高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の違いとは?

再雇用制度に活用できる給付金制度とは?

再雇用とは、定年退職者を再び雇用することを意味する言葉です。再雇用制度が今注目されているのは、少子高齢化による日本の労働力人口の年齢別推移の変化が背景として挙げられます。

日本では古くは55歳を定年とされていましたが、1986年の高年齢者雇用安定法の施行によって60歳までの定年延長が努力義務となり、1990年の改正で65歳までの再雇用が努力義務となりました。現在では、希望する65歳までの正社員全員に対して就労の機会を与えることが、企業に対して義務付けられています。

今回の記事では、再雇用後に賃金が低下した場合に労働者が受給できる、高年齢雇用継続給付についてご紹介します。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の違いとは?

高年齢雇用継続給付は「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。それぞれの給付金の目的や条件などの違いについて、順を追ってご説明します。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の目的の違いとは?

高年齢雇用継続給付は、65歳以降も働き続ける労働者を支援する目的で設定されました。定年後も働き続けたいけれど、給与の低下によって働き続けることが難しいと感じる高齢者のサポートが目的で施工された給付金制度なのです。

高年齢雇用継続基本給付金は、定年後も働き続ける65歳未満の人が60歳時点に比べ賃金が75%未満に低下した場合に支給される給付金です。60歳以降も失業保険等を受け取らず、継続して雇用された場合に受け取れる給付金です。一度退職したとしても、失業保険を受け取っていなければ、再就職した際に申請できます。

高年齢再就職給付金は、60歳以降に一度退職して失業保険を受け取り、再就職した際に失業保険支給残日数が残っていると受け取れる給付金です。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の給付条件の違いとは?

高年齢雇用継続基本給付金の給付条件は、以下の3つです。雇用保険制度から高年齢雇用継続基本給付金が支給され、低下した賃金の一部が補填されます。

  • 60歳以上65歳未満の一般雇用被保険者の人
  • 雇用継続を受けた後の賃金が以前の75%未満になる人
  • 雇用保険を5年以上払っていた期間がある人

高年齢再就職給付金の給付条件は、以下の5つです。失業保険の支給残日数が100日以上残っている必要がありますので、失業保険の残日数に注意が必要です。

  • 60歳以上で失業保険を一部受給中に再就職した人
  • 再就職した際の賃金が、退職前の賃金より75%未満になる人
  • 失業保険の支給残日数が100日以上残っている人
  • 再就職した際に、1年以上雇用されることが確実な人
  • 雇用保険を5年以上払っていた期間がある人

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の受給期間の違いとは?

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金は、それぞれの受給期間が異なります。

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳になった月から65歳になる月まで、最大5年間が支給対象です。

高年齢再就職給付金は、失業保険の支給残日数が100日以上200日未満の場合は、最長で1年間受給できます。また、支給残日数が200日以上の場合は、最長で2年間受給できます。いずれの場合も65歳までが支給上限で、支給期間が残っていても65歳になると受給対象から外れて、給付金が支給されなくなります。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の給付金額の違いとは?

高年齢雇用継続給付の給付額は、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金のどちらも基本的に同じ計算方法で算出されますが、60歳以前に受け取っていた賃金からどれだけ賃金が下がったかで変わってきます。どれだけ賃金が下がったかの割合を「賃金低下率」といいます。

賃金低下率は「60歳以降の賃金÷60歳以前の賃金差の割合」で算出します。

賃金低下率が61%以上75%未満の場合は、60歳以降の毎月の賃金×一定の割合(15%〜0%)(詳しい計算式は-(183/280)×低下後の賃金+(137.25/280×低下前の賃金)となります。

賃金低下率が61%以下の場合は、60歳以降の毎月の賃金×15%が支給されます。計算式が複雑ですので、詳しくは厚生労働省が公開している支給率の早見表をご覧ください。

高年齢雇用継続給付の給付金早見表
出典元『厚生労働省』高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について

給付金の支払い金額は、平成31年3月18日以後の支給対象期間から上限・下限が設定され、支給対象月に支払いを受けた賃金の額が支給限度額の360,169円以上である場合には、高年齢雇用継続給付は支給されません。 また、支給対象月に支払いを受けた賃金額と高年齢雇用継続給付として算定された額の合計が支給限度額を超える場合には、支給限度額の360,169円から支給対象月に支払われた賃金額を引いた額が支給額となります。

高年齢雇用継続給付として算定された額が最低限度額の1,984円未満の場合は、給付金は支給されません。

高年齢雇用継続給付の申請にあたって企業に必要な手続きとは?

高年齢雇用継続給付を申請する際には、事業主がハローワークに手続きに行く必要がありますので、企業が行う手続きの流れをご紹介します。

高年齢雇用継続基本給付の場合は、以下の5つのステップに分けられます。

  1. 被保険者が企業に受給資格確認票・(初回)支給申請書記入・提出
  2. 企業が受給資格確認票・(初回)支給申請書をハローワークに提出
  3. ハローワークから企業に受給資格確認通知書・支給(不支給)決定通知書、支給申請書2回目分の交付
  4. 企業が被保険者に受給資格確認通知書・支給(不支給)決定通知書、支給申請書2回目分交付
  5. 支給が受理された場合、ハローワークから被保険者に支給

高年齢再就職給付の場合は、以下の9つのステップに分けられます。

  1. 被保険者が企業に受給資格確認票・(初回)支給申請書記入・提出
  2. 企業が受給資格確認票・(初回)支給申請書をハローワークに提出
    (該当者を雇用後、速やかに提出)
  3. ハローワークが企業に受給資格確認通知書・支給申請書交付
  4. 企業が被保険者に受給資格確認通知書・支給申請書交付
  5. 被保険者が企業に支給申請書を記入後提出
  6. 企業がハローワークに支給申請書を提出
  7. ハローワークが企業に支給(不支給)決定通知書・支給申請書次回分交付
  8. 企業が被保険者に支給(不支給)決定通知書・支給申請書次回分交付
  9. 支給が受理された場合、ハローワークから被保険者に支給

より詳細な手続き方法については、厚生労働省とハローワークが公開している「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」をご覧ください。

再雇用を行う際は高年齢雇用継続給付を活用しよう!

再雇用制度とは、定年後の雇用継続を望む65歳までの労働者に対して就労の機会を与える義務を、雇用主である企業に課す制度です。

再雇用時に賃金が下がる場合、再雇用対象者の賃金が定年前の75%未満であれば、高年齢雇用継続給付の受給対象者となります。高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。

再雇用にともなって職務権限や給与を減らす場合には、企業側から従業員に給付金の存在を周知して手続きに対して協力的になることで、従業員のモチベーションや会社への信頼感につながるでしょう。

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