます。
最近は、志望動機や自己PRを動画で録画して送付してもらうという手法も登場しています。
採用プロセス5:内定者フォロー
内定者研修や教育をオンラインで実施するすることで、進度やモチベーションを把握しやすくなり、内定者の状況に合わせたフォローが可能となります。
オンラインで上手にコミュニケーションを取ることで、採用工数の削減はもちろん入社後のフォローもやりやすくなるでしょう。
3.HR Techの活用
採用プロセス1:問合せ
AIチャットで問合せ対応を行うことで、個別に応対する採用工数の削減はもちろん、応募者データの収集ができ、採用マーケティングの見直しや選考時の判断にも役立つでしょう。人事担当者のストレス軽減にも寄与するかもしれません。
採用プロセス2:書類選考
過去に入社した人材の書類をAIに学習させ、自社で活躍している人材に近しい人物を効率的にフィルタリングする、書類選考サポート機能を導入することで、採用工数の大幅な削減が期待できます。
ほかにも、人材マッチングを目的としたAI搭載ツールも登場しています。スキルマッチ、カルチャーマッチ、またスキルとカルチャー両方のマッチ度を測るものなど、様々なサービスがあるので、「人材マッチングでのAI(人工知能)活用事例・サービス紹介」の記事も、ぜひ合わせてお読みください。
採用プロセス3:面接
AI面接では、過去の採用合否などを学習したデータ分析から、採用面接における応募者の選定や面接の合否判定などを行います。
人事担当者の経験や勘に頼ることなく、また人間のように感情や疲労に左右されることがないため、採用業務の効率化に役立つと考えられています。
採用工数の改善のため、HR Techの活用が進む
採用工数を改善するため、いま注目されつつあるのがHR Tech(HRテック)です。AI(人工知能)を活用し人事業務の効率化を図るクラウドサービス全般のことで、採用合否判断の意思決定をサポートする役割を担います。
採用工数を改善するためには、アウトソーシングを経て自社の採用フローの全体像を見直しながら、注力すべき採用プロセスを明確にしたうえで、AI面接を最適なHR Techを活用することが今後のトレンドとなるでしょう。