ロールモデルとは「中長期的な人材育成」に不可欠
ロールモデルとは、社員のお手本となる人物のことです。社内や同じ組織など身近なところにロールモデルがいる社員は、将来の理想的なキャリアプランを描きやすく、模範となる行動や考えに接して自己成長意欲が向上します。
ロールモデルがいる最大のメリットとは、離職を防止し、中長期的な人材育成が可能になることなのです。
ロールモデルが離職防止に役立つ理由とは?
アデコの「働く人のキャリアに関する意識調査」によると、一般社員の約半数は、将来のキャリアプランを描けていません。また、Vorkersの調査によると、平成生まれの退職理由最多は「キャリア成長が望めない」。将来に対する漠然とした不安を払拭することで、離職を防止できることが伺えます。
出典元『THE ADECCO GROUP』働く人のキャリアに関する意識調査
出典元『働きがい研究所 by openwork』平成生まれの退職理由って?
社員各自が将来のキャリアプランを描きやすい組織を作って離職を防止するために、自社独自のロールモデルを設定・活用することは、結果的に中長期的な人材育成戦略につながるといえます。
自社独自のロールモデルを設定する目的とは
自社独自のロールモデルを設定する目的とは、社員の成長意欲や能力開発に対するモチベーションを向上させることです。
振る舞いや行動、スキル、考え方や働き方など、自社で理想的なキャリアを歩む指針を示すことで、社員本人の自発的な目標設定および継続的な行動を促すこと可能になるのです。
ロールモデルを設定するメリットとは
自社独自のロールモデルを設計・設定するメリットとして、下記が挙げられます。
- 憧れ・模倣の対象となる人物がいることで、社員は目指すべき姿を描きやすくなる
- 社員の成長意欲が向上し、能力開発やキャリア設計を自発的に行うようになる
- 仕事を通じて働きがいを得やすくなり、自社へのエンゲージメントが向上、離職率が低下する
- 中長期的な人材育成戦略を描きやすくなる
- 人事評価と教育研修の連携を図りやすく、組織マネジメントが円滑になる
ロールモデルを設定する方法とは
自社独自のロールモデルを設計・設定する方法には、3つのステップがあります。
ステップ1.ロールモデルの設定
最初に、ロールモデルの設定を行います。新卒、若手、中堅、リーダー職、管理職、などキャリアステージごとに、どんな人物が自社におけるお手本となる存在か、要件を設定します。
- キャリア
タイムマネジメントやコミュニケーションなど業務遂行における行動特性、物事の捉え方・考え方、能力開発やスキルアップの内容や方法 - ライフ
公私のバランスや心身の健康をいかに維持しているか、育児や介護などと仕事の両立を図るうえでの働き方や社内外における対応力
ステップ2.ロールモデルの選定・育成
ロールモデルとしてふさわしい人物の要件が設定できたら、適した人物の選定を行います。要件全てを満たす人物がいない場合は、部分的に満たしている人物を複数人選定することも一手です。
ロールモデルとして成長を見込める人物や、ロールモデルの要件を目指して自己成長を図ろうとする人物を、育成するのも良いでしょう。キャリア支援制度を併設し、育成支援の姿勢を見せることは、組織全体にポジティブな雰囲気をもたらします。
ステップ3.ロールモデルの周知
最後に、ロールモデルの周知を行います。
社内報などのツールを活用したり、全社会議など社員が集まる公の場でスポットライトを当てるなどの方法があります。メンター制度を併設して、社員がロールモデルと直接コミュニケーションを取れる場を作ることもおすすめです。
ロールモデルとは「ひとり」である必要はない
ロールモデルは、キャリアステージや職種別、働き方など、複合的な観点から設定し、社員全員が「自分はあの人みたいになりたい」と感じられるよう配慮します。一部の職種や属性に偏った設定だと、「自分は会社から求められていないのではないか」と感じる社員が出てしまい、却って逆効果となるので注意が必要です。
ロールモデルとは、決して「ひとり」に集約する必要はなく、様々な人材の良い情報を統合して、新たなロールモデルを設定することも有効です。