多くの日本企業が人手不足に陥っている
日本の人手不足の現状ですが、帝国データバンクの調査によると、従業員の不足を感じている企業は年々増加しているといいます。2019年の調査では従業員不足を感じている企業の割合が50%を超えています。
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019 年 10 月)
厚生労働省の調査でも、人手不足を感じている企業の割合はここ10年ほど増加傾向が続いており、日本全体で人手不足が深刻な問題になっています。
人手不足に陥らないためには人材を採用する必要があるものの、少子化による労働力人口の減少が続く中での採用活動にはさまざまな課題があるのです。
企業の採用活動における課題について、どんな課題があるのか、なぜ課題となっているのかなどを説明します。
採用活動における課題が増えている背景
採用活動の課題が多様化し、数も増えています。それはなぜなのでしょうか。
まず挙げられるのが採用・就職活動スケジュールの変更や見直しでしょう。経団連は2021年卒の学生から「採用選考に関する指針」の廃止を決定しました。今まで提示されていた就職・採用活動の「目安」はいったん廃止され、政府主導で新たな枠組みを検討することになりました。
2019年3月に政府は従来のルールの維持を基本とした「2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請事項」を策定・公表し、すぐに現在の就職・採用活動日程を変更することはないとしましたが、状況によって新卒採用の仕組みも変動する可能性は否定していません。
Yahooやリクルート等の企業で導入されている新卒通年採用も経団連と大学側が今後、新卒採用は通年採用に移行していくことで合意しています。2021年春までは現行のルールが踏襲されますが、ゆくゆくは新卒通年採用が一般化し、一括採用が主流だった日本の雇用システムも変わっていくとされています。
通年採用とは企業が年間を通じて新卒・中途問わず、自由なスケジュールで採用活動を行うことで、日本は今まで新卒を同じ時期に一括で採用、教育し年功序列制度で長く同じ企業で働いてもらうことで企業の成長と安定を図ってきました。しかし社会の進化は速く、変化し臨機応変に対応することが企業に求められているのです。
採用活動は社会の変化とともに課題も多面的に、そして増加しているのです。
採用活動における課題の種類
企業が感じる採用活動における課題は何があるでしょうか。
リクルートが行ったアンケートによりますと、マンパワー不足、認知度、協力体制、コストという順位であることが報告されています。
採用活動が多様化し、インターンシップも含めた採用期間も長期化し、採用担当の業務が忙しくマンパワーが足りていないというのはどの企業も感じているのではないでしょうか。
リクルートのアンケートでも2018年卒採用と比較して2019年卒採用の方が費やす時間が増えたと回答している企業が約半数となっています。しかし時間は増えたが採用担当者の人数は変わっていない企業がほとんどで、採用担当者の疲弊感は多く募っていると予測できます。
採用コストを課題としている企業も多いですが、実は新卒採用のコストは年々増加しているわけではなく、中途採用よりも一人当たりの採用費用を抑えることができます。ただ採用担当者の人数が採用活動の負荷が増加しているにも関わらず増えていない企業が多いので、見極めが行われば採用コストは上がっていくことが予測されます。
採用活動における課題の解決方法
では採用活動における課題に関して解決方法はあるのでしょうか。
マンパワー不足であるという課題に関して社内の協力体制を整えることが大切となります。
社内の協力体制に関して「人事担当部署以外で新卒採用に携わる人数」で、充足企業の20.8人に対し、未充足企業は11.4人で、9.4人の差がありました。社内の協力が人員充足には欠かせないのです。
採用支援ツールを導入することでマンパワーやコストを削減することができます。面接の日程調整や進捗管理、スケジュール調整など時間や工数がかかる業務を軽減することも解決方法の一つです。
認知度不足の課題に関しては、マンパワー不足によって認知度向上にかける時間が制限され、施策があまり立てられていない現状があります。それも社員の協力と繋げて役割をわけることで、イベントや合同説明会の参加や学生が集まるコミュニティへの参加、SNSやブログでのPR等を行うことも解決方法として有効でしょう。
採用活動の課題は多様化している
少子化による労働力人口の減少が続き、企業の採用活動にはさまざまな課題が生まれています。
採用活動における課題の種類とそれぞれに合った解決方法を知り、人手不足に陥らないような採用計画を立てることが大切です。