今、社会的に職場環境が重要視されている
厚生労働省の調査によると、脳・心臓疾患の労災請求件数や精神障害の労災請求件数は年々増加傾向にあり、仕事が原因で労働者の健康に様々な害を及ぼしていることが分かります。
2015年12月から義務化が始まったストレスチェック制度などでも、企業が労働者の健康を考慮することが求められているだけでなく、厚生労働省による時間外労働等改善助成金や産業保健関係助成金など、様々な助成金を設けることで企業の職場環境改善への取り組みを支援しています。
今回は職場環境とはなにかや、どのような影響を与えるのかについて説明します。
職場環境とは?どんな要素が影響を与えるのか
職場環境は様々な要素から成り立っています。「物理化学的環境」(例:騒音、照度、温度、湿度)、「人間工学的側面」(例:作業スペース、作業姿勢)、「人間関係」、「仕事の負荷」(質、量)、「仕事の自由度・裁量権」などが含まれます。
職場環境を良くする企業としてのメリットについて
職場が働きやすいと社員のモチベーションが上がり、生産性も上がることで、業績向上につながるでしょう。そして社員の離職率も低くなります。
株式会社サイバーエージェントは、急成長を遂げたため、適切名採用や人材配置が間に合わず、社員が定着しないという状況になっていました。それらを改善するべく改革を行いました。内容は、社員への裁量権委譲、連帯感を高める工夫、上司と部下が月1回面談を行うといったものです。こうした取り組みの結果、「社員にとって働きがいのある職場」に変わりました。
職場環境を良くする従業員としてのメリットについて
職場環境を良くするメリットとして、社員は仕事がしやすくなり、快適に過ごすことができるようになります。
社員にとっていい職場環境とは平成4年に発行された「快適職場指針」に挙げられています。
- きれいな空気の確保、適切な温度管理など、作業時の環境を整えること
- 労働者にかかる心身の負荷を考え、力が必要な仕事などは、作業方法を見直すこと
- 労働者が休憩できる施設を作ること
- 職場で快適に過ごせるよう、トイレや洗面所などを作り、清潔にしておくこと
職場環境が悪いことで引き起こる企業としての問題やデメリットについて
職場環境が悪いと社員の心身の健康を害してしまう可能性があり、作業効率が下がり、業績低下につながる恐れもあるでしょう。そして離職にもつながります。
新人に対する教育体制が整っていないことも職場環境が悪い一例です。「十分に指導を受けていない」「サポートが足りない」といった不安や不満を新人が抱えていると、期待された成果を上げられず、さらに働きにくい状況に陥ることがあります。
職場環境が悪いことで引き起こる従業員としての問題やデメリット
社員は、職場で仕事のために長い時間を過ごします。職場の環境が良くない場合、ストレスがかかり心身の健康を害してしまう可能性があります。
例えば、職場の人間関係が悪く、伝達事項も面と向かって伝えることが少ない場合、言いにくさから仕事が滞ったり、大きな問題に発展したり、孤立感が高まったりすることがあります。
また長時間労働による過労死も社会問題となっています。
職場環境の改善は中長期的視野で取り組みましょう。
職場環境は照明などの物理的な要素だけでなく、人間関係などの目に見えない抽象的な要素も含まれます。職場環境が悪くなることで、企業や従業員に様々なデメリットや問題がもたらされますが、職場環境を良くすることで、デメリットや問題が解消されるだけでなく、多くのメリットをもたらします。
職場環境の改善は短期的な解決が難しい問題も多くあるため、中長期的な視点で徐々に改善していく姿勢が求められるでしょう。