中小企業における人材獲得は深刻な課題である
日本の人手不足の現状ですが、帝国データバンクの調査によると、従業員の不足を感じている企業は年々増加しているといいます。2019年の調査では従業員不足を感じている企業の割合が50%を超えています。
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)
厚生労働省の調査でも、人手不足を感じている企業の割合はここ10年ほど増加傾向が続いており、日本全体で人手不足が深刻な問題になっています。
特に中小企業における人手不足は深刻なものとなっています。リクルートワークス研究所の報告によると、300名未満の求人倍率は8.62倍となっており、他の従業員規模と比べても大きな開きがあります。
出典元『リクルートワークス研究所』第36回 ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)
人手不足に陥らないためには人材を採用する必要があるものの、少子化による労働力人口の減少が続く中での採用活動にはさまざまな課題があります。
今回は中小企業における採用の課題について説明します。
中小企業と大企業の採用活動の違い
中小企業と大企業の採用活動の違いは何があるでしょうか。
中小企業の場合、採用にかけられるコストが大企業より限られ、また会社の知名度から採用が苦戦しがちです。人材獲得のための情報発信力が弱く、学生に自社の特長や魅力を訴求し続けなければいけません。コストや仕組みづくりの面からも新卒採用が難しく、中途採用に頼らざるをえない側面もあるでしょう。
大企業は新卒採用で数十人から数百人と多くの学生を採用するため、面接の回数も増加傾向にあり、採用担当の工数も増えるでしょう。応募者も多いため、求める人物像や採用基準を定めないと入社者にブレが生じてしまうので、人材の見極めもきちんと行う必要があります。
中小企業における採用の課題
中小企業では会社の認知度、知名度や訴求の限界から、なかなか応募者が集まらないという課題があります。日本国内に数百万の企業があるなかで、学生から自社を知ってもらうのはそんな簡単なことではありません。他の求人や会社の情報で埋もれてしまう可能性が大きいことが、中小企業の大きな課題でしょう。
マイナビが行った就職意識アンケートによりますと過半数を超える学生が大手企業への就職を希望していることがわかります。知名度だけでなく大手企業志向であるということも応募者獲得に繋がらない要因といえるでしょう。
少ない応募者の中から自社にあった人材や求める人材を採用することになるので求める人材の確保が難しい点も課題といえるでしょう。
中小企業における採用の課題の解決方法
中小企業における採用課題に何か対策はあるのでしょうか。
応募者が集まらないという課題に対しては、会社全体で採用活動を行うという方法があります。経営層も採用現場で学生と直に接することで、会社の魅力や強みを伝えることができます。人柄や熱心に行動することが学生の心に響くでしょう。素晴らしい人材を獲得するための戦略としてきちんと学生に向き合うことが大切です。
優秀な人材よりも適切な人材をターゲットにすることも効果的です。どんな人に入社してほしいのかターゲットを明確化し、多くの学生に出会う方法よりも、そのターゲットとなる学生に確実に会う方法が重要となります。
きちんとターゲットを言語化し、どういう人物像なのかを定めることで無駄な採用活動を抑えることができるでしょう。
自社の課題に合わせた対策を考えよう
少子化による労働力人口の減少が続き、企業の採用活動にはさまざまな課題が生まれています。
採用活動における課題はさまざまですが、中小企業と大企業では課題にも解決方法にも違いがあるでしょう。企業規模ごとの課題の違いを知り、それぞれの課題に合わせた適切な対策をしましょう。