学生の数が減少していく中で求められる母集団形成
少子化に伴い、ここ数年「新卒者」の人数は減少傾向にあります。それに伴い、多くの企業が母集団形成に苦戦しています。
ベネフィット・ワンの「就職希望新卒者(大卒、専修卒、高卒)の推移予測」では、年々就職を希望する新卒者は減少していくと予測されています。大卒が22歳だとすると、2022年に非常に多く子供が生まれたとしても、彼らが大卒に該当する2044年までは減少してしまうことは避けられない状態にあります。
出典元『ベネフィット・ワン』就職希望新卒者(大卒、専修卒、高卒)の推移予測
株式会社ジョブウェブと、レジェンダ・コーポレーション株式会社が共同で行った新卒採用を実施する企業の採用担当を対象とした意識/実態調査によると、採用基準を変えない企業が約8割を占めています。どの従業員規模で見ても、「採用基準を下げる」よりも「採用基準を上げる」ことも報告されています。「採用基準を上げる」企業は、母集団形成や動機づけなどにより注力しなければならないことは明らかですが、「採用基準を変えない」企業も学生の人数が減少していることで、相対的に母集団形成や動機づけなどに注力しなければなりません。
出典元『レジェンダ・コーポレーション』<2018 年新卒 採用担当者意識調査>
今回は、逆求人の効果的なやり方について説明いたします。
逆求人のやり方や運用時の注意点とは?
逆求人とは、ダイレクト・リクルーティングの一種です。
通常の就職活動では、企業が就活サイト等に掲載した募集に学生が応募するという形をとっていました。逆求人とは、学生が「逆求人サイト」などに自己のプロフィールやアピールポイントなどを掲載し、企業側が自社に適した人材へのアプローチをしていく新卒採用の新たなスタイルです。
逆求人が生まれた背景や活用する目的について
中堅、中小企業などは、求人サイトで募集をかけても学生からの応募が思うように集まらず、自社の採用基準を満たす人材に出会えない場合があります。優秀な学生や意欲のある学生など、自社にはもともと興味がなかった人材にも直接アプローチすることのできる手段として逆求人が生まれました。
逆求人サイト大手のOfferBoxによると、登録学生数は昨年対比1.5倍も増加し続けており、今後も引き続き学生からの登録数、学生を採用したい企業の登録数は増加し続けるものだと考えられます。
出典元『OfferBox』【2019年卒学生・企業調査レポート】データで見る就活サービス「OfferBox」
逆求人のやり方や運用時の注意点について
1.逆求人型の就活サイトを利用
学生がサイト上に自己PRを掲載しているので、企業はそのデータベースを検索し、スキルや経験、学歴などから自社に必要な人材を見つけることができます。
マッチした学生には、個別にオファーをかけてアプローチしていくことができます。
2.逆求人型就活イベントへの参加
企業が主催する合同説明会とは異なり、学生側が主催となり、参加企業に対して自己PRを行うスタイルで実施されるイベントです。企業側は興味を持った学生と1対1もしくは少人数でダイレクトにコミュニケーションをとることができます。
どちらのタイプも、知りたい情報、伝えたい情報を必要と思われる個人に絞って発信することができるので、母集団形成を成功に導く上でとても効果的な手法です。
逆求人実施時に注意すべきポイントについて
採用したい人材に必要な資格や経歴を明確にしておくことが大切です。「特定の資格やスキルを持っている」「特定の分野の研究をしている」など、採用要件を指定しておけば、それを満たす学生とのマッチングが容易になります。採用したいと思っても、優秀な人材は他社からもアプローチがある可能性が大きいので、自社へ来てほしい理由を明確にしておかないと獲得条件が厳しくなることは必須です。
自社が必要とするのはどのような人材で、入社後にどういった活躍を期待しているのかを詳しく伝えてアプローチしていきましょう。
逆求人では従来の就活スタイルと比べて、業務の内容や本人の希望などについて、学生と人事担当者が1対1で話し合うことができるため、結果として配属部署等での解釈の食い違いを回避でき、早期離職の予防にもつながります。
逆求人を活用して母集団形成を成功に導くために
逆求人とは、企業側が学生の自己PRを見て直接アプローチをかける手法であり、ダイレクトリクルーティングやスカウトなどを行います。従来の手法による母集団形成に課題を感じる企業が多いため登録者数が急激に増えており、大手企業なども逆求人を行っている実態があります。
逆求人を行うにあたっては、一般的に優秀と言われる人材をただ探すのではなく、自社にとって必要な人材を明確に定義してからアプローチをかける必要があります。同様に、イベントを利用するか、ウェブサイトへ登録するかなどについても、採用したい人材がどこにいるのかを検討した上で選定する必要があるでしょう。