プロジェクトを成功へ導き、社員の成長も促すリフレクション
新入社員が入社したり、人事異動や中途採用で職種未経験の社員が部署に入って来た際に、企業において「人材育成」は欠かせません。
産労総合研究所の調査によると、人材育成のための教育研修費用は3年連続で増加しており、階層別研修では、新入社員は9割以上、初級管理者の実施率も8割を超えています。
出典元『産労総合研究所』2018年度(第42回) 教育研修費用の実態調査
教育研修の重要性が高まっている理由としては、まず第一に新規人材採用が厳しくなっていることがあげられます。採用した社員を、部署に必要な人材へとできるだけ早く育てることが必要不可欠です。時代に沿って変化を続ける市場にあわせ、業務内容が多様化していることも、もう一つの理由としてあげられます。それに伴い、新しい業務内容に適応できる人材を育成することは必要不可欠です。
ロミンガー社の調査によると、リーダーシップを発揮できるようになった人たちの70%は実体験が役にたったと回答しており、経験から得る学習は非常に効果的であることがわかります。
参考URL『ITmedia ビジネスオンライン』経験70%、薫陶20%、研修10%でも……人材育成で大切なことは?
今回は、業務の経験を効果的に成長へと繋げていく「リフレクション」の方法について説明いたします。
リフレクションの手順と効果的な進め方とは
人材育成の分野における「リフレクション」とは、「内省」の意味です。そして「内省」とは、自分の考えや言動、行動について深く顧みることです。教育哲学者であるジョン・デューイは、「人間が学習する時、経験するだけでは成長しない。その経験全体を振り返り、自己の行動や思考を言語化し、その時の判断について再度考え(reflect)その意味付けをすることで学びとなる」と述べており、彼がリフレクション理論の基盤を創りました。
ただ経験するだけでは成長には繋がりにくく、自分自身の業務フローや、業務に対する姿勢などを客観的に振り返り、失敗したこと・成功したことも含めて見つめ直し、新たな行動へとつなげる方法論をリフレクションといいます。
リフレクションの手順・効果的な進め方について
リフレクションを取り入れたいと思っても、どのようにして進めていけばよいかわからないこともあるでしょう。会議を開いて反省会をするだけでは、机上の空論で終わってしまうこともよくあることです。
リフレクションの手順に沿って、効果的な進め方と注意事項などを説明しましょう。
1.事例をピックアップする
事例とは業務上の経験のことです。成功/失敗にかかわらず、より良い結果を導きたいと思うものをリフレクションする事例として抽出します。
2.ピックアップした事例を分類する
成功、もしくは失敗という結果までには、自身が選択したり行動したことのプロセスが残されていますので、それを工程ごとに細かく分類していき、可視化します。
3.プロセスごとの客観的な振り返り
実際に行動したことや発言を客観的に精査します。目標を達成するために「できたこと」と「できなかったこと」を振り返ります。
分類ごとに自己評価をすることで、成功と失敗の分岐点を探りましょう。
4.プロジェクトの再構築
自己評価をふまえて、できなかったことはなぜできなかったのか、どうすればできるようになれるかなど、具体的に掘り下げて次へのステップを構築してみましょう。
どのような行動をとれば成功へ近づいたか、より良い結果が得られたのかを考え、次のプロジェクトへの課題とします。
リフレクションで日々の業務を振り返る機会を作る
業務や現場から一旦離れて、自分の経験などを客観的に振り返るリフレクション。経験を積んでいくことは大切ですが、リフレクションを取り入れることで、経験から新たな学び・気付きを得て、前向きに行動を変えていくことができます。
リフレクションを効率よく行うためには、細かく工程を区切っていくなどの準備が大切で、そこを省くと効果があまり得られないこともあるので要注意です。プロジェクトを成功へ導くため、従業員一人ひとりの意欲向上やキャリアアップのためにも手順をしっかりと理解したうえで活用してみてはどうでしょうか。