あなたの会社は目標管理がしっかり行えていますか?
組織運営では長期的な視点を持ち、従業員を育成していく計画が必要不可欠です。そのために設定されるのが人事評価制度で、多くの企業で成功事例が語られてはいますが、目標設定を面倒くさがり、軽視する人も決して少なくないのが現実です。
HR Brainの調査を見てみましょう。この調査では、会社員の目標設定の実態についてのアンケートが実施され、2人に1人が個人の目標設定を行っている一方で、約8割の会社員が「その場しのぎ」の目標設定をしたことがあるという結果が得られました。
出典元『HR Brain』【独自調査】目標管理の実態 -約8割の会社員が経験する「名ばかり目標」とは?
出典元『HR Brain』【独自調査】目標管理の実態 -約8割の会社員が経験する「名ばかり目標」とは?
単に目標管理制度として目標設定を義務付けるだけでは効果が薄く、人事評価制度を運用する組織側が明確なビジョンを持ち、社内で共有できていなければなりません。会社としてどのような人材に育ってほしいのかの戦略に基づいて決定すべきであり、その場しのぎの目標設定を行う人事評価制度では、人材育成及び事業成長が難しいといえます。
カオナビでは人事評価制度の満足度について調査をしています。その結果は、従業員のうちおよそ2割程度しか人事評価制度に満足していないことが報告されています。
出典元『カオナビ』知っておきたい、人事評価の3つの現実~人事評価に関する調査結果より~
今回は、適切な目標を設定した上で、目標を達成するための手法であるWOOPの法則について説明します。
WOOPの法則とは?目標管理を4ステップに体系化
目標管理について人事担当者が知っておきたいものとして「WOOPの法則」があります。WOOPの法則とは、目標を設定から達成するまでのプロセスを、アメリカの心理学者ガブリエル・エッティンゲン博士が20年以上に渡る研究の末に体系化したものです。
WOOPの法則は目標を達成するまでを4つのステップに分割し、それぞれに対してどうコミットすることで達成率を高めることができるかに注目した考え方となっています。
WOOPの法則が発見された背景について
経営では従業員個々の成長が、組織全体の成長につながります。一人一人の成長を促し、システマティックに管理するためにも人事評価や目標管理の制度化は大切です。しかしながら目標を達成できず、何年も同じ目標を繰り返しているだけという従業員が少なくないという問題があります。
原因として考えられるのは、目標を達成するために適切な行動を行えていない、あるいはそもそもの目標設定に無理がある、などが挙げられます。WOOPの法則は、こうした目標未達の原因を浮き彫りにし、分析的に見つめ、成功へと導くプロセスを設計することを目的としています。
WOOPとは何か
WOOPの法則の「WOOP」とは、目標の設定から達成までの4つのプロセスの頭文字を並べたものです。以下では、それぞれ4つのプロセスがどのようなものかを説明します。
Wish(願望)
自分が成し遂げたい目標を設定することからはじめます。
目標設定で大切なことは、簡単に達成できるものでもなく、かといって無謀な目標を立ててしまわないことです。目標の難易度が適切でなければモチベーションの維持が難しくなります。設定すべき目標は「自分の能力よりも少し高いレベル」に設定することです。こうした目標を立てるためには、まず個人の能力を客観的に知る機会を与えることが大切です。
Outcome(結果)
設定した目標が達成できたとき、どんな結果が得られるかを書き出してみましょう。目標達成によって自分がどんな状態になれるかを具体的に想像することができるようになります。
目標が単なるスローガンに終わってしまうケースでありがちなのが、目標が抽象的すぎるというものです。うまく想像できなければ「なぜこれをやるのか?」が見えず、日々の業務に不毛さを感じてしまいます。結果をはっきりと見据えることは、そうしたことを防ぐ効果があります。
Obstacle(障害)
設定した目標と、想定される結果のあいだにどんなギャップがあるかを見つけ出すのがこのステップです。
少し自分より高いレベルで設定された目標には、必ずなんらかの困難・障害が含まれています。しかし同時に「これさえ解決できれば目標を達成できる」ことでもありますので、Obstacleのステップで自分自身と向き合うことで、目標達成のためにすべきことが具体化します。
もし発見された困難・障害がどうやっても解決できないものであるならば、そもそもの目標設定に問題があると考えることもできます。
Plan(計画)
行動を起こすことが大切です。Plan(計画)では、目標達成に立ちふさがる困難・障害をどのように乗り越えるかの行動計画を設定します。
言い換えるとPDCAサイクルをつくって運用していくことであり、行動のなかで新たに生じた小さな課題を細かに潰していくことを継続できれば、目標は自然と達成されます。
WOOPの法則で目標・課題を明確化する
WOOPの法則とは目標達成を円滑にするための手法です。
目標の設定から達成までを4つのステップに分解し、解決すべき具体的な対する障害や障害を発見し計画を立てる方法であり、目標達成率の向上に大きな効果を発揮します。
目標達成のポイントは目標を明確にするだけでなく、達成する道筋までイメージすることです。人事評価などにおいては漠然と目標を立てるだけでなく、どのようなことが障害になるのか、どのように障害を解決できるのかまで具体的に落とし込むようにしましょう。そうすることで従業員のパフォーマンスがアップし、業績の向上につなげることが出来るようになります。