職場環境には優先順位をつけて改善することが大切
厚生労働省の調査によると、脳・心臓疾患の労災請求件数や精神障害の労災請求件数は年々増加傾向にあり、仕事が原因で労働者の健康に様々な害を及ぼしていることが分かります。
2015年12月から義務化が始まったストレスチェック制度などでも、企業が労働者の健康を考慮することが求められているだけでなく、厚生労働省による時間外労働等改善助成金や産業保健関係助成金など、様々な助成金を設けることで企業の職場環境改善への取り組みを支援しています。
職場環境には、音や明るさなどの物理的な要素だけでなく、人間関係などの目に見えない抽象的な要素も含まれ、職場環境を改善するためには、各要素における自社の課題を明確にして、優先順位を付けて取り組むことが大切です。
今回は職場環境を改善した企業事例について説明します。
職場環境を改善した企業事例について
日本電算機販売株式会社における職場環境改善事例
日本電算機販売株式会社は、病院・クリニックと調剤薬局の情報システムの販売とそれに伴うシステムサポート、システム開発、システム保全などを行う会社で、従業員規模は71名(2018年12月現在)となっています。
改善施策を打つ前に発生していた問題、解決しようとした課題について
フロア分散による業務効率を重視したために、相手の顔がみえにくく、円滑なコミュニケーションがとれておらず、そのことが業務効率低下へとつながっていたことが課題でした。
職場環境を改善する施策名と施策内容
フリーアドレス制を導入しました。
創業以来20数年ぶりにオフィスを移転し、顔がみえる自由闊達な社内文化を蘇らせるため、分散したフロアを全社員が見渡せるワンフロアに集約して、ソフト、ハード開発、セールス、サービス部門の壁をなくしました。
施策による効果について
各部署の垣根をなくし、お互いの仕事ぶりを肌で感じながら業務を進行することができるようになりました。
その結果、業務改善、従業員のモチベーションアップにもつながりました。
一誠商事株式会社における職場環境改善事例
一誠商事株式会社は不動産の売買や仲介だけでなく、損害保険代理業や不動産コンサルティングを行う会社で、従業員数は252名となっています。
改善施策を打つ前に発生していた問題、解決しようとした課題について
隣の話し声が聞こえたり、お客様の目線から奥にあるオフィス空間が丸見えだったことが課題でした。
接客をメインとする不動産業態において、カウンターのイメージはお客様にとっても、従業員にとっても、重要な要素だと考えていました。
職場環境を改善する施策名と施策内容
応接用の個室空間を設置し、初期の相談や除法収集目的の来店客向けに、曲線を描くカウンターボードとパーティションを活用した接客スペースを構築しました。
施策による効果について
より集中できる環境で対面接客出来るようになり、従業員の労働環境としても落ち着きました。
契約や資産運用など深い商談用には、空間デザインや家具等に徹底してこだわった応接室を準備し、サービス精神や高いホスピタリティを表現できたことも、より高級感をもったイメージで他社との差別化を図ることができました。
従業員にとっては、つくばにある本社と都内にある支社のオフィス環境が異なって公平さを欠いていた点が改善され、モチベーションを保つ機会となりました。
株式会社ニコンにおける職場環境改善事例
株式会社ニコンは、お客様の経営に貢献するワークプレイスソリューションカンパニーで、従業員数は250名となっています。
改善施策を打つ前に発生していた問題、解決しようとした課題について
大手企業では人員の増減・組織変更の頻度が高くなり、その都度オフィスのレイアウトを変えるのが大変なことが課題でした。
職場環境を改善する施策名と施策内容
ユニバーサルレイアウトを導入しました。
家具配置の大幅な変更・間仕切工事をおこなわずとも、いつでも対応できるようににするため、ユニバーサルレイアウトを採用したことで、毎回の社内レイアウト変更の手間を縮小しました。コミュニケーションエリアは、人々の出入りがしやすく、リフレッシュエリアとして明るく開放的な空間になりました。
他事例と一線を画するアイデアが、会議・役員エリアにガラスの間仕切を採用することで、採光に配慮しつつも、隣室の会話が気にならないようサウンドマスキングを採用したことです。
施策による効果について
コミュニケーションエリアは、人々の出入りがしやすく、リフレッシュエリアとして明るく開放的な空間になりました。
会議・役員エリアはガラスの間仕切を採用することで秘話性が考慮され、安心して会議に集中できる環境になりました。
従業員が自主的に改善しようとする姿勢を持つこと
職場環境の改善に取り組む企業は多くあり、どのような課題を解決しようとしたのか目的を明確にするだけでなく、日本電算機販売株式会社ではフリーアドレス制を用いることによって、席を自由に選べることで、社員が自主的に他の部署ともコニュニケーションを取れるようになった企業もあります。企業が一方的に行うだけでなく、従業員にとってのメリットを伝えながら、従業員が自主的に改善する姿勢を身につけてもらうことで成功につながっています。
職場環境の改善に取り組む企業は多くあり、どのような課題を解決しようとしたのか目的を明確にするだけでなく、企業が一方的に行うだけでなく、従業員にとってのメリットを伝えながら、従業員が自主的に改善する姿勢を身につけてもらうことで成功につながっています。