リシュ面の質問の意図や具体例とは?代表的な質問例と見極めのポイント

リシュ面とは、新たに注目を集める面接手法

「リシュ面」とは、履修履歴面接・履修履歴活用面接などと呼ばれる、新しい面接手法です。学生に履修履歴や成績証明書の提出を求め、学業を中心として質問を行います。

履修科目選択の理由や成績上下の原因などの事実から、学生の考え方や行動特性を深く理解でき、入社後の行動予測にも役立つとして、いま注目を集めているのです。

リシュ面(履修履歴面接)は、経団連も促進

2017年に経団連が発表した「採用選考に関する指針の手引き」を読むと、大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましいと明記されています。

(3)選考活動における留意点

選考活動は、広報活動と異なり、学生が自主的に参加不参加を決定することができるものではないため、学事日程に配慮していくことが求められる。

具体的には、面接や試験の実施に際し、対象となる学生から申し出があるケースも想定されるため、事前連絡についても余裕をもって行うほか、当該学生の事情を十分勘案しながら、例えば授業やゼミ、実験、教育実習などの時間と重ならないような設定とすることや、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用なども含めた工夫を行うことが考えられる。

また、大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい。

引用元『一般社団法人 日本経済団体連合会』「採用選考に関する指針」の手引き

採用環境の厳しさは増す一方です。学生の人物像を掘り下げて把握できるリシュ面は、企業と学生のアンマッチ防止に役立ち、採用効率をあげる手法としても注目されています。

リシュ面における質問の意図とは

リシュ面における質問の意図は、大きく4つに分類されます。意図を持って質問を投げかけることは、人材の見極めに不可欠です。

1.好きでかつ得意なことを把握したい

好きでかつ得意なことは、本人が自律的に自己成長できる領域です。

入社後に業務を通じて「強み」を確立しやすく、早期戦力化を期待できる部分を把握するという意図があります。

2.苦手だけれど頑張ったことを聞きたい

苦手なことや不得意なことに対する取り組み姿勢からは、困難に対する捉え方、ストレス耐性、新たな楽しみを見いだせるかどうかなど、行動特性を把握できます。

入社後の配属先や業務内容の検討、行動予測に役立てるという意図があります。

3.自己PRや志望動機との相関を見たい

履修履歴や成績から浮かび上がる人物像と、学生本人がアピールする志望動機との相関からは、自己分析の精度を測ることができます。

成績の良し悪しに関わらず、自己理解と志望動機に高い相関性が見られる学生は、入社後の早期活躍を期待できるポテンシャルの高い人材だといえるでしょう。

4.嘘や偽りがないかを確認したい

事実にもとづいて質問を掘り下げていくことで、回答に一貫性があるかどうかや、人として信頼できる人物かどうかを確認するという意図があります。

リシュ面における「人材見極めのポイント」とは

「就職白書2018」において、企業が採用において最も重要視しているのは、人柄です。自社にマッチする人材かどうかを選考段階で見極めるためには、リシュ面においては3つのポイント「嘘や偽りのない人物か」「自己理解が進んでいるか」「自分の言葉で語れるか」を抑えておく必要があります。

企業が採用基準で重視する項目と学生が面接等でアピールする項目
出典元『リクルートキャリア』就職白書2018

3つのポイントは、学生の言葉を信用できるかどうかの前提となります。リシュ面とは、採用面接における学生の発言内容を評価するための「参考指標」として役立つのです。

自己理解が十分に進んでいなかった場合でも、リシュ面には意味があります。面接官からの問いをきっかけに自己発見できれば成長につながり、面接を通じて自己成長を図れた学生はその企業への入社意欲を高めるはずです。

1.嘘や偽りのない人物か

リシュ面を取り入れる最大の理由と重複しますが、事実にもとづいたヒアリングをすることで、嘘や偽り、誇張をする人物でないと確認することは重要です。

2.自己理解が進んでいるか

学業に対する姿勢や実際の行動について、理由や行動特性をいかに自己理解しているか。自律的に内省できる人物かどうか。自己との向き合い方を引き出すことで、人物像を深く把握できます。

3.自分の言葉で語れるか

実際に仕事を始めたら、本音と建前を踏まえつつも、立場に応じた説明責任が問われることは、どんな業界・職種・職位においても共通していえることです。あらゆる質問に対してその意図をくみ、自分の言葉で適切に表現し説明しようとする姿勢は大切です。

リシュ面の代表的な質問例・回答例(1)

質問:一番、頑張った授業は何ですか?
回答:経済学です。

質問:経済学を選んだ理由は何ですか?
回答:商社に入社したいと志望しており、会社に入ってからも役立つと考えてからです。

質問:経済学の授業は楽しかったですか?
回答:最初は難しいと感じていたのですが、理解が深まるに連れてだんだん面白くなりました。

質問:マクロ経済学とミクロ経済学の違いについて、分かりやすく説明してください。

この質問では、どのような物事をポジティブに捉えているかをヒアリングしています。また、最後の質問では、嘘や誇張の有無を確認しています。

リシュ面の代表的な質問例・回答例(2)

質問:海外勤務を希望していますが、英語の成績が下がっていますね。理由を教えてください。
回答:前期では、毎回復習をしていたのですが、後期の授業では復習がおろそかになっていたためだと思います。

質問:後期では、なぜ復習がおろそかになってしまったのですか?
回答:ほかにも力を入れて学びたい科目があったことと、アルバイトの時間も増えてしまったためです。

質問:学業よりもアルバイトを優先したということでしょうか?
回答:塾講師のアルバイトをしていたのですが、大学受験を直前に控えた生徒たちをサポートしたいと考えました。

質問:責任感があるのですね。それでは学業とアルバイトを上手く両立させるためには、どんな工夫をしましたか?
回答:授業で習った文法の復習は必ずやるようにしました。成績が下がったのは、単語を覚える時間を十分に取れなかったことが原因だと自己分析しています。

この質問では、志望動機と学業との相関についてヒアリングしています。さらに、意思決定の理由や具体的な行動を聞いて人物像を掘り下げ、回答では、成果に対する自己評価を引き出せています。

リシュ面の代表的な質問例・回答例(3)

質問:一番苦手だった科目は何ですか?
回答:政治学です。

質問:なぜ履修したのですか?
回答:実は必修だったため、履修しました。

質問:どんなことが苦手だったのですか?
回答:概念的な言葉が多く、身近に感じられるところが少なかったので、苦手でした。

質問:成績は良いようですが、努力したことはありますか?

この質問では、苦手なことや不得意なことをテーマに、人物像を掘り下げています。困難に対する姿勢を把握することは、入社後の行動予測に大いに役立つでしょう。

リシュ面を実施する前に、採用要件の明確化を

リシュ面とは、学生の考え方や行動特性を「ありのまま」に近い状態で把握するのに役立つ手法です。しかし企業側が、どのような人物が自社とのマッチ度が高いのかという「判断基準」を設けていなければ、正しく評価することはできません。

まずは自社の採用要件を明確にして、リシュ面で見極めるべき項目を決めましょう。複数の面接官で評価項目と判断基準を統一することも重要です。

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