ブリッジスのトランジション理論とは?3段階に分けて乗り越える

予測不能な時代に突入し、従業員のキャリアも不安定に

トランジションとは「転機」「転換点」「移行期」などを意味する言葉です。発達心理学をベースにしたキャリアカウンセリング理論では、人々が人生で遭遇する出来事や直面する課題には、ある年齢段階に応じて共通するものであり、そういった課題を乗り越えていくことで、人は次の段階(ステージ)に移行していくと考えられています。

現在は「VUCAワールド」と呼ばれる、将来の予測が非常に困難な時代になっています。市場のグローバル化やテクノロジーの発達により、ブルーオーシャンだったはずがあっという間にレッドオーシャン化する。或いはRPA/ロボットの登場により、定型業務はオートメーション化されていく。そういった時代にある今、会社の動きが社員のキャリア形成にも大きな影響を与えるようになっています。

EconsultancyとSitecoreの共同調査によると、世界各国1,200人以上のマーケティング担当者を対象としたところ、60%の企業や団体が「市場環境の変化に適合するためのビジネス変革を余儀なくされるほどの大きなプレッシャーを受けている」と回答しています。さらに「そのプレッシャーが3年以内に事業存続を脅かすのではないか」と3分の1の回答者が危惧しているという結果も出ました。

参考URL『ITmedia マーケティング』「ビジネスモデルを変革しないと3年以内に廃業」 3分の1の企業が危惧――Sitecore調査

会社の事業廃止や新規事業の開発など、社員が過渡期に置かれやすい状況に、経営者や人事担当者は社員のキャリアをどのように考えれば良いのでしょうか。

本記事では、ブリッジスのトランジション理論について説明します。

ブリッジスのトランジション理論の内容とは?

ウィリアム・ブリッジス(William Bridges)は、アメリカの心理学者で、人間性心理学会の会長を務めた人物です。主要書籍には、『トランジションー人生の転機を活かすためにー』があります。ブリッジスは、人生における様々な変化に、どう対処していくべきなのか、セミナーやコンサルティングを通じてノウハウを伝えています。

ブリッジスの3段階プロセス、トランジションを乗り越える方法

ブリッジスはトランジションのプロセスを、トランジションのプロセスを「終焉(何かが終わるとき)」「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」「開始(何かが始まるとき)」の3つの段階に分けて考えました。

第一段階:終焉(何かが終わるとき)

進学、就職、結婚、異動、失業など、これまで慣れ親しんできた環境・人間関係・役割等が変化することにより、混乱や空虚感を感じる時期です。何かが終わるときというのは、自分の意志で終わらせることもあれば、外部環境により終了させられるときとがあります。

どちらの場合であっても、これまでいた場所から離れること、或いはこれまで持っていたものから離れることは心理的な痛みなどダメージを伴います。重要なのは「これまでの何かが終わった」ことを、真に受け止めることです。

第二段階:中立圏(ニュートラル・ゾーン)

内的な再方向づけの時期で、転機をどのように受け入れていくのかという問題に直面し、喪失状態・深刻な空虚感を感じる段階です。このプロセスは長く、進むべき方向がわからず、ただ立ち止まっているような感覚に陥ります。ブリッジスはニュートラル・ゾーンを乗り切るために以下の6つが有効だとしています。

1.1人になれる時間と場所を確保する

早朝の公園や森を散歩する、静かなカフェで休むなど、自分一人になれる環境に身を置きます。そうすることで心の内なる声を聞くことができます。

2.記録をつける

ニュートラル・ゾーンにいるときは、様々な思いや考えが頭をよぎります。それらをノートに書き留めておきましょう。

3.自叙伝を書いてみる

これまでどう生きてきたのかを書き出してみます。自叙伝を書くことで過去を振り返ることができ、上手にニュートラルゾーンから抜け出すヒントが得られるでしょう。

4.本当にやりたいことを考えてみる

人は成長過程で外部から様々な影響を受けます。親兄弟・友人知人の影響などから固定概念ができ、自分の思いや欲求は隠れてしまっていることが多いです。率直に自分は何がしたいのかを自身に問うてみましょう。

5.自分の死亡記事を書いてみる

もし今死んだら心残りは何かを考えてみる、というものです。

イメージとしては、記者になったつもりで、生年月日、両親、兄弟、学歴、所属、賞、趣味、そして最後の言葉を書いてみるのです。最後の言葉とは、例えば「死の直前、○○氏は、自分の人生を振り返り、○○をやらなかったことが心残りだと語っていました」といったようなものです。

第三者的に書いてみることで、自分が何をやりたかったのかを客観的に見つめることができます。

6.通過儀礼

例えば、数日間仕事や家庭を離れ、一人旅に出るなどです。滞在先は静かで落ち着いた場所を選び、自分とじっくり対話できる環境がベターです。余計なものは持たずに、質素な生活にします。旅中に考えたことや、感じたことをありのまま書き留めておきます。心の動くままに行動し、感情は押さえ込まず喜怒哀楽を味わいましょう。

ブリッジズは「空虚への旅であり、感受性を培うための時間」だとしました。自分自身と向き合い、徹底的に考え悩むことで、第三段階の開始に繋がるとしています。

第三段階:開始(何かが始まるとき)

中立圏(ニュートラルゾーン)を過ぎると、新たな始まりが待っています。この段階では、内的な抵抗が生まれることもあります。安全で慣れていた環境から離れることへの恐怖心から来るものだと言えます。

周囲の反対など外的な抵抗に遭うこともあるでしょう。何かが始まるときは、このような内的・外的両面での抵抗がおきることを理解しておくと、適切な対応ができるでしょう。

トランジションを考えることが人材定着に繋がる

ブリッジスは、トランジションを「終焉」「中立圏」「開始」の3段階に分け、それぞれの段階で人はどのような心理状態に置かれるのか、そして各段階を乗り切る方法について提唱しました。

ブリッジスのトランジション理論は、就職・転職時だけでなく、既存プロジェクトの終了や新規プロジェクトの立ち上げ時にも活用できる理論です。社内で従業員のトランジションをサポートするための仕組み作りをすることが、中長期的な定着率向上に繋がるのではないでしょうか。

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