インテグリティがある人材の特徴や、企業に与えるメリットとは?

インテグリティが企業にとって重要な理由とは?

インテグリティ(integrity)とは「誠実さ」「真摯さ」「高潔さ」などと訳される、人間関係における重要な価値観を意味する言葉です。インテグリティは、プライベートの人間関係はもちろん、職場の人間関係を良好に保つ上でも大切な要素です。

職場の人間関係は、過去の様々な実験により、従業員の生産性に直結することが明らかになっています。良好な人間関係が生産性の向上につながると証明した実験としては、有名な「ホーソン実験」や「プロジェクト・アリストテレス」などが挙げられます。

ホーソン実験やプロジェクト・アリストテレスについては、以前の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

インテグリティという言葉は抽象度が高いため、きちんと定義するためには「インテグリティがある状態」と「インテグリティがない状態」が具体的にどのようなものであるかを理解する必要があります。

今回の記事では、インテグリティがある人材の特徴や企業に与えるメリットについてご紹介します。

インテグリティがある人材の特徴や、企業に与えるメリットとは?

「インテグリティがある状態」とは、組織を構成するために必要な「人」と「規範」が尊重され、組織が健全に運営されている状態を意味します。インテグリティがある状態の具体例として、インテグリティがある組織における従業員の特徴を以下に例示します。

  • 正義感があり、不正に対して厳しい態度が取れる
  • 利己的な態度でなく、組織の利益を優先できる
  • コンプライアンスを尊守できる
  • 他社の人格を尊重できる

以上の例から「インテグリティがある人材」とは、他のメンバーや組織全体について、俯瞰的かつフラットに見ることができる人材であるといえます。

上記の4つを軸としたインテグリティのある行動が組織に浸透すると、人間関係の衝突が減り、組織内の秩序が保たれます。インテグリティは、組織のメンバー一人ひとりが「人」と「規範」に対してとっている態度から組織運営の健全性が見える「組織の健康診断」とも言い換えられます。

インテグリティがある人材が組織に与える影響とは?

インテグリティは、どんな立場の人材でも大切な価値観ですが、経営者や役員、管理職といった「経営の上流に近い立場の人材」においては特に重要です。

経営の上流に近い立場の人材は、組織の意思決定権を持ちます。組織の意思決定は「構成員の総意」という意味を含むため、重大な決断を行う立場やメンバーを教育・指導・牽引する立場の人材には、特に高いインテグリティが求められるのです。

組織の先頭に立つ人間がインテグリティを尊重した態度を取る最大のメリットは、インテグリティという抽象的な概念が、組織の重要人物によって具体化される点です。組織を健全に運営するために適切な立ち居振る舞いを、他のメンバーが「背中を見て学ぶ」ことができるようになり、組織の秩序が自発的に守られるようになるのです。

インテグリティは、自社の従業員だけでなく、顧客との関係性づくりにもメリットがあります。ホーソン実験をはじめとする過去の研究で「生産性と人間関係」の相関が言及されたように、インテグリティがある人材には利害を越えて「この人と仕事がしたい」と思ってもらえる人間的魅力があるのです。

近年では「誠実な企業」を表彰する文化も生まれ始めています。株式会社インテグレックスは、企業のインテグリティを調査して「誠実な企業賞・Integrity Award」を実施しており、過去には伊藤忠商事株式会社が最優秀賞を、株式会社滋賀銀行と東レ株式会社が優秀賞を受賞しています。

インテグリティを尊重する価値観は、社内の人間関係や顧客との信頼関係の構築に役立つだけでなく、企業のブランディングにもつながるようになってきているのです。

インテグリティを身に付けて「誠実な企業」になろう!

インテグリティとは「誠実さ」「真摯さ」「高潔さ」などと訳される、人間関係を築く上で重要な価値観を意味する言葉です。

インテグリティを身につけるためには、手本となる人物の行動を真似るだけでなく、何故その行動に至ったのかという理由を考えることが大切です。人の価値観は一朝一夕で変わるようなものではないので、長期的な取り組みとして普段から意識して行動すれば、徐々に身についていきます。

インテグリティは、個人にとっても企業にとっても身に付けるメリットが大きいものですので、組織全体での目的意識の明確化・共有をオススメします。全体でインテグリティをチェックし続けることで、組織運営の健全化や顧客との信頼関係構築につなげましょう。

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