社内コミュニケーション活性化「社内イベント」の事例や効果とは?

経営層も注目!「社内イベント」が組織のコミュニケーションに効果がある理由とは

デジタルでのコミュニケーションがメインになる昨今。多くの企業・組織では、「社員同士の一体感」を保ちにくいという問題を抱えています。こうした課題に対して有効なコミュニケーションの一つが、「社内イベントの活用」です。

JTBワーク・モチベーション研究所がまとめた「社内イベントに関するコミュニケーション調査」によると、「社内イベント(全社会議、表彰式、パーティ、創立記念イベントなど)」の効果として、調査対象の6割近くが、「人と直接会って話ができる良い機会」と肯定的な意見を挙げています。

社内イベントについて、どう感じるか
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

社内イベントの効果としては、「職場コミュニケーション、部門間連携、モチベーションなどの向上」が挙げられており、社内コミュニケーションにとって、イベントが果たす役割が大きいことが見て取れます。

社内イベント実施後の職場の変化
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

この「社内イベント」が、社内のコミュニケーションに有効とする傾向は経営層も同様です。経営者が考える「社内イベント」の効果として挙げられた上位3位は、「社内コミュニケーションの促進(94%)」、次いで「組織の一体感の醸成(93%)」、「社員のモチベーション向上(87%)」という順になっています。

経営者が考える社内イベントの効果
出典元『株式会社JTBコーポレートセールス』経営者148人に聞いた 社内イベントの効果とは…~「社内イベント」効果の最大化を図る~

社員、また経営層からも支持の高いこの「社内イベント」は、いかに社内コミュニケーションに活かしていけばよいのでしょうか。

社内コミュニケーション活性化のための社内イベント活用方法

「イベント」と一口に言っても、さまざま形式があります。その中で、より社内活性化につながる企画とはいったいどんなものでしょうか。

一昔前の社内イベントは、会社の経営方針や事業戦略などの説明会を主な目的として開催されるものが多く、その後に懇親会を行うという流れでしたが、ここ数年は社員が集まる機会を利用して一体感を醸成するイベントを開催する傾向で、「研修型」と「スポーツイベント型」を開催する企業が増加していると言われています。

社員に好まれるイベント・参加したくないイベント

社員に好まれる社内イベントは、「インパクトと主体的コミュニケーション」が醸成できるもの、という結果に。参加したい社内イベント のキーワードとして、1位「感動する」、2位「豪華」、3位「話せる」が挙げられました。

参加したいと思う社内イベント
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

一方、参加したくない社内イベント は「手作り系」。「めんどくさい…」という社員の心理的負担と、豪華さ不足への懸念が感じられるという結果でした。

参加したくない社内イベント
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

社員に好まれるイベントの傾向から見る、社内活性化が成功した社内イベント事例

①全社運動会を復活

全国に多くの支社を持ち、グループ全体でおよそ4万人もの社員を抱える大手メーカーのA社では、社内活性化の施策として、「全社運動会」を復活させました。運動会には、役員から現場のスタッフまで1万人以上が参加。この運動会をきっかけとして、社内コミュニケーションが活性化し現場に活気が戻ったといいます。

大規模な企業では全社員が参加できるイベントは組み立てが難しいものです。同社の成功要因は、「予選を設定」し、全員が参加できる仕組みを作ったことだと言われています。

大規模なイベントだからこそ、全員がチームワークを発揮できること、社員同士が連携できる形にしておくことが重要です。

②キックオフイベント&キャンプで“楽しさ”を演出

若い社員が多いIT系サービス業のB社では、社員が楽しむことができるようなイベントを数多く開催しています。

半期に一度行われる「キックオフイベント&キャンプ」もその一つ。キックオフのあとには、メンバー同士の交流を深める一泊二日のキャンプを開催し、会社のビジョンや方向性を共有するだけでなく、個人同士のコミュニケーションを活性化させることを目的としています。

同社は、社内コミュニケーションのキーワードに「ワクワク感」を挙げています。社員が楽しんで参加できる企画を考えることで、参加率を高め、社内コミュニケーションの向上につなげていると言います。

【参考】最近の傾向~社内コミュニケーション以外にチームビルディングの観点から、「運動会(体を動かすイベント)」が注目されている~

前述のJTBで調査によると、活性化のためのイベントの効果は「コミュニケーション効果とともに、チームビルディングの手法として有効」としています。

数百人規模での「ロールプレイング大会」や「接客コンテスト」など、体を動かすプログラムが増加傾向に。座学ではなく体を動かすことで、モチベーションアップの効果もあることが、心理学の世界で実証されていると言います。

最近は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などの影響で「スポーツ」に注目が集まり、企業としても、組織としての課題解決に「運動会などを取り入れたい」という要望が多くなっているとも言います。

その背景には、スポーツイベントの要素である、「コミュニケーション」「運動」「競争」という3つの特徴的な機能があるそうです。

どれを重視するかは社員のニーズ次第。どの要素を取り上げるかのヒアリングは重要で、たとえば、例年〝コミュニケーション〟を重視して勝ち負けにこだわらない運動会を開催していた企業が、社員からの要望で、勝負優先のプログラムに変更したところ非常に好評だったということも…。社員のニーズを把握するプロセスを踏まないと、社員から不評を買うことになるので注意が必要です。

スポーツイベントの3つの機能
出典元『DIAMOND online✕月間 総務』【今、見直される社内イベントの効果】プロセス重視のイベント運営でプラスアルファの効果を生み出す

余談ですが、「チームビルディング」以外に、イベントプロジェクトに若手社員を参加させることで、次世代リーダーの養成の場とするという観点も、多くの企業で注目されています。

準備から本番、完了までの一つのプロジェクトの中でメンバー同士の結束が生まれる点や、先輩やマネージャーなども巻き込んで取りまとめることで、組織に関するマネジメントが学べる点など得るところはたくさんあります。何より、プロジェクトを成功させた達成感が仕事へのモチベーションにつながることは、非常に大きな財産と言えるでしょう。

社内イベントの成功要因・失敗要因とは

社内イベントの成功要因とは

上記と同様の調査で、社内イベントの成功要因を見てみると、1位が「社員全員が集まる48%)」、次いで「参加型で自分たちも一緒に楽しめたこと(29%)」、3位が「会社や同僚・上司について知ることができたこと(26%)」という結果でした。

社内イベントの良かった点
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

効果としての意見で、「社内イベントは、人と直接あって話ができるいい機会である」と認識している人が60%弱いることと併せて考えると、双方向のコミュニケーションを図るという一つの目的を、社内イベントは少なからず達成しているとも言えます。

社内イベントについて、どう感じるか
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

社内イベントの失敗要因とは

反対に社内イベントの失敗要因について聞いたところ「一部の社員のみだったこと(26%)」「一方的に聞くだけで退屈した(26%)」が最も高く、次いで「毎回同じ内容で、マンネリ感があった(23%)」が挙げられました。

社内イベントの良くなかった点
出典元『JTB ワーク・モチベーション研究所』社内イベントに関するコミュニケーション調査

なお、2012 年・2015 年の結果と比較すると、「一方的に聞くだけで退屈した」「社長や役員の話が長すぎた、または共感できなかった」という回答は減少しています

近年の社内イベントは、社員を退屈させないような双方向の企画を組み込むなどの配慮をして運営されていると推測されます。一方、「一部の社員のみだったこと」の項目は少しずつ増加しており、この項目への不満は根強くあることがわかります。

「毎回同じ内容でマンネリ感があった」も、常に上位で多くの回答者から項目として挙げられており、マンネリ感が社内イベントの大きな課題であることがわかります。

自社のカラー、傾向にあったイベントの形を模索するべし

今回の内容は、社内コミュニケーションにイベントをどう活用するか、という全体の傾向をつかむためのポイントに焦点を当ててご紹介してきました。イベントの実施でコミュニケーションの向上につながった企業の多くは、自社にとって何がもっとも効果があるのか、その見極めに成功したということが最大の要因です。

社内イベントは、社員それぞれのスケジュールや負担に配慮することや費用対効果など、多方向から企画し、自社ならではの“参加しやすく感動できるイベント”を企画していくことが重要なのです。

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