ワークプレイスラーニングとは?研修の効果を改善するために

管理職研修の実施率や課題、効果的な内容とは

次世代リーダー人材の育成は、人事の重要課題として上位に挙がるテーマのひとつです。

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると「人事・組織戦略上の課題」として「自分の後任を担える人材・次世代リーダーが育っていない」「採用した人材のパフォーマンスが上がらない」「パフォーマンスの上がらない人材を代謝できない」など、パフォーマンスやマネジメントに関する課題が上位に挙げられています。

人事・組織戦略上の課題
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』成長期の企業の経営者・事業責任者は何に悩むのか?

HRproの調査によると、管理職研修を実施している企業は全体の約7割、大企業においては8割が実施しており、多くの企業で行われていることがわかります。

管理職研修の実施
出典元『HR Pro』HR総研:人材育成「管理職研修」に関する調査報告

研修内容としてはマネジメントやリーダーシップの割合が多くなっています。これらの能力は抽象的なスキルであるため、「マネジメント研修」や「リーダーシップ研修」では不十分です。マネジメントスキルのどこを伸ばすのか、研修内容ではより具体的に考えることが重要です。

管理職研修の内容
出典元『HR Pro』HR総研:人材育成「管理職研修」に関する調査報告

管理職研修運用での課題として、「実施効果の測定ができていない」ことが挙げられています。マネジメントやリーダーシップとはどのようなものかを明確にし、それらを測定することができなければ、研修効果の測定も実現できません。

管理職研修運用にあたっての課題
出典元『HR Pro』HR総研:人材育成「管理職研修」に関する調査報告

アメリカのロミンガー社の調査によると、リーダーシップを発揮できるになった人が役に立った出来事として研修は1割のみで、経験が7割も占めているという報告もされています。リーダーシップを発揮する上で、そもそも研修に効果はあるのか、考え直さなければならないのかもしれません。

どのような出来事が役立ったのか?
出典元『ITmedia ビジネスオンライン』「そんなの意味があるのですか?」と言いたげな新入社員たちへ

今回は、職場で経験しながら学習する「ワークプレイスラーニング」について説明します。

ワークプレイスラーニングとは?

ワークプレイスラーニングとは「個人や組織のパフォーマンスを改善する目的で実施される学習その他の統合的な方法」 (Rothewell & Sredl 2000)です。個人や組織のパフォーマンスを改善するために職場における実務経験、研修やeラーニングによる学習を連携させ、学びの効果を最大化させる学習方法のことです。

学びの場である研修等の学習の仕組みと、日々の実務のプロセスを合わせることによって、高い学習効果を実現しています。今後人材の能力開発に有効な手段として注目されています。

ワークプレイスラーニングの目的について

研修の効果は見えにくく業務に活きていないと感じる社員が多くいます。このような現状を改善するため、ワークプレイスラーニングは学習したことを実務の現場で活かし、より学習効果を高めることを目的に誕生しました。

学習効果が高まり、個人や組織のパフォーマンスが改善していくことを目指しているのです。

ワークプレイスラーニングを導入する企業としてのメリットについて

導入する企業側のメリットは、研修の効果が持続し、きちんと現場での実務に活きてくることでしょう。研修の場で学んだだけで終わらず、業務でも成果を残すことがワークプレイスラーニングは可能になるのです。仕事場でも活かしてより実践的な学びに変えていくことが、結果として生産性向上に結び付いていきます。

ワークプレイスラーニングでは、現場のOJTに加え、継続的にお互いが学び合うためのオンラインコミュニティが重要となります。コミュニティ内でメンターやコーチによる支援を受けられる状態をつくることで、組織と個人の成長を促すことも可能となります。

学習と実践を通じて成功体験を積むことで社員に自信や仕事への満足度が醸成されます。充実した日々の実践や学びの共有を同僚、上司、などから承認してもらうことで信頼感が増し、結果さらなる成長やエンゲージメント向上につながると考えられています。

ワークプレイスラーニングを導入する従業員としてのメリットについて

ワークプレイスラーニングを導入する従業員としてのメリットとは、学びの最大化の効果を得て、自分自身の成長に役立てることができる点です。業務でも学びの深堀や、実務との連携を深めることのできるワークプレイスラーニング。研修のような一時的な場だけでなく広く学べる体系があることは、社員にとってもプラスと感じるでしょう。

オンラインコミュニティなどで、共に学ぶ仲間と出会えたり、上司にも学習の状況や努力を伝えることが容易になるなど、学び実践する環境が整うことも大きなメリットとなるでしょう。

ワークプレイスラーニングを活用するためには環境整備も大事

ワークプレイスラーニングとは、職場における学習の意味であり、職場における経験や他メンバーとのかかわり合いなどにおける学習で、個人や組織のパフォーマンスを改善する目的で行われています。

職場における経験を学習に有効活用するために、モデルの認知や職場環境の整備などが重要となるでしょう。

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