コンフリクトの質は大きく分けると2種類に分類される
富士ゼロックス総合教育研究所が調査した人材開発白書では、組織が抱える壁の要因として「相互の方針のズレ」や「心理的なわだかまり」が挙げられています。円滑なコミュニケーションを行うためには、オンラインなどのコミュニケーション手段を提供するだけでなく、相手の立場や考え方を理解したコミュニケーションを実施することが求められます。
日本では、組織やチームにおいてコンフリクトは起こさないことが何よりも大切だと今まで考えられて来ていましたが、近年こうした対立を避ける組織においては成長が停滞しがちと言われるようになりました。コンフリクト=悪ではなく、コンフリクトをきっかけに相互理解を深め、日々思い合っていることを出すことが、組織においてはとても重要だという考えにシフトしてきています。
コンフリクトを起こすだけではポジティブに変えることは難しいのも現実です。コンフリクトに対して、しっかりとマネジメントを行い、協調的な解決へと繋げることが最も大切です。コンフリクトマネジメントは組織やチーム間における衝突や意見の相違などを解決し、円滑なコミュニケーションを実現することで、企業の成長に役立つ取り組みとして重要な役割を果たします。
コンフリクトと言っても、その質に関しては様々です。ちょっとした小競り合いのようなあまり望ましくないコンフリクトから、組織やチームの成長には必要だと考えられる望ましいコンフリクトまで色々なものがあります。
コンフリクトを大きく分けると生産的コンフリクトと破壊的コンフリクトの2種類に分けることができます。今回の記事では、望ましいコンフリクトと言われる生産的コンフリクトについて説明します。
生産的コンフリクトとは?望ましい対立と言われる意味
コンフリクトマネジメントとは、組織やチーム間における衝突や意見の相違などを解決し円滑なコミュニケーションを実現し、企業の成長に役立つ取り組みの事を指します。コンフリクト英語で「conflict」とは、「競合」「対立」「衝突」「葛藤」という意味を持ちます。「和」を大切に重んじる日本人にとっては、一番苦手な分野と言えます。
人が集まる会社や組織、チームではこうしたコンフリクトは避けられないのが現実です。コンフリクトマネジメントでは、こうした対立をいかにポジティブに解決し、成長へと結びつけるのかを体系化した取り組みと言えます。
コンフリクトにも質があり、生産的なコンフリクトと破壊的なコンフリクトという2種類に分けられます。
生産的なコンフリクトとは、集団における目指すべき目標達成に向けて必要なコンフリクトです。具体的には、異なる立場であってもその立場を建設的に捉え新たな考え方や友好的な関係性を気づきチャンスへと繋げることができる対立の事を指します。破壊的コンフリクトとは、目標達成を妨害するようなコンフリクトであり、意見の対立から敵意や暴力に発展してしまうような対立を指します。
2つのコンフリクトの関係性においては、明確な境界線はありません。現在の組織やチームにおける状況によって生産的あるいは破壊的だという判断が初めて付く場合がほとんどです。これに関してはマネジメントする立場の人が見極める必要があると言えるでしょう。
生産的コンフリクトは、その名の通り生産的であるため、業績向上に貢献する対立です。業務内容や目標における対立、業務の進め方における対立などが挙げられます。生産的なコンフリクトを取り上げて話し合うことで、グループやチームを改善に導き組織のパフォーマンスを上げることが可能となります。
生産的なコンフリクトを見つけ活用することで得られるメリットとしては、意見を言いやすい環境ができる事により、新しい意見や今まで検討されてこなかった新たな発見などに繋がる可能性があります。それをきっかけに新しいアイデアや集団の目標や行動の見直しができるようになることで、変化に柔軟に対応できる組織を作る事ができます。
組織成長の鍵はコンフリクトマネジメントが重要な役割を担う!
組織やチームにとって必要なコンフリクトか否かの境界線は不明瞭のため、その判断はコンフリクトマネジメントにかかっています。
働き方の多様性など政府によるダイバーシティ推進の影響もあり、今後も様々な環境や立場で色々な人材が混じり合った組織も増えて来るでしょう。その分コンフリクト発生の確率は高まることが予想されます。
コンフリクトをポジティブな変化に繋げるためにも、ますますコンフリクトマネジメントの重要性は今後高まると言えます。