兼業を認めている企業の理由とは?認める際のリスクと対策について

兼業・副業の推進状況の実態とは?

兼業とは、職務以外の他の業務に従事することを意味する言葉です。

兼業については、厚生労働省が平成30年1月にモデル就業規則を改定し「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除して「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載したことによって、大きな注目を集めました。

兼業を希望する労働者が増加しているのに対して、リクルートキャリアの調査によると、兼業を推進・容認している企業は28.8%とあまり多くない状態です。

兼業・副業を容認・推進・禁止している割合
出典元『リクルートキャリア』兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

今回の記事では、兼業を認めている企業/認めていない企業の理由や、兼業を認める際のリスクと対策方法についてご紹介します。

兼業を認めている企業の理由とは?兼業を認める際のリスクと対策方法について

リクルートキャリアの調査によると、社員の兼業・副業を推進・容認している企業の割合は、記事の冒頭で述べた通り3割にも満たない状況です。同調査では、社員の兼業・副業を「禁止」している企業に対して、将来的に兼業・副業を認める意向があるかどうかについても調査されています。

社員の兼業・副業を禁止している企業への「将来的に副業・兼業を容認することを検討しているか?」という質問に対しては、7.5%の企業が「現在検討中」、9.2%の企業が「検討したい」、59.5%の企業が「検討していない」と回答しています。

将来的な兼業・副業の検討
出典元『リクルートキャリア』兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

副業・兼業を容認している企業の理由とは?

副業・兼業を容認している理由としては「特に禁止する理由がないから」が1位で42.5%、次いで「社員の収入増につながるため」が2位で38.8%となっています。

兼業・副業を推進/容認している理由/背景
出典元『リクルートキャリア』兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

兼業・副業を容認している企業であっても、社員が兼業を行う際には何らかの条件を要求しているケースがほとんどです。社員が兼業・副業を行う際に会社から要求する条件としては「本業に支障が出ないこと」が最も多く、他には「会社の社会的信用を傷つけないこと」「営業秘密の開示を伴わないこと」「競業・利益相反に当たらないこと」などが挙げられています。

社員が兼業・副業を行う際、会社から要求する条件
出典元『リクルートキャリア』兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

副業・兼業を禁止している企業の理由とは?

副業・兼業を禁止している企業の理由としては「社員の長時間労働、過重労働を助長するため」が最も多く、次いで「情報漏洩のリスクがあるため」などが挙げられています。

兼業・副業を禁止している理由
出典元『リクルートキャリア』兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

兼業・副業を認める上での注意点や対策方法とは?

兼業・副業を認める上での注意点と対策方法を、前項で挙げた「社員の長時間労働・過重労働」「情報漏洩のリスク」についてご紹介します。

「社員の長時間労働・過重労働」については、自社での就業と兼業・副業先での就業との兼ね合いの中で、働き過ぎによって健康に影響が出てしまわないように注意が必要です。極端な例ですが、自社と兼業先の両方でフルタイム勤務と残業2時間の10時間労働をしていた場合、毎日20時間労働となってしまい、健康への影響はまず避けられません。

兼業・副業を認める場合は、過重労働や不規則な労働による健康障害を防止するために、社員が働き過ぎにならないような対策を取る必要があります。勤務時間や健康診断結果の管理を徹底する、定期的な相談機会を設けるなど、社員の終業時間や健康の管理に努めましょう。

「情報漏洩のリスク」については、社内規則や兼業規則をしっかりと制定し、社員に説明する必要があります。会社の遵守事項として社内情報の漏洩を禁止し、違反した場合には懲戒処分に課す、損害賠償請求もあり得るなどの社内規則を作成して、入社時や兼業を始める際に社員に対して説明・注意喚起しましょう。

兼業を認める際は、事前にリスクへの対策を済ませておこう!

兼業とは、同時に2つ以上の仕事を掛け持ちしている状態を意味する言葉です。

兼業を認めると、企業にとってメリットだけでなくデメリットも存在するため、容認すべきかどうかについては慎重に考える必要があります。兼業を認めて運用するためには、どのようなことに注意する必要があるのか、どうすれば対策できるのかについて知っておく必要があります。

兼業・副業の容認は、働き方改革の一環として推進されているため、将来的な流れを想定するのであれば、自社でも容認することを検討すべきでしょう。自社で兼業を認める場合は、事前に予想されるリスクへの対策を万全にしておきましょう。

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