採用面接の悩み別、12種類の面接手法メリット・デメリットについて

面接の精度向上と効率化が急務

就職白書2019によると、新卒採用プロセスで最も実施率が高いのは「面接」で、99%の企業が面接を行なっていることが分かりました。次に「内々定・内定を出す」(98.1%)、「説明会・セミナー」(96.2%)が続きます。また、「インターンシップ」(95.9%)も、特に従業員数300人未満の企業で大幅に増加しています。

採用活動プロセス毎の実施率
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

採用難が続くいま「人物像を見極めたうえで採用したい」という企業の意図が伺えます。アイデムの調査では、新卒採用活動で重視する項目の第1位は「人柄・性格」であると明らかになりました。

アイデムが実施した「2018年卒新卒採用に関する企業調査」で、19項目の重要度合いを聞いた質問では、重視度が高かった(「重視する」と「どちら かと言えば重視する」の合計)のは、1位「人柄・性格」(73.0%)。2位は「身だしなみ・立居振る舞い」(70.9%、)、3位は「志望動機」(64.3%)となりました(図16.1)。

選考において、以下の項目をどのくらい重視するか
出典元『株式会社アイデム 人と仕事研究所』2018年卒新卒採用に関する企業調査

面接実施後に評価がばらつくなどの問題が起きると、マンパワー不足に拍車がかかるでしょう。いま、多くの企業で課題感があるのが「採用のマンパワー不足」です。面接の精度向上と効率化を、両輪で進めていく必要があるのです。

一言で面接といっても、事前に質問を決めて見極めの精度を高める「構造化面接」や、質問を想定しないで口説きの精度を高める「非構造楮化面接」などの手法があります。このほかにも「集団面接」や「個人面接」、「ウェブ面接」や「電話面接」など、面接には様々な方法が存在します。

面接の精度向上と効率化を同時に進めるためには、採用課題に応じて、最適な面接手法を取り入れることが肝要です。今回は各面接方法の概要とメリット・デメリットについて説明します。

お悩み1|目的にあった面接方法を導入したい

面接の目的は、大きく2つあります。応募者の「見極め」と「惹き付け」です。面接の目的にあった面接手法を取り入れることが重要です。

1.構造化面接

構造化面接とは、あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、マニュアル通りに実施していく面接手法です。応募者の「見極め」に役立ちます。

メリット:面接官が一定の基準で候補者を評価できる。
デメリット:面接が確認的な機能しか果たさなくなる。

2.非構造化面接

非構造化面接とは、その場の会話に沿って自由に質問・回答をしていく自由度の高い面接手法です。応募者の「惹き付け」に役立ちます。

メリット:コミュニケーションに集中して対話を深めることができる。
デメリット:面接官の力量によって面接で得られる情報に偏りが出る。

3.半構造化面接

半構造化面接とは、前半と後半で質問項目のヒアリングとフリートークを織り交ぜる、一般的に用いられる面接手法です。

メリット:応募者の能力や人間性などをバランス良く評価しやすい。
デメリット:評価基準やマニュアル策定が無駄になるリスクがある。

お悩み2|評価のばらつきを減らしたい

評価のばらつきを軽減するには、構造化面接が役立ちます。しかし機械的に質問するなど、応募者が威圧的に感じるデメリットもあるので、注意も必要です。

構造化面接のほかにも、過去の行動にもとづいた質問をすることで、評価のばらつきを減らしやすくする面接手法もあります。

4.行動面接(STAR面接)

行動面接(STAR面接)とは、過去の行動にもとづいた質問をする面接手法です。過去の事実に基づいた評価が行われるため、面接では「どのような行動を起こしたのか」客観的な事実について質問していきます。

メリット:応募者が本音で話しやすく、実像に近しい回答を得やすい。
デメリット:尋問のように感じる応募者もいる。

5.リシュ面

リシュ面とは、履修履歴活用面接とも呼ばれる新しい面接手法です。履修履歴や成績証明書の提出を求め、履修科目や成績などの事実にもとづいて質問します。

メリット:学生の人柄をより正確に把握できる。
デメリット:詰問された・圧迫面接だと感じて学生が萎縮してしまう。

お悩み3|選考スピードを上げたい

選考期間中は、応募者とのスケジュール調整にもパワーが取られがちです。忙しい応募者との選考を円滑に進めるために、リモート面接は役立ちます。HR Techの活用も一案です。

6.電話面接

電話面接とは電話を用いた面接のことで、遠隔での代表的な面接手法です。電話やLINE電話の利用が多くされています。

メリット:応募者と出会う機会損失を防ぐことができる。
デメリット:お互いの表情が見えないため、お互いに緊張しやすい。

7.Web面接

Web面接とは、Web会議システムを活用した遠隔での面接手法です。電話面接のやり取りが音声だけであるのに対し、Web面接ではWebカメラ等を利用することで、映像と音声でのやり取りが可能になります。選考スピードアップによる辞退防止や、母集団の拡大にも役立ちます。

メリット:相手の顔や身なり、対話力を確認できる。
デメリット:Web面接実施中の回線トラブルやコストがかかる。

8.AI面接

AI(人工知能)を活用したHR Techを導入した面接手法。すぐに導入しないにしても、情報収集を進めておくことが大事です。

メリット:採用業務の効率化を図れる。
デメリット:AIが合否判定することに対して応募者が否定的。応募者への説明や理解を得るためのフォローなどのパワーがかかる。

お悩み4|面接の精度と選考速度のバランスを取りたい

一度に大量の応募者の選考を進めなければならない場合は、集団面接と個人面接を組み合わせて選考を進めることで、速度と精度のバランスを取ることができるでしょう。

9.集団面接

集団面接とは、複数の就活生と同時に会う面接手法です。最低限必要なMUST条件を見極める場として活用できます。

メリット:選考速度アップを図ることができる。
デメリット:応募者の人物像を深く掘り下げることはできない。

10.個人面接

個人面接とは、1人の応募者に対して1人または複数の面接官が会う面接手法です。

メリット:じっくり応募者と向き合い、人物像を掘り下げることができる。
デメリット:おしゃべりに終始してしまうリスクがある。

お悩み5|母集団を増やしたい

面接の精度を上げるためには、良質な母集団形成が欠かせません。選考だけではなく、自社への好意度を向上することに主眼を置いて、応募者との接触することも大切です。

11.面談

面談とは、企業と応募者の相互理解を深める目的で実施される会談です。

メリット:数多くの潜在層にリーチできる。
デメリット:すぐに面接へ進まないケースも少なくない。

12.リクルーター面談

リクルーター面談採用担当者ではない社員が行う面談のことです。一次スクリーニングの役割も果たします。

メリット:求職者の自社への理解促進などを図ることができる。
デメリット:リクルーターの態度次第で、志望度が下がるリスクがある。

「なぜこの面接手法なのか」社内共有も大切に

面接には様々な方法があります。それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社の採用目的や課題に応じ、適した面接手法を組み合わせて、面接を実施することが大切です。

「なぜこの面接手法を用いるのか」「それぞれの面接手法で、何を見極めるのか」を、面接官にきちんと共有・教育することも重要です。面接の意図や目的が曖昧なままでは、面接官が個人の判断で圧迫面接に走ってしまうリスクをもあるからです。

「どのような基準を満たしたら次の選考に進んでもらうのか」を、人事部門だけでなく、現場社員や役員など採用関係者と共有しておくことで、面接の精度向上を図ることができるでしょう。

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