シニア採用は人手不足対策として注目されている!
日本政府は、2019年4月1日より順次関連法案を施行している働き方改革において、一億総活躍社会の実現を目指して「女性」「高齢者」「外国人」が活躍できる社会を作ろうとしています。
日本の実質賃金は国際比較すると低下傾向にあり、労働生産性も主要先進国の中では最下位の状態が続いています。一方で、日本の平均寿命は世界トップクラスとなっており、高齢者人材の活用は、今後の日本社会にとって大きな影響力を与える可能性が高くなっています。
今回の記事では、シニア採用が注目されている背景や高齢労働者の現状についてご紹介します。
シニア採用が注目されている理由とは?高齢労働者の現状について
内閣府の調査によると、日本の労働力人口は6,673万人(2018年現在)で、うち65~69歳は450万人、70歳以上は336万人となっており、労働力人口総数に占める65歳以上の割合は11.8%と年々上昇し続けています。
労働力人口における高齢者の比率を表したデータを見ると、65~69歳の比率は44%で年々上昇傾向となっています。70歳以上の比率は13.8%で、10年以上の間13%~14%で推移しています。
シニアの就業率とは?
日本の就業率は、本来であれば人口減少によって減少するはずが、昨今上昇傾向にあります。
就業率上昇の理由としては、女性と65歳以上の就業率の上昇が挙げられます。厚生労働省職業安定局の調査によると、シニア層の就業率は2000年代に一度減少してから2010年代に入って上昇し、2017年で23%となっています。
出典元『厚生労働省職業安定局』雇用を取り巻く環境と諸課題について
内閣府の調査によると、高齢者の就業者の割合は55~59歳で90.3%、60~64歳で77.1%、65~69歳で53.0%となっており、60歳を過ぎても過半数の人が就業していることが分かります。
シニアの労働意欲や労働目的とは?
内閣府の調査によると、高齢者の就業意欲は非常に高いことが分かっています。「何歳まで働きたいか」という質問に対して、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しており、定年を越えた「70歳くらいまで」以上の回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることがわかります。
リクルートワークス研究所の調査によると、高齢者の就業目的としては「経済上の理由」が大部分を占めており、次いで「健康上の理由」や「いきがい、社会参加のため」などが挙げられています。
出典元『リクルートワークス研究所』高齢者の就労意欲に関わる要因
高齢者の就業理由は、年齢が高くなるにつれて「経済上の理由」が減少して「健康上の理由」や「いきがい、社会参加のため」が増加していく傾向があります。高齢者にとって、労働から離れることによる体力の低下や社会との断絶は切実な問題となっており、体と心のバランスを保つために働き続けたいと望んでいる人が多いという実態が見て取れます。
シニア採用における正規・非正規の割合とは?
内閣府の調査によると、65歳以上の高齢者の雇用形態は、非正規社員の割合が非常に高くなっています。高齢者の就業率を雇用形態別に見ると、非正規の職員・従業員が高齢雇用者の75.3%を占めていて、高齢雇用者の4人に3人は非正規社員ということがわかります。
高齢労働者の非正規率の高さは、企業側の都合だけでなく、高齢者側が非正規雇用を望んでいる結果でもあります。厚生労働省職業安定局の調査によると、60歳以上が希望する就労形態はパートタイムが53.9%と最も多く、フルタイムの24.2%の倍以上という結果が出ています。
出典元『厚生労働省職業安定局』雇用を取り巻く環境と諸課題について
総務省統計局の調査によると、現在非正規社員で働いている高齢者が非正規社員を選んだ理由としては「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も高く、男性で30.5%、女性で37.2%となっています。
シニア採用における給与水準とは?
内閣府の調査によると、高齢者世帯の平均所得は308.1万円となっており、高齢者世帯と母子世帯を除いたその他世帯の644.7万円と比べて半分以下となっています。
シニアガイドの調査によると、高齢者が継続して雇用された場合の賃金は、定年時の賃金に対して「5割未満」から「5~7割未満」となっている会社が多いという結果が出ています。
出典元『シニアガイド』継続雇用された高齢者の賃金は、定年時の5~7割程度
シニア採用を活用して人手不足対策に取り組もう!
少子高齢社会によって労働人口が減少していく中で、シニア採用の注目度が年々高まっています。
人手不足への対策でシニア採用に取り組む際は、高齢労働者が働き続ける理由は給与だけでなく健康上の理由や社会参加のためという理由が多いことを考慮して、処遇の低下や役割の変化によるモチベーションの低下に注意しましょう。