チームワークに問題を抱えている組織は意外と多い
会社や組織など集団においてそれぞれのスキルやパフォーマンスの向上において重要だと言われ、最近その重要性が再注目されているチームワーク。チームワークを有効活用できれば、個人だけではなし得ることができない成果や力を発揮することができるようになり、パフォーマンスも上り生産性にも良い影響を及ぼすことが期待できます。
日本経営協会が行った調査結果によると「組織やチームにおける問題の状況」として、特に問題がないと答えているのは、36.3%にとどまり、残りの約6割以上の企業では何かしらの問題を抱えていることが分かります。しかしこの問題に対してどのように対策をするべきか分からずに、放置されていることも多いようです。
出典元『日本経営協会』組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査報告書
こうした組織や集団、チームが抱える問題解決およびチームの再構築を目的として考えられた改善プログラムに「リチーミング」があります。今回はリチーミングとは何か、その重要性ややり方について紹介します。
リチーミングとは?チームの成長を実現するために
リチーミングとは、teamingに「再び」のreが付くことで、チームの再構築を意味しています。リチーミングが生まれたのは、90年代後半のフィンランド、当時失業率が2桁という大不況の中、人材再活性化に取り組む手段として、フィンランドの劇的な経済復興を支えたのがリチーミングプログラムだと言われています。
リチーミングはコーチングやティーチングと似ているように捉えられがちですが、その意味には大きな違いがあります。コーチングやティーチングは、基本”個”の成長を促すために、”個”対”個”のコミュニケーションを行います。結果個人の成長は望めても、チームでの活動にそれが活かせるかというとそうではありません。むしろ苦戦してしまう場合もあります。
リチーミングでは、同じ個人の成長を促す効果も期待できますが、その前提として自分たちのチームの理想像を全体で共有した上で、自分には何が必要かなどを明確にして個を磨いて行きます。最終的にチームでの活動に成果が結びつき、効果を発揮することができます。
リチーミングプログラムを活用する上で、有効な状況があります。例えば、自発的な目標設定がなく、なんとなくやらされているという意識の基仕事に取り組んでいる状況で、社員のモチベーションが低いという場合です。また単純に社内やチームでのコミュニケーションが悪いと感じる場合なども挙げられます。会社や組織によってもそのシチュエーションは様々であり問題自体を見つけ出すことが難しい場合もありますが、自社が抱える問題や課題に合わせたリチーミング活用の重要性を見つける必要があります。
リチーミングを実施するメリットとしては「モチベーションが上がる」ことや「楽観的な考え方が身につく」こと、「目標を設定し達成するという成功体験」ができることなどが挙げられます。その結果チームのパフォーマンスは向上し、売上高のアップや生産性の向上に繋がると考えられます。
リチーミングを実施するデメリットや問題点としては、人の内面に効果を及ぼすことが結果となるため、リチーミング導入による実際の効果測定が見えづらいことが挙げられます。プログラムを進めて行く上で、一旦は問題の原因追求を棚上げしながらすすめる特性上、根本的な問題解決には及ばないことが挙げられます。
リチーミング実施に必要な12のステップについて
リチーミングを行うための12のステップについて紹介します。リチーミングを効果的に行うためには、以下の12のステップを踏みすすめる必要があります。すべてのステップを絶対に行うということではありませんが、現在のチームが抱える問題や状況に応じて、取捨選択をしながら進めます。
- チームのあるべき姿その理想像を思い描く
- ゴールを設定する
- サポートしてくれる人材を募る
- ゴールで得られるメリットを探る
- 今現在できている事努力に取り組んでいることを見つける
- 今後の成長をイメージする
- これから起こりうる困難や障害を認める
- 自信の根拠をみつけ自信をつける
- 誓いをたてる意味で周りに目標を公言する
- 成長記録を取る
- これから起こりうる失敗に備える
- 成功を祝い周囲のサポートの協力を再確認し感謝する
チーム力強化や課題解決にお困りなら取り組む価値あり
リチーミングはチームの再構築を短時間で効果的に実現できるプログラムです。その考え方は心理学に基づき構成されており、人の心理的側面と行動的側面に同時に働きかけることができます。
教育現場だけでなく精神医学にも用いられることがある信頼のおけるリチーミングプログラム。現在自社が抱えているチームの課題や問題解決、強化などに役立て取り組んでみる価値は十分にある方法だと言えます。